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Author:ほにょ
生まれつきナマケモノの中年オヤジです。
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消えゆくフアランポーンの女たち
2015/10/07 00:02:44 |
タイ・インドシナ |
コメント:1件

80年代にバンコクのチャイナタウンに入り浸っていたからなら、フアランポーン駅前からドブ川べりにかけてゴザを引いて立ち飲みならぬ座り飲み屋(ただし屋根無し)をしていた女たちをよくご存知だろう。
彼女たちに供されるのはソムタムという青パパイヤのサラダにカオニャオ、ガイヤーンという鳥のもも肉焼き、それと赤い色をした酒くらいしか無いが、ここの売り物は何と言っても女の子たちなのだ。
料理を見て貰えば分かる通り彼女らはタイ東北部イサーンの農村部の出身者で、同じくバンコクに出てきて低賃金の肉体労働に従事する同郷の男たちは話し相手を求めて毎夜フアランポーンへと集うのである。
しかし彼女らの純朴さにはまり込むのは何も同郷の男たちばかりではなく、一日中すれっからしの売春婦ばかり相手にしていた日本人貧乏旅行者たちも滞在する安ホテルが近かった事からいつしか河っぷちに屯するようになっていったのだ。そう、かく言う筆者もその一人だ。
ずらりと並ぶ籠とゴザ。その数は数十はあっただろう。そしてどのゴザにも大概日本人が座っていて、辞書を引き引きヘタクソなタイ語を駆使して素朴なイサーン娘相手に何とか会話を試みていたものだ。中には恋愛感情に陥る男もいて、実際ここで出会った日タイのカップルは筆者の周りにも何人かいる。
しかしタイの経済成長が進んで出稼ぎ労働者ももっとマシな店に行けるようになったのと、楽宮やジュライといった日本人貧乏宿が相次いで閉鎖されてしまった事から河っぷちは規模を縮小せざるを得なくなってしまい、いまは数軒を残すだけになってしまった。
さてタイ滞在の最終日、中華街ヤワラートの散策を終えてホアラムポーン駅前に行くと、思った通りジャンがいた。ジャンは数少ない生き残り組の一人で、筆者はタイに来るたびに最低一回は彼女のゴザで赤酒を呑むことにしているのである。
ソムタムを肴にかつての友人たちの近況を情報交換する。筆者がここに毎晩入り浸っていた頃出会った娘たちは故郷ロイエット県に帰ってお母さん(あるいはお祖母さん)になっているが、中には交通事故で死んでしまった娘もいたりするのだ。
「ところでフアランポーン駅が取り壊されるって噂を聞いたけど・・」と言うと、ジャンは「そうなのよ、確かあと3年で無くなるんだって。そしたらアタシは失業だわ」と言って笑った。そうか・・、楽宮、ジュライ、台北旅社に続いてココも消え去るのか・・。
日本人の若者が沢山来ていたあの頃が懐かしいわ・・としんみりした口調で言うジャン。みんな一体どこに行ったのかしら?。今でも顔を出すのはアンタくらいだわ!と何が面白いのか今度は大笑いする。そりゃあオレはここが大好きだったからな。
河っぷちに出入りしてた男たちは今は40〜50代となり、子供の学費や会社での重い責務に悩まされているに違いないからタイなど来れるはずもない。しかし旅先で出会った多くの友人たちは定年になったらもう一度あの頃の旅をぜひとも再現したいと言っていたのを思い出した。
やっと苦役を終えて懐かしい思い出の地に来たらもはや何も残っていなかった・・。まあ人生なんて所詮はそんなものだが、今まで奇跡的に昔のままの姿でフリーズパックされていたヤワラートもフアランポーン駅の取り壊しで劇的に姿を変えつつある。時間はあと3年しかない・・。

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コメント
2015/10/08(木) 16:54:04 | URL | star child #/9hBKkrU
80年代、泰にはよく行ってましたが、仲間のバックパッカーと違うところは、「宿だけは自分を守る城だから」がポリシーで、安いビジネスホテル系に泊まってました。 ジュライも、何回か友達を訪ねて行きましたが、泊まった事はありません。多分眠れない(汗)
皆さん、自前で南京錠とっかえて、自分専用部屋にしてましたが。(笑)
皆さん、自前で南京錠とっかえて、自分専用部屋にしてましたが。(笑)
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