お古のスーツをくれだとぉぉっ!!

本日スターバックスで午後のひと時を過ごしている時に、義弟のフランシスが「ブラザー!。余っているスーツが有ったら俺にくれないか?」と言いだした。このフランシスはサウジアラビアの建設会社のプロジェクトマネージャーを務めているのだが、最近スーツを着なければならない機会が急に増えたのでボロでも良いから不要スーツをくれと言うのである。そして筆者は義弟のこの申し出にムカッとしてしまった。

筆者は会社に入って最初の2年間は田舎の工場の生産管理係だったため、服装も会社から支給された灰色の作業服なんぞ来ていたが(ただしスタッフなのでネクタイとYシャツ着用)、3年目に晴れて東京の海外営業本部に転勤することが出来た。ところが出社したその日に東京の実家近くにあるアオキで買った吊るしのスーツを着て出社したところ、上司である役員(海外営業のトップ)から大目玉をくらう事になってしまったのだ。

この役員は一橋大学を卒業後にその巧みな英語力を買われて筆者の会社に入社、海外営業部で若くして頭角を現し20代でニューヨーク支店に勤務、そしてその後ロンドン支店長まで務めた方である。つまり戦前の旧制高商出身者が持つ日本の古き良き国際人(今のヘナチョコ駐在員などとは格が違う)を体現したような人物だと言いたいのだが、この御仁から「若い時分に服装に気を使わないとは貴様一体どういうことだー!!」と雷が落ちたのである。


blogbb87895キャプチャ


結局その晩にブルックスブラザースに出向いて分割払いで紺のスーツなぞ買ったのだが、次の日には「ボタンダウンのシャツとはふざけるな!」「男のこだわりは靴と腕時計に出るんだ!」などと実に五月蠅いことこの上無い。それで自分の給料はこんなものしか貰ってないので、あなた様の言うような高級品は買えません!と正直に言うと、だったら靴はフローシャイムあたりで良いだろうが腕時計はオメガかロンジンにしとけ(当時は今よりずっと安かった)と多少基準を割り引いてくれた。

それで3か月分の給料をはたいて(物凄く痛い出費だった)上司の言う品物を買いそろえたのだが、これらの高級品(あくまで当時の筆者の視点である)を身に纏うようになってからというもの、五月蠅い上司が言いたいことが徐々にだが分かってきた。別に自分が偉そうに見えるから嬉しいということじゃなくて、立派なものを身につけるということはキリリと気分を引き締まるし、何より第三者に対して不快感を与えないという立派な効果があるのである。

その後筆者のいた業界にもネクタイどころかスーツも着ない西海岸スタイルの顧客たちが増えていったが、筆者はずっと東海岸スタイル(紺かグレーの上下のスーツに赤系のタイ)を通したこと言うまでもない。それに部下の若造がニヤけた色合いのイタリアのスーツなど着ようものなら怒鳴り散らすなど、いつの間にか筆者自身が頑固者で五月蠅いオヤジになってしまった。





なので義弟フランシスの「ボロでもいいからスーツをくれ」という要求は筆者の目にはあまりにもビジネスマンとして低レベルに映ったのだ。いくら砂漠の国で一日の半分はランドクルーザーに乗って工事現場の進行状況を確認して回っているとはいえ、残り半分の時間はオフィスで顧客や資材業者と丁々発止のやり取りをしたり、フランス人の社長と事業戦略について話し合う立場である。それにスーツを着る機会が急に増えたということは現場からマネジメントへの軸足が移ったという事に他ならない。

なので「お前はサウジで3000ドルの月給を頂いている身分なのだから、今からその入り口の先にあるマークス&スペンサー(さすがにバーバリーとは言えない)に行ってスーツを買ってこい!」とだけ言って要求をきっぱり断ることにした。目をキョロキョロさせて「なんで?」と聞いてくる義弟。しかしココでいちいち説明するよりも自分で金を払ったスーツを着てみれば答えは分かる!とだけ言っておいた。

その場に居合わせた女房と義妹からは「幾らなんでも冷たいんじゃない?」と言われたが、男にとってスーツがどういう意味を持つのか女子供になど分かりはしないのである。ちょっと気まずい雰囲気になってしまっているが、筆者は義弟がビジネスマンとしての気構えを持ってほしいと切に願っているのだ。ただし我が家の中で筆者の心中を察してくれる人間が一人もいないのはちょっと寂しいんだけれど・・。






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ビジネススーツは仰せの通りです。
小生も本社勤務になった時類似経験があります。
亡妻がファッション業界だったので割引される店の仕立てのスーツを着て異動の挨拶に行ったら同門先輩の部長に英●●に行って作って来いと。。。恐る恐る頼んだら当時の給与1ケ月分、良き時代でこれは部長が払ってくれましたがバランス取れた靴、Yシャツ、タイ等の小物代は大変でした。
本社、海外勤務を交互してましたが合着/夏服/冬服を各5着持ち曜日ごとに着てました。
1件当たりの金額が大きいのでこんな社風でしたが良い物は1生き物で直しながら今だ使ってます。良い生地だと出張時のたたみシワも一晩掛けておけばOKです。
色は仏駐在の影響で全て無地の黒系です。
マニラ駐在の時に作った本物のバロンタガログは英●屋のスーツ並の価格でしたが味が出てマニラで正式な会には着ます。

在社時代からの子飼いのOFWには高級品でないですが一応ビジネススーツを支給し出張には着用させてます。

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