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死神と呼ばれた男(3)

度重なる不幸を持ち込む死神Yを追い出せなかった理由はYが当時の担当役員と格別な関係にあったからである。いくら同期入社とはいえ役員と万年平社員じゃ友情など遠の昔に無くしているはずなのだが、この役員に幾ら掛け合っても「かつての上司をぞんざいに扱うとは君は人間として恥ずかしくないのか!」と一喝されて本題には一切進まずにお終いになるのが常だった。

それで本社人事部に話を持ち込んだところ、筆者の後輩である担当者は「いや、Yさんの場合はですね・・」と言って過去Yがどれだけ労働組合を使って存命を図って来たかを説明した後、「あの人は組合の専従経験も無いのにこの手の対応はプロですから相当てこずりますよ」と言われてしまい、さらには「4人のお子さんもいることですし・・」と人道的な話まで持ち出してきたのだ。

死神というと独身で孤独な人物像を想像するが、実はYは元看護婦の奥さんと4人の子供に恵まれていて、この4人が揃いも揃って聞いたことも無い四流私大に通うボンクラなことや、住む家全てに不具合が続いて当時の千葉の家も3・11地震で地盤沈下して傾き始めた事を除けば案外と幸せな生活を送っていたのだ。他人を不幸に落としいれても自分の血は広げていく・・、死神の本当の姿と言うのは案外こういうものなのだろう。





さてその後も急激な円高による採算悪化や度重なる品質不良と中国工場の労働争議、そして大手顧客の倒産に日本工場の火災など諸々の問題に苦しめられたが、その極めつけは営業テコ入れのために派遣されて来た臨時上司が日本で精神科医に何度もお世話になっていたという異常者で、この壊れた男が繰り出すイカれた命令で会社そのものが崩壊に向かって行ったことである。

この男がやったことについては書くとものすごく長くなるため後日別の日記にするが、需要が増えている時に生産を減らすとかいう良く居るバカという次元ではなく、会議参加をサボってボイラー室の中に隠れこみ、部下たちの発言に聞き耳を立てながら「サポタージュの恐れあり」などと担当上司に報告するとか、四半期通じて売上利益とも対予算で+10%と好調なのに「お前たちのせいでこんな散々な結果になった!」と1時間も絶叫し続けるような異常者なのである。

当然筆者と部下たちは壊れた男を追放するために団結したのだが、皆さんのご想像の通りここでYは敵側に回ることになった。筆者らまともな人間についていけば次に切られるのは自分だとずる賢く計算したのか、それとも組織を破滅に向かわせると言う思想信条で一致したのかは知らないが、死神以外のYのもう一つの持ち味である寄生虫ぶりを発揮した決断だと言えよう。





さて実はこの日記は昨年8月にパート1だけアップしたのだが、その翌日にテレビがぶっ壊れたり夫婦そろって病気になるなど不運に見舞われはじめ、「Yの不運はブログにまで波及しやがったか!」と激高した筆者は一度封印しているのである。それがどうして半年もたって再び書き直したのかと言うと、先週金曜日に香港人の元部下たちからついにその日が来たことを知らされたからだ。

今年3月31日付で筆者のいた香港支店は閉鎖され、同じ香港にあるいくつかの別会社に人までもが分割されることになり、さらに三分の一近くの人員は受け入れ先会社が見つからずにリストラされることになったらしい。筆者が退職して1年後に頭の壊れた男は解任されたが、右も左もわからぬ新任支店長の懐刀となったYの打ち出す政策がことごとく裏目に出たためにこの2年間は赤字事業に転落ししていたらしい。

ところが会社を潰した張本人Yは再び巧く立ち回って香港の別の子会社に潜り込む事が出来たと聞いて驚いてしまった。Yの定年退職まで数か月しかないためそのまま香港に追い出しておこうと会社は判断したようだが、このYはみんなショックで一言も出ない状況なのに一人一人に「気を落とすなよ!」と笑顔で声をかけていたそうである。その笑顔は死神としての使命を達成した勝利の笑みであるに違いない。(完)







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よい時期に、(貴殿は)退職されましたね。
死神というより、会社という海を渡る能力が長けていたのかな。利己主義ですね、自己防衛本能の権化、死神さん。(笑)

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