誇りを失った栄光の民

大阪から約6時間バスに揺られ、出雲市駅前のホテルにチェックインした後で日本海という居酒屋へ入った。ここはノドグロが有名らしく日本酒が好きな筆者は矢も鉾もなくここへと入ったのである。

はい、いらっしゃいせ!何名様でしょうか!。店に入るや否やそう問われて面食らったのが筆者である。なぜなら彼らの話す口調が完全な標準語だったからだ。

考古学が好きな方、あるいは松本清張の傑作「砂の器」を読まれた方なら、西日本で出雲周辺だけは離れ小島のように東北風のズーズー弁を話す土地である事は良くご存知であろう。

古代日本は蘇我氏やアラハバキ、あるいはスサノオなどの製鉄民や鉱山技師らズーズー弁話す先住民と、現天皇家や藤原氏を中心とする朝鮮渡来人の争いの連続であり、ズーズー弁の出雲は純日本の色合いを強く残す土地なのだ。


1111出雲弁1


名古屋から長野県にかけて似たようなニャーミャー方言を話すのはこの一帯がオオクニヌシと同族の古代のタケミナカタノカミの領土だったからであり、方言とは遥か昔の地方王権の勢力範囲を語る証左である。

ところが出雲に来て耳に入るのは標準語だけ。おまえなあ・・、俺はスサノオを奉る氷川神社の神主の孫で、体毛も濃い縄文人の末裔なんだぞ。なのになんで俺たちの血を色濃く引くおまえら出雲人が標準語喋ってんだ!

しかし1軒目の若い板さんは筆者が言ってることがチィとも判らず狼狽えてるばかり。それでこんな阿呆と話しては意味がないわ!と伝統的出雲蕎麦なる店の入ったが、ここの店主は文化人類学どころか算数も出来ない低脳であった。

こんなハズじゃない!と芋焼酎で頭がとろけた筆者はうらびれた飲み屋街をぶらつき、この店は相当昔から客がはいってないな・・という店の暖簾をくぐったが、その時なんとつい数時間前まで馴染んだ言葉をかけられた。関西弁である。


1111出雲弁2


今はなあ、こっちの人は方言はよお話さんのや!と言い張るラーメン屋の女将。それでカウンターの向こうで話し込んでいる労務者らしき二人連れに聞き耳を立ててみたが、これが錦糸町や青砥の大衆酒場で管巻いてる親父と同じような話し方・・。

さらに日御碕バス停横の食堂のおばちゃんや電鉄松江駅の足湯に浸ってる地元の婆さんに「一体ズーズー弁はどこにあるのか?」と聞いたのだが、二人ともハ?という表情をした後で、ああ!ネーネー弁のことね、あんなの山奥の爺さん婆さん達の代でお終いになってるのよ!と標準語で言う。

ネーネー弁って何ですか?と聞くと、それはミャーとなネーとか語尾につける・・と言うので、それは尾張弁じゃあ?と聞き返したが、いえいえ違いますよ!出雲の古い世代はネーネー弁を話したんです!とそこだけやけにリキむ。

考古学者や松本清張が間違っていたのか?、それともカッコ悪いからと出雲人達は自分達の言葉を封印してしまったのか?。いずれにせよ筆者の出雲人たちに対する尊敬心はかつてこの地にあった古代文明のように綺麗さっぱり消え失せてしまった。


1111出雲弁3



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とても面白く読み応えがありました。

一般的に東北人でも、ズーズー弁は地元でしか話しません。(外部の人間は理解できないほどなまっているので)標準語とのバイリンガルがほとんどです。「外」から来た人間と嗅ぎ分けるや、言葉を変えて話したりすることも多くあります。筆者さんはその洗礼を受けたのでは?ちゃんとはじめから、彼らの言葉であるズーズー弁で話しかけなかったので、外人扱いされたのでは。

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