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おバカな危機管理

バングラデッシュで邦人7人が殺害される事件が起こったことで、現地に駐在員を送り出している企業は安全対策のために妻子は日本に強制帰国、自宅からオフィスへの送迎サービスの徹底、さらに外食を避けるため料理人を雇う等々の抜本的な見直しを強いられそうである。

生命の価値は平等とは言え、駐在員に万が一の事があれば金銭だけでなく社会的な責任を問われて莫大な損失を被ってしまうから企業も必死である。それに会社が従業員を見殺しにしたなんて事になれば今後海外に出ようなんて人は誰も居無くなってしまうので、とにかく一刻も早く有効的な手段に出なければならない。

しかし会社勤めされた方ならよくご存じの通り、こういった安全対策を立案し命令する立場にあるのは海外に出るどころか顧客や調達先と会食さえもしたことが無い日本本社の総務というお役所連中であるため、一見ご立派に見えるが中身の方は全くトンチンカンな指示を出してしまう事も多々あるのだ。

例えば香港・華南エリアで反日デモが荒れ狂っていた時期に筆者が勤めていた会社が出した第一報である。これは「社外ではいっさい日本語を話さないように・・」というアンタ人を馬鹿にしてんのか?と思いたくなる低レベルな指示とともに、日本の総務部から安全確認の電話を各駐在員に定期的に入れるというものだったのだが、この2番目の指示が笑えないほど馬鹿げたものだったのだ。

深センの満員の地下鉄の中で筆者の同僚のH氏は電話を受けたのだが、受話器の向こうからは「Hさーん!こちらは総務部の引田順子です!Hさーん!聞こえますかぁ!」と日本語の声が聞こえる。このバカ女・・、こんな反日で殺気立った時期の満員電車に日本語で電話を掛けて来るとは・・と呆れたH氏は広東語で「今忙しいから後でかけ直す」と言うや携帯の電源ごとを切ってしまった。

ところが知恵の足らぬ引田順子女史のおかげで「H氏は今現在大変な事態に巻き込まれている・・」と日本の本社は思い込んでしまい、香港にいた筆者のところに本社総務課長から「H氏の安全を確保するために上司のオマエが今すぐ領事館に連絡しろー!」と異常にテンパった電話が掛かって来たのである。

外国に電話するときは現地の言葉を使うとかSNSで代用すれば良いのに、さすが外部とは全然接することが無くて世情に疎い総務部だけあって緊急連絡網の時代から発想から出れなかった様である。このバカげた指示はその後も2週間ほど続いたが、筆者ら駐在員はことごとく着信を無視し続けたことは言うまでもない。





もう一つは同じく香港・華南地区がSARSパニックになっていた時の事である。当時この地域には約100人の駐在員とその家族、さらに200人の中長期出張者がいたのだが、社員に死なれることを恐れた会社は「女子供と健康に問題を抱えている人間は如何なる理由も認めずに強制帰国させる!」というお達しが早々に出たのである。

筆者は会社の決断の速さに感心したのだが、しかしこの指示に付随する但し書きをよく見てみると健康に問題・・という判断基準として社内の健康診断の判定結果を目安とする・・と書かれているのを見て首をかしげてしまった。これってあの異常なしと要経過観察、要治療の3段階の評価の事か・・?

実は筆者はその時は日本に帰国中の身で、総務・人事と同じくくりになる経営管理部という職場にいたので人事関連のファイルを覗き見することが出来たのだが、強制帰国対象者リストにいる駐在員・出張者の健康データを見たところ、彼らの9割は脂肪肝や高尿酸値、あるいはメタボ判定された人たちだったのだ。

これって肺感染症と全然関係ないじゃないか・・。いやむしろ抵抗力があって良いんじゃないの?と思ったが、驚くべきことに総務部と産業医は何度も教義を重ねた結果、糖尿病や腎臓の病気を抱えているごくごく少数の人たちと一緒に彼ら栄養たっぷりのメタボなオッさんアンちゃん達は本当に日本に戻ってきてしまったのだ。

困ったのは現地に残された日本人駐在員たちで、朝から晩まで激務にさらされ続けたために鬱病になってしまう人間は出て来るし、しかも運悪くこの時期は深セン工場で新製品の立ち上げが幾つもあったのだがマンパワー不足のためにこれがことごとく延期、そのため筆者の会社の主力製品は競合他社との販売競争に敗れる事態が相次いだのである。

あれからもう十数年の時期が流れたが、世界各地で邦人の安全が脅かされるような事件が起こるたびに、筆者はこの時の何ともバカバカしい対応と、結局営業不振の責任を取らされたのは現場の人間で、張本人の総務部の連中は全員何のお咎めも無かったことを思い出して(大変不謹慎ながら)笑ってしまうのだ。

マスコミや株主はこういう時は本社に対しで「どうするのか?」と迫る場面があるが、正直言って日本の本社の机に居座ってペーパーワークだけをし続けた連中に良いアイデアなどあるわけないし、彼らの様な現実から遠く離れたところにいる頭でっかちに任せるとかえってろくな事態にならないという一例でした。






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判断の基準が、別世界ですね。総務上部に、海外経験者が少ないのかな?
海外危機管理室なども、必要になるのでしょうね。

予想道理、今日は洪水メトロマニラ(汗)

hanep 

現地に精通している人が、最前線で指揮をとってくれるのが一番いいですよね!

日本語使うな!→「もしもーし」はワロタw

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