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名門焼肉店の虚像

2015/07/17 10:22:49 | 日記 | コメント:2件

筆者の女房は焼肉好きで、今回日本に来てから各地の名店で舌鼓を打ったが、1つだけ不満を感じているのは付けタレである。日本のどの店でも肉は最上等のモノを使っていて満足しているのだが、タレの方が女房のお眼鏡にかなわない様なのだ。

筆者の女房は焼肉が大好きで、日本に来てから最低でも3日に1度はカルビやロースに舌鼓を打っているが、お前が今まで人生で食った焼肉で一番美味いのは何処だ?と聞くと、意外に思うかもしれないがバンコクの玄風館という店だと言い張る。

何で但馬牛や鹿児島黒毛牛の有名店で食ったのにバンコクなんか?と思うだろうが、肉の良し悪しではバンコク玄風館は劣るものの付けダレは一風変わってて美味いのだ。いわばここのタレは他にないオンリーワン商品ということだ。





味噌と玉ねぎとニンニクを思い切り多めに使った甘辛い付けダレ。最初これを見た時には新種の福神漬けか何かか?と思ったが、これを肉になびって(乗っけて)食うと、えも知れぬ旨味と甘味が口に広がって行くのだ。

バンコク玄風館は客単価の制約からローカルビーフを使っているが、肉の弱点を補っても有り余るほどの付けタレの美味さである。それでバンコクに行くたびにトンローにあるこの店に足を運んでいたのだが、この店を紹介してくれたFという後輩が最初に言った事を筆者はずっと覚えていたのだ。

「福岡に玄風館という凄く有名な焼肉屋があって、ここはその支店なんだよ」。このFは生まれも育ちも福岡市で、親父さんは超大手商社の重役でガキの頃から美味いものを食い尽くしているから信頼できる。





それで福岡に来た筆者ら夫婦はモツ鍋や水炊き、海鮮鍋などをさて置いて玄風館に行くことにしたのだが、ネットで調べると玄風館という名のついた店は何軒かあって、どれが本店なのか良く分からない。

それでネットで「この店に行ったら病みつきになる」と一番評価の高い千代店に予約をしたのだが、地下鉄の駅からパピヨン通りという殺風景な通りをとぼとぼと歩いて行き、10分後にたどり着いたのは川っぷちの物置の様な小屋。

まさかココじゃねえだろな・・と思ったが、よく見ると「玄風館」という看板がかかげてある。貧相な店構えに尻込みする女房。しかしこういう汚い店が美味いんだよ!と宥めてガタついた戸を開けると、此処は下町の民家か?と思う様な古臭い店内が目の前にあった。





「いらっしゃい!何人さん!」と隣の国のイントネーションで叫ぶ年齢不詳のおばさん。メニューも出さずに「カルビをタン塩食べるわね!」と勝手に注文を取ろうとするので値段を聞くと1200円と900円だという。この人なんとなくメンヘラの雰囲気が・・。

そして「タレは辛口か普通か?」と聞いてきたので普通と答えると、アイヨ!と威勢良く答える。そしてテーブルの上に置いてあるコンロをガチャっと音を立てて火を付けた。ちょっと待て・・、炭火じゃなくてガスかよ!。

さらに待つこと30秒でビールとタン塩とカルビが登場。やけに早いな・・と思ったが、いつまで経っても塩ごま油とお目当ての濃厚味噌味の付けダレが出てこない。それでオカミさんにタレを早くくれ!と頼むと、相手はハァ・・という表情をして「もう味はついてるわよ」と言い出した。





なななにー!付けダレが無いだとぉぉ!。俺たちゃそれ目当てに来たんだぁ!と抗議したところ、このオカミさんはびっくりした顔をしながらも「22年前にオモニが死んでからアタシがこの店を仕切ってるけど、付けタレなんか出したこと無い!」と言い張る。

なんだよ、Fの情報は間違いだったのか・・と気づいたが、しかし客は後から後からひっきりなしに来るから美味いことは間違いないのだろう。それで付けダレは諦めて博多の老舗の味を楽しむことにしたが、焼きあがったカルビを口に含んだ時に自分が幾つもの間違いを重ねていたことが分かった。

辛いのだ・・、めちゃくちゃ辛いのである。ちなみに筆者は四川料理やタイ料理など唐辛子系の辛い料理は大好きで、辛さの裏にある一種のコクのような旨味を感じ取れる舌の持ち主だが、ここ博多玄風館のタレは旨味などなく、単に安い肉の臭みを消すために辛くしてあるだけなのだ。





「こげなウマか肉は食うたことがなか!」「毎週この店ば来んと病みつきになるバイ!」と背後のテーブルでは地元民の親父たちがビール片手にこの肉をガツガツ頬張りながら絶賛していたが、筆者の中では巨大なハテナマークが頭の中に浮かんでくる。

薄汚い店で安い肉を唐辛子で誤魔化してガスコンロで焼く。しかも付けダレ無し。良いところが一つとしてないのだ。これは昭和40年代の焼肉そのものじゃないか・・。福岡は大阪を超える美食の街だと聞いていたが、こいつら味覚なんか全然分かって無いんじゃないか・・。

「えーっと!あれあれ!チシャが・・アッアッアーッ!」と叫びながら床に転ぶオカミさん。どうやら無造作に置いた段ボールにつまずいた様である。その滑稽な光景と同様に筆者の脳内にあった「博多は美食の都」というイメージも無残に転がり堕ちていった。






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コメント

No title

2015/07/19(日) 00:53:39 | URL | star child #/9hBKkrU
店が違っていたのかな?それとも、甘口タレ?

Re: No title

2015/07/19(日) 10:32:59 | URL | ほにょ #-
> 店が違っていたのかな?それとも、甘口タレ?

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