フィリピン人のもう一つの祖国

フィリピン人と話をしていると「我々は高学歴だ」とか「我が国は貧乏だが社会は進んでいるのだ」といった言葉をよく聞く。まあどの国の人も「我々はダメな民族です」とか「我が国は低能だらけです」などと言うはずもないから、このこと自体は別段おかしなことではない。

しかしフィリピン人のプライドについてその根拠を聞いていくとだんだん話が怪しげになっていくのだ。例えば中国人なら五千年の歴史や料理に華僑の存在など、各国にはソフトパワーや経済力の強さ、歴史や統治システムのユニークさなどオリジナリティがあるが、フィリピンの場合は自然以外はその度合いが薄いというか大して目立つものが無いのだ。

フィリピン人は「アジアで一番民主的な国だ!」と胸を張って言うが、政治家があからさまに金をばらまいたり全く実現できない選挙公約を挙げて票を集めても懲罰できないこと民主的とは呼ばないはずである。それから歴史については中世のことは何一つ判明していないし、料理は間違いなくアジア最低で、中等教育を省いて16歳でカレッジに入学する教育制度を進んでいる表現するのは正確では無い。

となるとアジアで唯一のキリスト教国である事と英語が普及していること位しか誇れることはないのだが、失礼ながらそれだけにしては随分とプライドが高いのが気になっていたのである。しかし先日空港へ向かう途中に従兄弟ラフィーと鉄道について話をしている際、フィリピン人の背後に潜むプライドの正体を垣間見たのだ。





彼は「アメリカ型のシステムは世界で最も進んでいる」という考えを述べた後、アメリカの海外領土であったフィリピンは最先端の社会システムで運営されている・・と言ったのである。先ほどはフィリピンの政治はダメだ・・と言っていたのに最先端とは分かりにくいと思うので例を挙げて説明したい。

マニラに社会サービスを作り出す工作機械があったとする。この機械は100年前にアメリカで作られたもので、現在ワシントンに置かれたオリジナルの機械は今でも世界最高の社会サービスを生み出しているのだが、一方マニラの機械は「オペレーターの操作の仕方が間違っているため」欠陥商品を生み出している・・という考えだ。

これを言い換えると、アメリカ製よりも劣った機械を使っているタイやマレーシアなどのアジア諸国よりもフィリピンが上手くいって無いのは一部の政治家がシステムを悪用しているからであるが、フィリピンは世界最先端の機械を持っているという優位性は変わらないので、まともな人間がオペレーターに就けばアジア随一の豊かな国へと変貌するはずだ・・という考えなのである。

多少ものを知っていればこれが重大な誤りであることはお分かりだろう。世界一高い医療費に5000万人にも及ぶ絶対貧困層の存在、犯罪者を野放しにする人権重視の刑法、外交政策に関してはCIAや国務省よりも石油会社のロビイストに耳を傾けるワシントンの政治プログラムなどアメリカには構造的な欠陥があってとっくの昔に軋んでいる。





ただしアメリカには自己犠牲の精神に溢れた篤志家や官僚、教会などまだ数多くいて、あちこちにボッコリと空いた大きな穴を埋め立てる作業をしてくれるが、フィリピンと来たら上から下までどうやって金をかすめとるかしか考えてない無責任な人間ばかり。はっきり言うと欠陥を抱えたポンコツ機械を堕落したオペレーターが操作してデタラメな社会サービスを生み出している・・というのがフィリピンなのだ。

上手くいかないならサッサと設計変更するか、もしくは他国の社会システムを導入すれば良さそうだが、今までのシステムを治すのは面倒だし、それにシステムには相当多くの人間が寄生してしまい、その利権を取り上げると生命にかかわるので結局そのままになってしまう・・。こういう処はアメリカより前のご主人様スペインの保守性(というか怠惰性)が顔を出してしまうようだ。

ただ何もできないことを認めたくないので、「自分たちはアメリカの・・」と虎の威を借るかのように叫ぶのだろうが、ここらへんは今にもつぶれそうなかつての大企業が「わが社は世界に先駆けて○○を開発したのだ!」などと半世紀前の偉業を誇らしげに語っているのと同じような気がする。

それにフィリピン人と話していると、彼らはアジアの一国というよりもアメリカ文化圏の一部であるかのように振る舞い、そこに優越感を感じているように思える時がある。他国のシステムをそのまま丸ごと持ち込むリバース・エンジニアリングの社会システムなぞ上手くいった試しはないのだが、他に民族の骨格となるモノが大して無い以上、フィリピンは今後も偉大な祖国アメリカに密かな誇りを感じ続けるのだろうか・・?。






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鉄道と言えばLRTの自動改札にカバーが被るようになって改札掛の切符回収に変わり懐かしい日本の国鉄時代を思い出しました。PNRもふかふかのコケと雑草の生えた線路を走っていていつかひっくり返るかもと思っていました。道路は渋滞するので地下鉄は無理でも鉄道が良くなることを願っています。

米準州 

ヒリピン人がヒリピン人らしく生きられる地はサイパンかハワイのようです。

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