北陸の忌まわしい話(2)

級友J君が痛みに耐えかねて喋り出したのは、火葬場で揉めていたのは死んだ高校生の遺骨を初老の男が売ってくれ!と切り出したからに違いない、○○○○○○というのは漢方薬の名前で、原料に人骨を使うのだ・・という話だった。

この話を聞いたイチイくんは「そんな馬鹿な事あるか!」と反論したが、J君は「いいか!絶対誰にも言うなよな!」と言って彼の故郷の村で昔から行われている商売の話を始めたのだそうだ。それはとても信じられない話だったが、J君があまり真面目な表情で話すので段々聞き入ってしまったそうだ。

皆さん良くご存じの通り富山の薬売りというのは有名だが、昔の漢方薬と言うのは植物や生薬、牛の胆石なんかと並んで人間の体の一部を使っていたのだという。そして当然そういう原料は人間の死体から取ることになるのだが、問題はその調達先である。





とうのは老衰で死んだヨボヨボの爺さんや結核やガンで死んだ病人の骨は漢方薬の原料としては適さないので、やはり若くて健康な死人が必要になって来るのだが、となると死因は交通事故か自殺のどちらかに限られてくる。ただし誰にでも骨を売ってくれ!とおおっぴらに頼めるわけでは無いから、山岳部の住民や製薬業に関係しているなど利害関係のある人間に頼むと言うのだ。

今の時代にそんな馬鹿な!とイチイくんは思ったが、続けてJ君が言った「お前も骨壺がやけに小さいのを見ただろう。俺の家の近辺で早死にした人間にはそういう決まりがあるんだ」という一言がやけに記憶に残ったらしい。実際イチイくんは葬式での言い争い以外はボンヤリとしか覚えておらず、まして骨壺の大きさなど考えた事もなかったが、話の本筋からは幾分ピントの外れたJ君の一言に妙なリアル感を感じたのだそうだ。

「あの骨壺の話を聞いた時に俺はこの話は本当だと思ったよ」というイチイくん。それでイチイくんは漢方薬の人骨使用について調べてみたところ、J君の言う通り明治時代までは当たり前の様に配合されていたらしい。じゃあ今でも?。まさか!今は法律で禁止されてるよ!。でも漢方薬の世界は奥が深いからな・・。京都や大阪の老舗ならこっそり使っているかもしれんぞ・・。





さてそれから10年後に香港に移り住んだ筆者は、漢方薬に詳しいレイ・ロンチョンというお客から人骨を配合した薬が今でも売られているという話を聞いた。漢方薬の原料は広東省の西隣にある広西チワン族自治区が本場だが、ここのチワン族という少数民族住民は山に入って生薬を採るだけでなく墓を暴いて人骨も収集しているというのである。

レイさんの話では、胃が悪ければ胃を食い肝臓が悪ければ肝臓を食うという中国医学のセオリー通り、骨折や骨肉腫、脊椎変形などの骨の病気には骨を食べるのが効果的なので、一応表向きは禁止されているものの本物にこだわる老舗の漢方薬店はこっそりと人骨配合の漢方薬を高額で販売しているという話だった。

漢方薬の本場では今でも人骨が使われている・・。という事は40年前の日本でも人骨を配合した薬が密かに作られていたというのも全くのウソとも思えない・・。なおオカルト話が大好きなイチイくんが調べたところでは、その薬を飲んで呪われたりすることは絶対に無いのだそうだ。話自体が作り話なのか?それとも富山の薬売りには怨霊化するのを封じ込める力があるのか?。そう考えると富山の薬売りという一見牧歌的な人たちが、実は得体のしれない不気味な存在に思えてきた。






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No title 

以前フィリピンで話題になった、遺骨収集グループの遺骨買収(礼金)問題。余った遺骨は、漢方薬原料収集組織が手に入れたかも。

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