ちょっと変なシャープ報道

台湾企業ホンハイによるシャープ買収について色んな情報がメディアで飛び交っているが、それらを読んでいても筆者はなんだか釈然としない思いがぬぐえない。というのは全ての記事がシャープの再建という切り口ばかりで書かれているが、現実には買収された側には何の選択手段も無くただ黙ってバラバラになるのを待つだけだという視点が欠落しているからだ。

もちろんシャープは日本企業であり社員や関係会社の人たちが記事を読んでいるから希望的観測を基調にしたいのは判るのだけれど、現実にはシャープは会社としてはとっくに死んでいるのだし、商品開発や生産技術に属する一部の技術者を除く社員たちは国際基準から言っても価値の無い人間であることは明らかなはずだ。

こう書くと日本しか知らない方は反発心を持つだろうが、長年外国人相手にモノを売りつけていた筆者から見ると日本人の大卒文系スタッフ(特に総務や経理、システム、それと事業企画などの本社系)というのは世界的に見てかなり劣等な部類に入るため、日本の法律とシャープの懐事情が許せば真っ先に解雇されてしかるべきなのだ。

それと中でも筆者が一番奇異に思ったのは「シャープのブランド力とホンハイの資金力と生産ノウハウが合わされば・・」という安穏たる記事である。いろんな企業買収の歴史を見ればかなり巧くいった対等合併であってもA社とB社の良い所を両立するというのは至難の業であり(普通が悪い所同士が出る)、通常は買収した側に呑み込まれていく過程で相当の齟齬をきたすものなのだ。

そしてここで経済記者が見落としているのは中国文化圏の企業とブランド力のある日本の巨大メーカーとの相性がそもそも合うのかどうかという事である。例えば中国は過去20年間世界の工場で有り続けていて、それ以前はアジアNICSと呼ばれた香港・台湾・シンガポールがその地位にあったのだが、じゃあ皆さんはこの4か国に属する企業ブランドって幾つ頭に思い浮かぶだろうか?





おそらくエイサーとハイアールくらいしか出てこないはずである。じゃあ服飾ブランドはどうだろう?。世界に冠たるGAPやH&Mの服はつい最近まで中国で縫製されていたが、じゃあ中国発信の服飾ブランド、あるいは衣料品チェーン店というと皆さんは何を思い浮かべるだろうか?。それも無ければ食器やアクセサリーなど色んな商品を思い描いてみて欲しい。

おそらく何にも浮かばなかったのではないだろうか?。そう、中国人というのはブランドを立ち上げたり維持する事が徹底的にダメな民族なのである。たとえば筆者が長年いた業界は香港・中国地域にひしめく約3000社の工場が世界の90%に相当する分を供給していたが、じゃあそこで作られる商品にはどんなブランドが付いているのかと言うと、ことごとく欧米や日本にいる客先のものをつけたOEM供給なのだ。

筆者も香港や中国の業界団体に呼ばれて、理事たちが考え出した「次世代への戦略」なんて発表を毎年いやいや聞かされたのものだが、確かにここには付加価値を高めるためブランドを育成すべき!などと書かれているものの、その具体的施策となると大変お寒い限りであり、現実的に過去20年間ただの一歩だって前に進んでいないのだ。

中国人の発想と言うのは薄利多売が基調で(というかそれしか無い)、ブランドやキャラクター作りに必要な情緒的なメッセージ性を打ち出したり、或いは顧客への安心感を高めるためのサービス網の整備しよう!といった発想にはいつまでたっても至らないのである。けっきょく今作ってる商品にペタンとハンコを押して「これがブランドです」、あとは広告を打つだけ・・・。ここで発想が打ち止めなのだ。

それからシャープはBtoC(消費者相手)を基調にした会社であるのに対しホンハイはBtoB(会社相手)、しかもその中でも最も付加価値の低い委託製造業という鉛筆も使い切るまでは新しいものを支給されないくらい渋ちんな土壌の会社なのである。こういう会社がシャープのショールームや華麗な新商品発表会をどういう目で見るのかは高校卒の新米工員だってわかるはずだ。





ではこういう発想しか出来ないホンハイがシャープの何に価値を見出したのか?と言えば、これはもう世界有数の商品開発力と徹底的に安く作れる生産技術、それとこれまで蓄積してきた特許資産、そして割と優位な条件で金を貸してくれる日本の銀行との関係と10年くらいはコストに10%上乗せして売れるブランド力というのが本音ではないだろうか。

ただしホンハイの会長は「最終製品をやりたかった!」と公言しているので確かに最初シャープブランドに主軸を置くかもしれないが、会社の風土や経営者の発想と言うのは限界があるし、設備投資や今ある商品ラインアップを次の中期計画ではどうするのか?という判断局面では自分たちの成功パターンから脱却するのは難しいから、遅かれ早かれホンハイはシャープの刈り取り戦略に転じることになると思う。

つまり商品開発とマスターファクトリー、それと特許室以外は全て台湾や中国の工場に移管し、骨までしゃぶって後はポイ捨てというストーリーである。それと世界中に巡らした販売子会社も流れているのは先細っていく商品ばかりになるから、大幅な赤字を生み出す前にとっとと閉じてしまうか他社に売却するのが賢明な判断だ。

相手が自分よりも強い時は徹底的に相手を褒めるが、一たび自分の門下に下れば徹底的に搾り取る。これが中国人の本質なのである。シャープの社員だって中国人と長らくやってきた人間ならこんな事とっくに気が付いているだろうし、新聞社や雑誌社の連中だって色んな企業を取材しているのだからホンハイの本音は読めてるはずだ。

しかしここ20年くらいメディアに在日や中国の意向を受けた人間が入り込み、日本国民がアジアに淡い幻想を抱き続けるよう世論誘導を図っているそうだから、今回のシャープの件もその一環なのかもしれない。ナイーブなスタンスを取り続けて日本人の目を欺く・・、おそらく次に刈り取られるのは東芝かな?。






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おおっ 

ブログがリニューアルしてるっ!
なんかめちゃくちゃオシャレになってるじゃないですか。

 

シャープの一従業員の視線から見ればどうなんでしょうか。
これからは、会社が社員を守ってくれない。会社と運命を共にすることは、ギャンブルである ですか。
自分の将来は、自分で守ること。こちらがスタンダードになってくるのかも。

 

①横幅がこっちの方が広いのでね。
②シャープの社員にとっては地獄でしょうね。でも市場価値のある優秀社員はとっくに逃げ出しているそうです。

 

今の中国企業って、
アメリカから見たバブルの頃の日本企業みたいなもんですかね

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