金持ちになったメンヘラ女

香港で働いていたころ良く通ったフィリピンパブのママと旧正月の挨拶をチャットで話していると「あんたマニラではジョセフィンに会った?」というメッセージが飛び込んできた。ジョセフィン・・。ひょっとして「ブイブイ」にいたジョセフィン・ティグノ(Josephine Tignoと書く)の事か?と聞くと「そうだ」と答える。そして「ジョセフィンは今は随分と羽振りが良くなっているみたいよ」という一文が書かれてきた。

ジョセフィンが金持ちだって・・?と驚いてしまった。と言うのは20年前のジョセフィンはいつも貧乏でピーピーしていたからである。一応フィリピンパブの新入りホステスではあったが、実態は雇い主の逆鱗に触れて家から追い出された出稼ぎ家政婦で、香港に来る前はターラック市の公衆市場で母親と一緒に豚肉を売っていた田舎女だから夜の仕事には全然向いていなかったのである。

「アンタとジョセフィンは色々あったからね・・」と意味ありげな一文の後にママはフェイスブックのアドレスを添付してきた。そしてクリックすると随分と老けたけど紛れもないあのジョセフィンの顔が大写しでパソコン画面に現れた。それと同時に20年前に携帯電話に残されていたジョセフィンの肉声が脳裏に蘇ってくる・・。


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「ギ%&F#★@アH$ィVG■アー!!」。

当時エリクソンのメモリー最大許容値14回まで毎日のように入っていたジョセフィンの叫び声である。ブイブイで最初に出会った時には単に世間話だけをしただけなのに、2回目に店を訪れるや目をウルウルさせながら「再来週のマカオ旅行のことだけど、従姉妹にはアナタと一緒に行くと伝えておいたわ」と全く何の脈略も無い話を言い出したのである。

ジョセフィンは思い込みの激しい、いや妄想壁のある女だった。まあそれでも当時の筆者は付き合っていた女と別れたばかりでヒマだったから一緒に飯を食ったり、週末に家に遊びに来させたりしていたのだが、ジョセフィンの頭の中ではだんだん勝手な想像がふつふつと増殖していき、時々ブツブツと破裂し始めたし、なによりアソコがヘドロのようにものすごく臭いので「こりゃダメだ」と思った筆者は一切のコンタクトを断ったのである。

その結果として前述の「ギ%&F#★@アH$ィVG■アー!!」の叫び声になったのだが、筆者が電話に出ないことに業を煮やしたジョセフィンは筆者のアパートのドアの前で待ち伏せするようになり、毎回ガードマンに見つかって追い出される際にはドアの下に手紙を差し込むのだけれど、これが「よくぞココまで行ったな・・」と呆れるくらいの物凄い心の叫びがなぐり書きしてあるのである。


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しかし数週間後にビザ切れのためジョセフィンはフィリピンに帰国することになり、それで筆者は胸をホッとなでおろしたのだけれど(ターラックから凄い世界観の手紙は何通も来た)、数か月後にロアーナ・ディナクルスという従姉妹か誰か名義のパスポートで香港に入国し、物凄くテンパった表情をしたジョセフィンが突然筆者の前に現れた時には心臓が飛び出るかと思った。

結局その後2週間に渡って筆者は再び只ならぬアプローチに悩まされることになったのだが、ジョセフィンがビザ延長のために一旦深センに出国し、香港に再入国しようとしたところで偽パスポートがバレて香港政庁に入国を拒否されてしまい、深センで路頭に迷って筆者に「助けて!」と電話をかけて来た時に筆者の運命は好転したのである。

筆者がこの時どういう対応をしたのかについては全くご想像の通りだが、この一件でジョセフィンは完全爆発し、「絶縁」を宣言する絶叫連発のキ印電話を掛けてきた。しかしこれ以後もジョセフィンはどういう方法か不明だが香港に居座り続けたのだが、たまに筆者にカマを掛けてくる位で以前のようにしつこく付きまとうことも無くなり、3年後に筆者が1回目の赴任を終えて帰国して以降はジョセフィンの事などすっかり忘れていたのだ。


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それでジョセフィンはいったい何を仕事にしているのか?とPパブのママに聞くと、アムウェイかニュースキンなどのエージェントを経験した後、現在はAVONと別の化粧品会社の代理店を営んでいるという話だった。この社名を見ればもうお分かりの通り無店舗型連鎖取引、いわゆるマルチ商法である。その時背中にビビビッ!と何かが走り抜けた。

そう!そうなのだ!。確かにこれぞジョセフィンの天職なのである。あれだけ思い込みが激しくて、何でもかんでも自分の都合の良いように妄想した上に、相手の事など何も考えずに躊躇なく行動していくジョセフィンにとってマルチ商法は正に打ってつけの職業に違いない。

おそらくジョセフィンは誰かのカモとしてマルチ商法の末端会員に組み込まれたが、集会で洗脳される前に自らの思い込みと妄想力によって(方向性が正しいかどうかは別にして)最も熱心な会員になっていたに違いない。そして持ち前の常人離れしたバイタリティーを駆使して誰よりも早くゴールデン・ディストリビューターとかダブル・クラウンなんとかに昇進していったのだろう。


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それでPパブのママに「へえ、それは良いニュースを聞いたよ」などと無意味な返事を書くと(他人様相手に化粧品扱う前に自分の臭いアソコを何とかしろよ!と思ったが・・)、「今ジョセフィンはマカティのMCSタワーコンドに陣取って何人もの部下を使っているんだって」と書いてきた。しかしマカティのビルの名前はリサール州に住む筆者にはチンプンカンプンなので、その時は「それは凄いね」などと書いてお茶を濁しただけだった。

さてPパブのママとのチャットから2か月が経過したつい先日のこと、マカティのリトルトーキョーで飯を食い終わった後、従兄弟ジェンが車を停めた方向に歩いていくとマカティ・シネマ・スクエアを見つけた。その昔女房とは別の女と一緒に「エビータ」や「ロミオとジュリエット」を観に来た懐かしい場所である。それでケータイにあるグーグルマップで位置確認したところ、いま自分が今立っている場所に見覚えのある名前が書かれているのを見つけた。

MCS TOWER CONDOMINIUM・・。そうか、MCSとはマカティ・シネマ・スクエアの略なんだな・・と気が付いた時に、アレッ?MCSって何処かで聞いたことあるぞ・・と思ったのだ。そうだ!MSCはジョセフィンのオフィスがある場所じゃないか・・、つまりあの女は今現在この上の建物にいるんだ・・・。そして首筋にヒヤリとした冷たい感触が蘇える・・。そして「ギ%&F#★@アH$ィVG■アー!!」という叫び声が・・。

それ以来リトルトーキョー近辺には行っていない。たぶん今後も行くことは無いだろう・・・。


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今は、マカティシネマスクウェアには映画館は無いのですが、昔はその名の通りあったのですね。

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