人を魅了し堕落させる甘い香り(1)

今から四半世紀前、バンコク・ヤワラートにあった伝説の安宿ジュライホテルの一室で渡辺と藤井というバックパッカーと安酒を飲んでいた時のことである。渡辺くんはえらく長い時間をバスルームで過ごし、やっと筆者らのところへ戻ってきた。「ずいぶん長いクソだなぁ・・」と他人の部屋で用を足したことに嫌味の一つも言うと、この渡辺くんがそれまで俯いていた顔を上げたのだが、彼の顔を見て飛び上るほど驚いてしまった。

目が・・目が真っ赤に充血しているのである。それも尋常じゃないくらいに・・。それで「おい!お前だいじょうぶか!」と二人して渡辺くんに抱きかかったが、この渡辺くんはトローんとした表情をしている。そして実にゆっくりした口調で「ああ目か・・オレの場合はいつもこうだから気にすんなよ・・」とまるでフワリと空中に浮いているような口調で話す。

この渡辺くんはつい1か月前にインドのゴアというヒッピーの聖地で出会い、そして日本帰国の経由地であるバンコクで偶然にも再会したのだが、彼の赤く変色した目とゴアでの行状から葉っぱや樹脂よりも危ないクスリをやった様である。インドから持ち込んだのか?それともバンコクのホテルの周りにある危ない店で購入したのか知らないが、よりによって筆者の部屋で危ない薬をキメやがったのだ。

ジュライホテルは当時の筆者らの様な貧乏バックパッカーのたまり場で、当然昼間からラリッている野郎が山ほどいたのだが、葉っぱは警察に賄賂を渡せば黙認してくれるけれど、ケシ系やケミカル系は問答無用で刑務所行きである。特にこのホテルのボーイは警察に密告することで副収入を得ていると噂されており、今現在渡辺くんだけでなく筆者ら3人は大変危険な状況に立たされている・・。





怒りのあまり渡辺君の胸倉をつかもうとした筆者。今すぐこいつを叩き出して部屋の掃除や換気をしなければならない。しかしその時に筆者は実に不思議な体験をしたのだ。絵も知れぬような香しい匂い。心の奥から吹き上がる怒りをフッと消し去り、心を穏やかにしてしまう甘い香りが渡辺君がたった今まで居たバスルームの方からフワリフワリと漂ってくるのである。な・・何だこの香りは・・?。

煙を嗅いだだけで高揚した感情が一気に抑制されるというのも変な話である。実は筆者もその瞬間にそう思ったのだ。こんな至急存亡の時になぜ自分はこんな穏やかな気分になったのか・・?。そして筆者の脳裏にある閃きが浮かんだのだ。そう・・筆者はこの香りを前に嗅いだことがあって、その時のやんわりと全身を包み込むような原体験が蘇ってきたのだ。

それは筆者がまだ小学校に上がる前、高熱を出して寝込んでいた時である。母親が救急車を呼ぼうか・・などと言っていたから相当ヤバかったのだと思う。ところが父親が何かのクスリを持ってきて筆者に飲ませた後、香の様なモノを焚いた記憶があるのだが、その後の記憶がすっぽり抜け落ちているのだ。

その後筆者は入院した記憶は無いので、おそらく直ぐに回復したのだと思う。しかし筆者は父親が「あの薬はあんまり飲ませちゃいけないんだ」と後に言ったのを覚えていたのだが、どうやら体の方までバスルームから漂ってくる甘い香りと心を落ち着かせる効果を覚えていた様である。その時筆者はこれはひょっとしてケシなのではないか・・と思い始めた。






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バンコクに駐在してた頃はオクスリの取り締まりは厳しくなくヤワラットの冷気茶室では客の求めに応じて提供し白黒ショーの男優は皆やってました。長距離トラック運転手は1一種の覚醒剤を使用者が多く深夜走行中に窓から買ってたらしいです。屋台の人気店のバーミンナムのスープには乾燥させた大麻を綿の袋に入れ出汁を取りルンピニ公園で売ってる日本のスルメのような物には大麻の粉を掛け味が一味違います。
毎晩のように行ってた駐在員相手のクラブは突然照明が消え警官が。彼らが査察中に大麻を投げ込みのを防止です。
パッポンのようなナイトスポットで警官に職質を受ける時は明るく人が多いとこに行くべしと初期教育されました。ポケットに突っ込まれ彼らの小遣い稼ぎ防止です。

警察士官学校卒業生の人気任地はボーダーパトロール、ケシ系お薬取り締まりで稼ぎが良かったらしいです。
バンコク郊外の刑務所には元丸暴系何時も5~6人にいて頼まれ手紙の翻訳等をボランテアしました。
又印度で麻薬を覚えた阿保邦人が多くいました。お薬と幼児買春を覚えた邦人は取り締まりが厳しくなったタイから隣国カンボジアに棲みついた人を港町シアヌークビルで仕事してた時に多く見ました。
大麻は吸った事がありますが音楽の音は良く聞こえましたが肌の感覚が敏感になりそよ風でもくすぐったく続ける気はありませんでした。

隣国マレーシアだけでなくシンガポール、中国も死刑ですから厳禁です。シンガポールは入国せずに空港内でも捕まります、古いですが英人女性が逮捕され英国の恩赦要請も受け入れらず厳罰に処せられました。
留学してる息子には中学時代に同じ国に居た時からお薬厳禁を教育しました。

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