スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スターフィッシュ・アンド・コーヒー

1966年生まれの筆者はMTV世代とでも呼ぶべき人間で、1980年代に深夜やっていた小林克也のベストヒットUSAやピーター・バラカンのポッパーズMTVといった音楽番組で流れる欧米のミュージックビデオを熱心に見ていた洋楽マニアである。

マドンナにシンディー・ローパーやU2、それとスティングやデヴィッド・ボウイにミックジャガーなどの大御所、それとプリテンダーズやREM、ホール&オーツといった通好みのグループなど筆者が大好きなミュージシャンは数多くいたが、間違いなくこの時代の代表者であるプリンスはと言うと、実はこの方どうしても好きになれなかったのだ。

当時のプリンスはマイケル・ジャクソンの競争相手として何かと二人は比べられることが多く、音楽性よりもパフォーマンスが目立つマイケルよりもプリンスの方がはるかに才能に恵まれたミュージシャンだという事は知っていたものの、当時10代の筆者にとってはプリンスのあのスタイルと声が何とも嫌だったのだ。

ただしプリンスから曲提供を受けたシーラEやヴァニティのアルバムや、プリンスの原曲をアレンジしたシネアド・オコナーのNothing compare 2 Uは筆者の大好きな曲なのだからプリンスの作る音楽は高く評価しているのである。しかしプリンスのパープルレインという一番売れたアルバムを借りてきても彼の第一声オー・イエーが聞こえて来るだけで聴く気が無くなってしまったのである。






言い方は悪いが筆者にとってプリンスはあくまでゲテモノでしかなく、筆者の中の80~90年代の音楽史ではプリンスだけは完全に除外されていて、後年香港で開催されたプリンスのコンサートのタダ券を貰うチャンスがあっても「そんなモノ要るか!」と一喝する程度の存在でしかなかった。

ところがそれから20年以上たった数年前のこと、成田から香港へと帰るキャセイパシフィック航空の中で機内エンターテイメントにプリンスのアルバムがあるのを見て、何となく聞いてみるかな・・と思ったのである。それは数あるプリンスのアルバムの中でも最高傑作と呼び名の高いサイン・オブ・ザ・タイムスであった。

プリンス独特の歌い方は相変わらず好きにはなれなかったが、正直言うとその時はそれほど拒否反応を起こすことも無く、中でもスターフィッシュ&コーヒーという曲が案外と好きになってしまったのだ。これはプリンスにしてはかなりスタンダードな曲調で独特のクセが殆ど無いのがその理由である。

ヒトデ(スターフィッシュ)とコーヒーだって・・?なんだか変な題名だな・・と思ったが、まあ別に歌詞の方は追わずに(つまり歌詞内容はさっぱりわからずに)度々聞くようになったのである。しかしある時たまたまその歌詞がどういう意味なのかを調べる事になったのだが、その時筆者は衝撃を受けることになったのだ。





この歌はアメリカの何処にもある小学校を舞台にしていて、教養のある家庭の出なのにいつもチグハグな服を着て皆にからかわれているシンシアという女の子が「朝食に何を食べたのか?」との質問に「ヒトデとコーヒー」と答えてしまい、クラスメート達が「はあ?何だそりゃ?」と不思議に思うシーンをユーモラスに唄ったものである。

ご想像の通りシンシアは知的障害を持った女の子で、母親が作ってくれた星形のパンをパンでは無くヒトデと表現していたのだ。しかしクラスメートたちはシンシアの言いたいことがさっぱり判らず煙に包まれてしまう訳だが、歌詞ではその後に「心を開けば彼女の世界が判る」と歌っていたのである。

偏見を取り除けば障害者の中にある素晴らしい世界を見ることが出来る、共感することが出来る・・。これがこの曲のテーマだったのである。そして当時MTVだかABCのインタビュアーの「これは知的に劣った人間の事を唄っているのか?」と言う問いに対し「それは情緒的に進んだ、或いは恵まれた人達と言い換えるべきだね」と答えていることからも、プリンスが知的障害者に対して暖かい眼差しを持っていたことを知ったのだ。

この意味を知った時に筆者は両手で顔を覆い隠して泣き崩れてしまったのだ。というのは当時筆者は遅ればせながら女房との間に子供を作ろうとしていたのだが、女房は当時40歳を過ぎていたために生物学的にハンディキャップを持った子の親になる可能性があると医者から指摘されていたからである。





もしもそういう子供が生まれたらどうしよう・・。そういう恐れを持ちながら毎日を過ごしていたのだ。正直言えばやはり筆者の中にもハンディを持った人間に対しては偏見があったし、当然そうあって欲しく無いがその一方で子供は欲しいし・・という深いジレンマに苦しんでいたのだ。

しかしプリンスの曲スターフィッシュ&コーヒーの歌詞を知った時に筆者の中に立ち込めていた暗い雲は綺麗さっぱり無くなったのだ。心を開けば君も理解できる・・、この一言がどれだけ自分の中でガチガチに固まった偏見から解き放ってくれたことか、どれだけ子を持つことの勇気を与えてくれたことか・・。それで筆者はその場で泣き崩れてしまったのである。

さて結局筆者ら夫妻その後さんざん子作りに励んだものの、どうも筆者が種無しらしくて結局子無しのままでいるわけで、だからこそ今でも3カ月も世界のあちこちに旅行できる結構なご身分でいられるのだけれども、子供を作ろうと誓ったあの一時期を思いだす度にスターフィッシュ&コーヒーの一節が頭に浮かんでくるのだ。

スターフィッシュとコーヒー♪
メープルシロップとジャム🎶
シンシアは幸せそうな顔をしていた♪
まるですべての学校の全ての壁に掛けられた彼女の自画像のように♪
心を開けば君も理解することが出来る♪・・・。

この曲が頭に浮かぶ度に自分の心の暗闇がサーッと晴れていったあの一瞬を思い出すのだ。
プリンス様、素晴らしい音楽とそして勇気を与えてくれてありがとう!!。

R.I.P.






にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメント投稿

  • URL
  • コメント
  • パスワード
  •  管理者にだけ表示

 

いやー
すばらしい
感銘を受けました

シーラEが好きで
LDを持ってたんですが
https://www.youtube.com/watch?v=TLYbNx5eSGQ

見つけました
https://www.youtube.com/watch?v=wfNGtHhJr58

 

Rest in Peace

マイケルジャクソンもそうだけど、なぜ、色が白くなり、頭髪が直毛になるのでしょうか?

 

とっても為になるお話でした!ありがとうございました。他の文章も興味深く読まさせて頂いております。

 

まだ起こりもしない出来事を想像して、大事な部分を忘れてしまう。自分もこんなことがあります。プリンスは知らなかったですが(私は年代がちがう)聴いてみようかな。

プリンス:知りませんでした 

私は、ほにょさんよりも一回り以上年長で、聴く音楽もクラシックとジャズ中心ということもあり、プリンスさんがデビューした当時も、「なよなよした気持ち悪いのが出てきたナ」という印象のまま、食わず嫌いで作品を聴くこともなくその死を迎えたのですが、この日記とPVをみて考えが一転しました。歌詞をみながら聴いてみますね。ありがとう。
もう、フィリピンにお帰りでしょうか。お元気で日記を続けてください。

トラックバック

http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/921-62e88546
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。