僕らはみんな生きている(1)

2015/10/21 00:00:55 | 昔話 | コメント:6件

20年ほど前に公開された「僕らはみんな生きている」という映画をご存じだろうか?建設プロジェクトのため東南アジアの架空の国タルキスタンを訪れた日本人サラリーマンたちがクーデターに巻き込まれるというストーリーで、この中で山崎努演ずる冴えない支店長が実は赴任先のタルキスタン政府に取り込まれてスパイになっていた・・という笑えないオチであった。

筆者は先日の日記で「日本政府に生きた情報源を扱うスパイ機関は無いが、外国に雇われた日本人スパイは案外といる」という日記を書いたが、今日の日記では筆者の身近で起こった日本人スパイについて書くことにする。とはいってもジェームス・ポンドどころか「僕らはみんな生きている」の山崎努よりもスケールの小さい、しかも政治じゃなくて技術関連のスパイ話で、それに単なるうわさ話で恐縮だが・・。

筆者が働いていた会社は元々は田舎の町工場という後発企業のため、海外市場で大手と伍していくためには外国企業と合弁を行い、現地でノックダウン生産を行うパターンが多かった。特に資金力・営業力が脆弱だった1970年代はこの傾向が顕著で、ブラジルやインドなどの合弁先へ数多くの技術者が出向して生産ラインの立ち上げから安定化までの工場運営、さらにコスト削減のため現地からの資材調達などに励んでいたのだ。

開発部のエースの一人である大滝氏もその一人で、彼が派遣されたのは旧東ドイツのライプチヒにある東側では名の知れた国営工場であった。なおなんで東西冷戦の真最中に共産圏で合弁をしたのかと言うと、ニッチな市場でシェアの先固めをしたい!という表向きの理由とは裏腹に、当時の社長が大手商社の提案に言いくるめられて即断即決してしまったという何とも情けない事情があったのだ。





しかし当時の東ドイツは社会主義陣営では最も技術が進んだ国であり、ライプチヒ工場には特に優秀な技術者が集まっていたから、会社としては生産だけではなく開発拠点として使えるのでは・・という目算があったらしい。それで単なる生産現場のオッちゃんだけではなく、中堅のそれもエリート技術者を派遣することになったのだが、その中の一人が大滝氏であった。

けっきょく大滝氏ら数人の技術者はライプチヒに2年くらい滞在したが、現地でノックダウン生産を行う体制は出来たものの、社会主義陣営では優秀な東ドイツとはいえ生産技術のレベルと商習慣が余りにも稚拙なため、こりゃ話になりません!と判断して帰国したという。理論は進んでいても応用がまるっきりダメな社会主義国にありがちな話である。

さて問題は大滝氏らが帰国して1~2年たった頃に起こった。旧ソ連のレニングラード国営工場から東側にしてはかなり画期的な新製品が発売されたのだが、その製品を分解して分析してみた技術者たちは「アッ!」と驚いてしまった。そこで使われている中枢機構は筆者のいた会社が十八番にしていた秘伝中の秘伝だったからである。

電機製品と違って機械的な機構を持つ製品はブツを買ってきて分解し、その部品の寸法を測って精密な図面を作り、その部品を組み立ててコピー製品を作るリバースエンジニアリングが通用しにくい世界である。とくに十八番の機構は日本の競合他社でもマネ出来ないある特殊な作り方をしないと製品化できないのだ。つまり我が社の重要な技術がそっくり共産圏に流れてしまった・・という重大事態が発覚したのである。






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コメント

2015/10/21(水) 03:50:06 | URL | star child #/9hBKkrU
その大滝氏の、その後の暮らしが知りたいですね。
モナコで優雅な生活を送っていれば、大滝氏の勝かも

2015/10/21(水) 15:54:29 | URL | star child #/9hBKkrU
どちらにしても、いつも国際的なお話。ためになります。

気になっていたけど、ひょっとして、元xxベx?

あそこは、xxx工業というx森の防衛産業買収以来、兵器ずいちゃって新xxx工場では、兵器、航空宇宙産業に乗り出したとか?

2015/10/21(水) 16:08:18 | URL | #-
タイに行けそうなので試験を受けて内定は頂きましたが、入社したのは残念ながらミネベアではありません。この会社は仕事がハードな割に給料がべらぼうに安いのでね。

同じ職業・生まれ育った環境・感性はは大事ですは同じです。

2015/10/21(水) 20:39:43 | URL | でぶ熊 #3hri4u1c
ボスニアヘルツゴビナの案件雇用したエンジニアはセルビア人では少ない旧東独大卒でした。起業後某自動車メーカーの系列会社に出向中高校時代ポン友に頼まれボッシェと合弁で建設するペデルスブルグ(旧レーニン)の部品工場建設に彼を指名し連れて行きましたが欠かせないロシアンマフィアとも軋轢ゼロ。ロシア語だけでなく心が読めるのでしょう。残念ながら生産機械を半分以上設置した時にリーマンショックで操業せず今に至ってます。工学の世界の心はどこでも同じです。
亡妻はデザイナーでしたが再婚したピナ嫁はピアニスト崩れでPMA卒旦那と結婚するまではマニラペンのバーで弾き語りまでしたらしいですが小生もアメリカ演歌のベーシストでしたが感性は大事と思います。20年ぶりに再会した時は寡婦寡夫同士ですが。。。大事なのは生まれ育った環境、財政状態も大事だと思います、再婚し10年余が過ぎました。

2015/10/21(水) 21:19:22 | URL | star child #/9hBKkrU
ミネベアじゃなかったか(笑)

長野には、個人的には好きではない戸隠蕎麦と、絶対美味しいリンゴや山菜、きのこ、高原野菜、ワイン位しかないのでは。

他に各当するならオルゴールや精工舎系ぐらいしかなさそうな。長野県民の方、怒らないで冗談です。

2015/10/22(木) 12:36:21 | URL | klasan #-
あ、長野県じゃなくて新潟県だそうです。 長野県民より

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