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健康マニアの中国税関幹部(3)

確かに周の言う通り中国税関の職員たちは自殺しているのと同じだった。毎日の様にどこかの会社が主催した宴会に参加しては脂分とコルステロールたっぷりの中華料理を食べ、ブランデーやマオタイ酒をへべれけになるまで飲み続けるのである。常識的に考えてこんな生活を1年も続ければ体のどこかがぶっ壊れるに違いない。

しかしあくまでこれは日本人の発想で、当の中国人たちはそんな事は誰も思っていなかったのだ。というのは元々中国人というのは享楽的で刹那的な人生観の持ち主で、特に今世紀の中国の歴史は長らく悲惨そのものだったから酒池肉林の毎日が過ごせるというのは彼らにとっては夢の様な話で、こんなチャンスを見逃す奴は大馬鹿者だ!という発想なのだ。

しかし若きエリートである周は当時の中国人としては随分と異質な事を言う。それにこの手の発言は本日の宴会の金主である筆者に対して言うべきものでは無い。それで周の配慮に欠けた発言には少しカチンときていたので「それじゃあアナタはどういうライフスタイルを実践しているのか?」と聞いてみたのだ。

周はジョギングとジムで毎朝汗を流し、宴会に参加する時以外の普段の食事は肉類や炭水化物を出来るだけ抑えて穀類と野菜中心の食生活を送っているのだと答えた。何だよ・・そんな人もたまにはいるじゃないか!と思うだろうが、言っておくがこれは日本では無く10年前の中国の話である。それに周にはこれとは別に漢方医療のオタクという極めつけの顔があったのだ。





周が言った事を書くととてつもなく長くなるので詳細は割愛するが、彼は漢方薬を店から買ってきて飲んでいるのではなく、自分で材料を買い集めて調合したり、親しい友人の手のひらを取って診療し、彼のためにクスリを作ったりしていたのだ。なんと自宅には広西省から取り寄せた何百種類もの漢方薬が貯蔵されていてミニ薬局の様を呈しているのだと言う。

「アンタは北京の党学校じゃなくて中医学校に通っていたんじゃないか?」と言ったら、これはあながち冗談でも無いらしく、北京時代は有名な漢方薬屋に勤めている漢方医から診療法を教わったり古い文献を読み漁って研究に研究を重ねていたらしい。そして広東省に配属が決まった時には漢方薬の本場なので小躍りしたと言うのだ。

「ところが期待とは裏腹にこっちに来たら毎日宴会続きなんですよ。まあこれも仕事だから最初のうちは私も付き合っていましたが、ほとんどの同僚が糖尿病や肝臓病を抱えているのを目にしてからは、少しでも彼らの役に立てればと無料で漢方薬を調合してあげていたんですよ」という周。どうやら自宅のミニ薬局はこのために作ったらしい。

「ところが彼らはダメなんですね。目の前に酒と食事が出てくると我慢することが出来ないんです。宴会は最低でも一日おきにするべきだと何度も説明しましたが、彼らの欲望は余りに深いために緩やかな自殺を止められないんです。金や美食も命があってのものだということが何時までたっても理解できないんですよ」。





その後数年間にわたり周とは宴会の度に顔を合わせたが、いつも彼は大騒ぎしている連中と馴染んでいる様には見えなかった。しかしこの数年間のうちに豚のパン(周の上司)が冠動脈で死に、宴会で大騒ぎしていた連中の大半も突然異様なほど痩せ細ったり、宴会自体に出てこなくなってしまったから、事態は周が予想した通りになっていったようである。

一方周の方は全然年を取った様には見えず健康そのものだったし、上役たちが健康を害して続々と消えていったためか最初は単なる監査役だったのが小さいながらも1つの職場を任されるようになり、やがて昇進に昇進を重ねて数年後には同じ広東省の他の事務所の所長として栄転するまでになった。

さてここで一昨日の話に戻る。周らを接待する側にいた香港人の友人のメールには「周がアンタ(筆者)によろしくと言っていた」と書かれてあったが、なんで周がいまだに○×区の事務所の宴会に顔を出すのか不思議に思ったのでこの件を友人に聞いて見たところ、なんと周は広東省全体を統括する税関の最高幹部の一人に昇進しており、○×区事務所は彼の直接の指揮下にあるのだそうだ。

金や美食も命があってのもの・・・。確かに周の言うとおりである。周は党学校卒業という学閥には属していたものの、職場での立ち位置は微妙だったから彼の昇進はライバルたちが体をぶっ壊してどんどん脱落していった事によるものに違いない。中国人は謀略に長けた小賢しい民族ではあるが、実は健康と長寿が最高の戦略だったとは実に皮肉だが的を得ている話である。






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スーパーで買ってきた58円の売れ残りチョコレートプリンを食べながら読むお話ではなかったですね。昨今のスウィーツブームで日本人は糖分を摂りすぎる傾向があるというインターネットの記事を思い出しました。同時に我が家には、一見病人に見えない病人がいるのも思い出しひゃっとしました。家族の健康を守るためにも、自分も体に入れる食べ物を選ばなくては。
時々、含蓄のあるお話が出てくるのがこのブログのいいところですね。

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