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トヨタ主義者への疑念

今回の日本訪問目的の一つが日本の工場を見ることなので、だったらという事で総本山ともいうべきトヨタ本社工場の2時間見学コース(英語)に行ってきた。女房の父方の親戚たちには技術者が多く、また女房も電気系統が好きなことがあってこういう分野には並々ならぬ興味があるのである。

しかし正直言うと筆者はトヨタの見学は反発心の方が強くあまり気が乗らなかったのだ。ちなみに筆者はマニラで乗ってるのはトヨタ・イノーバなので隠れホンダファンなわけでもないのだが、トヨタのモノづくり哲学というのを聞くと昔会社員をやってた時のことを思い出して虫図が走ってしまうのだ。

筆者が勤めていたのはトヨタの10分の1くらいの規模のメーカーで、後年営業マンになったとはいえ筆者は元々技術屋だし、それに現実問題としてトヨタは世界有数の企業になっているのだから彼らの経営工学上の理論の正しさには疑問の余地が無いのだけれども、筆者が嫌いなのはトヨタイムズを良く理解もせずに語る輩がやたらと多い事なのである。

メーカーにおられた方なら筆者のいう事はよくご理解いただけると思う。最終的にお客に行くのは1個だから量産と言う考えは間違っている・・などと物知り顔で語り続ける技術屋たちの存在がどれだけ日本のメーカーに誤った選択を強いて来たのか、そしてそれがいかに深刻な問題を引き起こしているのか・・という事は実はあまり語られてないのではないだろうか。





彼らの論理は何が何でも自動化する、それから下請け企業に対して多大な犠牲を強いるジャストインタイムを実践する!というバカの2つ覚えだけを唱えているだけで、トヨタイムズは新規参入が容易で有象無象の競争相手がいるエレクトロニクス系の企業や(極端に言えば)天然ガスなどの資源産業など企業の置かれた環境によってモノつくりの方式も変わってくるという事が全く理解できてないのだ。

例えば10年以上前のNHKの番組でトヨタイムズの親玉とでもいうべき山田日登志がサンヨー鳥取工場を経営診断し、この工場のボトルネックは自動化ラインあることを発見するや、ラインをチェンソーで裁断して手組み生産(しかも組立一切を一人でやる多能工)に切り替えさせてしまったが、翌日会社にいるトヨタ信者に対してこの点を問いただすと全くトンチンカンな回答しか出てこないのに呆れてしまった覚えがある。

答えを言うと自動化ラインというのは日産1万個と言うように最初からアウトプットを固定化してしまう訳であり、人間の手作業の慣れに寄る生産効率の向上の方が寧ろ可能性が高いという事なのだ。スイスの時計産業の重鎮ニコラス・ハイエク氏の言う通り人件費をトータルコストの10%以内に収めることが出来れば如何なる場所で如何なる作り方をしようが問題は無いのだ。

ところが筆者の周りにいた部課長さん達というのは柔軟かつ多面的な思考が全くできず、ただただトヨタイムズの表面的な理屈を妄信するだけであり、さらにバカの2つ覚えを持ち出して生産の自動化を進めていったのだが、結局彼らのおかげで技術革新や新製品登場による自動化ラインの新設の度に莫大な設備投資を毎年支払わねばならない慢性的な赤字体質へと陥っていったのだ。





しかも生産地は90年代の中国である。トヨタイムズ以前に当たり前すぎることを言うが、日本の生産技術というのは基本的には人件費を使わないヒューマンレス・テクノロジーであり、それを人件費がべらぼうに安い国に丸ごと持ち込んでも何の解決にもならない・・という基本的なことがトヨタの生半可な知識に凝り固まったおバカさん達にはちっとも理解できなかったのである。

たった1000人の村民のために原子力発電所を作る・・、バカみたいな話だが極端に言えば彼らの考えはそうなのだ。それでアンタ達の考えがいかに間違ってるのか!と筆者は会議のたびに説明したのだが、彼らは「トヨタのモノづくりは・・」などと浅はかな理屈を振舞わして一人悦に入っているだけであった。彼らはトヨタの名を出すことで自分たちがお利口さんになったと思い込んでる本物の愚か者だったのだ。

さてトヨタの工場を案内するガイドの説明にはカンバンやアンドン、自動化、ジャストインタイムなどと特異な言葉が出て来て何だか懐かしい思いがしたが、一緒に工場を回ったノルウェー人が質問した通り、このシステムは部品製造から小売りまで垂直統合したビジネスモデルでしか通用しない特殊なモノなのである。

筆者はこの青い目の見学者の慧眼さに感心したが、なぜ同じ日本人でメーカーの技術者として長年勤めてきた俊英たちがトヨタイムズの表面的な部分だけをとらえて居心地の良い慢心へと陥ってしまったのか?と今でも不思議に思う。八百万の神がいる日本は一神教の欧米人の様にイムズの中に普遍性を見出す能力が劣っているのでは・・などと考えてしまう一日だった。






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一種の洗脳なんでしょ。マスコミも加勢した。

ところで、近い将来、世界の人件費が肩を並べるようになったときが見ものですね。

 

中精度部品を大量に作って、より分けて、まぐれでできた超精度、高精度部品を高価格で販売する。そして、設定精度から落ちたものは、B級部品として安さばく。という方法がありますよね。

たとえば、誤差10マイクロで設計したラインで大量生産。偶然出来た1マイクロ誤差の品物は、超高度部品として高額販売。

ホンダのレース用エンジンがそうですよね。民生用に大量に作ったエンジンの中で、偶然、超精度に仕上がった部品の組み合わせ。だから、他メーカーより金をかけずに、高精度エンジンができる。

インテルのCPUも同じ仕組み。同じ製造過程の製品をテストして、性能によって別価格販売。

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