中国人ビジネスマンたちの泣きどころ

筆者が駐在員時代の代理店であったトン氏が財界人に贈られる勲章を受賞したと奥方から連絡が入った。トン氏と筆者はもう20年もの付き合いであり、筆者はトン氏から中国人の商売のやり方を表も裏もじっくりと教えてもらったので何ともうれしい限りである。多くの成功した香港ビジネスマンがそうであるように、トン氏も少年時代に文化大革命が吹き荒れる中国からカバン一つで香港に逃げてきて、以来45年間あの手この手で格闘しながら数百億円の事業王国を築き上げた叩き上げの人物である。昨年は念願の上場も果たしたし今年はビジネスマンとして表彰されたのだからトン氏にとっては感無量であるに違いない。
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ちなみに香港の成功した会社オーナーというのは大部分がトン氏にような叩き上げで、義務教育を終えた後すぐに商売の世界に飛び込んで鍛え抜かれた猛者である。実際その動物的な勘の良さと目的のためには手段を選ばぬ貪欲さは一目置かざるを得ないだろう。道端で商売のイロハのイから学んできた中国商人の凄味の前では日本のお上品な大卒サラリーマンなんて最初から相手にならないのである。もしアナタが「俺は華僑とでかいビジネスを・・」とか偉そうに言ってる一部上場企業のサラリーマンを見つけたら、そいつは十中八九華僑にいいようにカモられている事に気が付かないお人よしの間抜けと思った方が良い。華僑と日本人サラリーマンでは爬虫類とリスのような小動物くらい生物学的な違いがあるのだ。
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さて完全無欠に見える香港商人たちにも実は泣き所があるのだ。それも十人中九人は同じ悩みを持っていると言ってよい。それは息子である。ビジネス界で成功したとは言え、香港商人たちは自分が義務教育しか受けていないということにコンプレックスを抱いている。なので自分の後継者には最高の教育を受けてほしいとイギリスもしくはアメリカの名門大学に送り出すのだが(カネはいくらでも払う用意がある)、この息子たちはほぼ例外なく後継者として全く使い物にならない人間になって香港に帰ってくるのだ。筆者は叩き上げの会社オーナー達から「アメリカの大学が息子をダメにしてしまった」というため息まじりの愚痴を何度も聞かされたものである。
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ここで言う「ダメ」というのはアメリカで遊びすぎた・・という意味ではなく、かれらはちゃんと優秀な成績で修士号を獲得して帰ってくるのだ。しかしアメリカのビジネススクールで教えられる学問は経営管理の方法論としては使えるけれど、競争戦略の手法が余りに正攻法というか綺麗事ばかり並びたてていて、中国人特有の「出し抜く」「裏をかく」「横取りする」という邪道な商習慣と全然マッチしないことである。アングロサクソンの教育は中国人特有の毒気をすっかり漂泊してしまい、公共放送のドラマに出てきそうなナイスガイに変えてしまうのである。「息子がMBAを持って帰ってきたので取締役会で発言させたんだが、そんなことは誰でも分かっている事を小難しくニコニコ話しているだけで・・」とは上海出身の大手顧客の弁。まあ3年くらい現場で働けば元に戻るだろう・・と期待したが、この息子が本当にバカなのはいまだにアメリカで学んだ綺麗事の学問が正しいと信じていることである。この青二才のバカ息子のおかげで会社は叩き上げの若いオーナーが経営する競争相手にいいように翻弄され、毎年顧客を失い続けた挙句に廃業に追い込まれつつあるのだ。
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「中国人の本質とは、腹が減った!よしアイツの持っている饅頭をかっさらえ!ということだ」と筆者はトン氏から随分と教えてもらった。交渉はいつもギリギリの線で臨んでくるし、言いがかりや恫喝に約束反故、筆者の同僚に賄賂を渡して機密情報を盗んだり、女を使っての懐柔なんてのは日常茶飯事で筆者は随分とトン氏に煮え湯を飲まされたが、会社はそれなりに儲けさせてもらったし重要な市場開拓では多大な貢献をしてくれたので筆者も今は感謝している。まあこれくらい毒々しくないと香港じゃアントレプレナー大賞なんて取れないのだろう。さてトン氏の後継者である息子だが、ケンブリッジ大学の名門カレッジへの入学試験に合格したのに地元の香港大学に進学したそうである。きっと慧眼鋭いトン氏の指示に違いない。息子を中国人の世界にドップリ漬からせ六韜三略でも学ばせてクセの強いリーダーに育てるつもりだろう。まあトン氏自体が兵法みたいな教科書だしな・・・。どうやらトン氏の会社は今後とも業績は安泰そうなので株でも買うことにするか。

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