健康マニアの中国税関幹部(1)

2015/02/24 08:08:35 | 香港中国 | コメント:0件

香港の取引先の友人から旧正月の挨拶メールが来たが、そこに「○×区の税関との宴会で飲みすぎたよ。あそこの周△□がアンタ(筆者)によろしくと言ってたぞ」という一文が書いてあった。ああ・・○×区か・・。あそこは酒にだらしない下っ端職員が一杯いたからな、でも周△□は奴らとはずい分と毛色が随分違ったけど・・と昔の事を思い出した。

筆者の香港駐在時代に頭痛の種だったのが中国国内の顧客への商流、つまり密輸の問題だった。筆者の扱うキーパーツを買い中国国内で完成体にして第三国へ輸出する場合は一旦納めた輸入関税は全額還付されるのだが、輸出せずに中国国内で消費される場合は20%の輸入関税は戻ってこないのだ。当然金にがめつい中国人客は関税など払う気はさらさらなく、彼ら相手に売り上げを立てるためには密輸ルートを使ってモノを中国内に運ぶ必要があったのっである。。

密輸の方法は実際の価格の1/10にアンダーバリューして納税額を減らす、トラックや船に隠して持ち運ぶ、運び屋を何十人も用意して旅行荷物の中に忍び込ませる等々いろいろあるが、一番簡単な方法は皆さんお察しの通り税関幹部に賄賂を払ってインチキ書類に目をつぶってもらう事であった。





取り締まる側の人間を買収しているので摘発のリスクはグンと減るし、何より筆者の会社だけで年間何十億円もの税金を払わなくて済んだのだから、賄賂こそは正に願ったりかなったりの解決方法であった。ただし日本企業が税関を買収したことがバレると筆者の会社全体が中国政府から重大なペナルティーを受ける可能性があるので、表向きは香港と中国の代理店が矢面に立つ形にせざるを得なかった。

しかし中国政府にとっては莫大な税収額を失っている訳だから当然不正摘発のための行動に出てくるわけで、実際毎年のように北京から調査チームが送り込まれてきたし、広東省の親玉が属する共青団派とは敵対関係にある上海派の連中が横やりを入れたりすると、さすがの不正幹部たちもすっかりブルってしまい、彼のルートも暫定的に停止せざるを得ない時が年に数回あった。

今では経済犯も罰金と懲役刑で済むようになったが、筆者が赴任した90年代は汚職は下手すれば死刑である。なので筆者も彼らにはあまり無理強いは出来なかったのだが、実は彼ら不正幹部たちの本当のリスクは北京の本庁や共産党内の政治対立などのご立派なところではなく、もっと身近なところ、つまり自分たちの部下たちによる内部告発だったのだ。





こう書くと愛国心と正義感溢れる青年職員が人間として堕落した不正幹部を摘発する構図を想像されると思うが、実際は幹部が賄賂を全部ガメてしまって自分たちが取り分を貰えないことに業を煮やしただけなのだ。つまり下級職員もほぼ全員が上に劣らず人間的には堕落していたわけで、筆者が担当していた期間に失脚したは全てこのケースが原因だった。

しかし筆者にしても突然密輸ルートが閉じてしまっては仕事にならぬから、当然税関の下級職員の動向にも目を配らなければならないが、この税関の下級職員と言うのはべらぼうな人数がいるし、まさか税関事務所に直接出向いて一人一人と挨拶をする訳にもいかない。それに直接交渉すればウンと高い賄賂を吹っかけられてしまう。

では打つ手はないじゃないか・・?と思うだろうが、そこは中国5000年の知恵と言うのがあって、こういう場合は人ころがしの王道、つまり宴会を催すのである。要するに金を直接渡す代わりに下級職員たちを飲み食いさせて懐柔するのであるが、これを各税関事務所ごとに最低でも年4回やるのだ。そしてこの日記の最初に書いた○×区の税関事務所の周△□はその接待相手の一人だった。






にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/511-ee1aff58
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)