FC2ブログ

豚の丸焼きストリート

2013/09/10 02:42:42 | グルメ | コメント:0件

ダピタンでクリスマス商品を買った後、皆でレチョン(子豚の丸焼き。正式にはレチョン・バボイ)を食いに行こうということになった。ここから車で5分くらいのところに有名な店があるという。レチョンねえ・・昼間っから食うと胃が持たれそうだけど、他のメンバーはレチョンと聞いて何だか嬉しそうにしている。たしか今年2月に女房の親戚一同が筆者のマニラ訪問をお祝いをしてくれた時にメインディッシュとして出てきたのがレチョンだったのを思い出した。

あの日子供たちは「レチョンだ!レチョンだ!」と大騒ぎしはじめ、大人たちもレチョンを切り分ける際には「違うココを切れ!」とか「あばら骨の部分はもっと厚めに切った方が美味いんだよ」と鍋奉行ならぬレチョン奉行として出刃包丁を握る義弟を取り囲みながら何度もうるさく指図をしていた。で・・レチョンが皿に乗っかると参加者全員の手がワッとでてきて、あっという間に半分無くなってしまったものだ。かようにレチョンと言うのはフィリピン人にとって特別な食べ物なのである。

     Lechon6.jpg

筆者の最初のレチョン体験は1996年の大晦日の日である。パサイのエドサ・コンプレックスにあったエスペランザという連れ出し式のカラオケバーで飲んでいると、日本語の上手な店のママが筆者の席に来て「ねえ。今から私の家に来て新年のお祝いしない?」と言った。筆者が目をつけていたアイビーという女は一足遅く他の客に連れ出されてしまい、今夜の主目的は無くなってしまったので深く考えもせずにOKすることにした。

ただし中年のママの今夜の性の餌食にされると困るので、アイビーの代わりに筆者に付いたどーでもいー女を安全弁として同行させることにした。ママと筆者とどーでもいい女の3人でおんぼろタクシーに乗り、スラム街の中をうねうね曲がりながら30分もするとママの家に到着、タクシーを降りるとママの家の横丁では上半身裸の男たちと派手な化粧をした女たちがテーブルを囲んで安酒で気炎を上げているのが見えた。近所の住人総出でお祝いしてるのである。

     edcon.jpg

ママに促されて筆者とどーでもいい女は労務者たちのど真ん中の席に座らされ、最初は緊張したが、連中が一人ひとり俺は京都の建築現場にいたんだとか、サウジでトラックの運転手をやっててよお・・と話し始めたことで段々と打ち解けはじめ、30分もすると筆者も労務者たちと一緒に安酒を煽って一緒にバカ騒ぎをしはじめた。その最中に「おい!やっと来たぞ!」と酔っ払いの一人が叫ぶので、背後を見てみると男が二人担架のように何かを担いでやってくる。

「これはレチョンっていうんだ!」と酔っ払いの親玉格のオヤジは上機嫌で包装をめくり取り、頭の部分だけのレチョン(胴体部分は無かった)を筆者に見せながら、器用に首の部分をナイフで切り取ると「ほら!ここが美味いから食ってみろよ!」と筆者の目の前に差し出した。

口に含んでみると脂肪が口の中にジュワっと広がったが嫌な臭みは全くない。それに皮の部分がカリカリに炙られているので舌触りは最高で、スモーキーな味わいなのが実に美味かった。「これが無いと新年が来ないんだよ!」と酔っ払いは本当に得意そうな表情で外国から来た世間知らずの若造(筆者)に説明してくれたのを今でもよく覚えている。

     lechon4.png

さて従弟ジェンジェンが運転する車はLA LOMAという地区に入っていく。見ると道の両側に竹で串刺しにされた子豚の丸焼きがズラーッと並んでいる。「この地区はレチョン屋が並んでいるんだよ。2月にブラザー(筆者のこと)のパーティーで出てきたレチョンも俺がここで買ったんだよ」とジェンジェンは言うと、ウィンドウをあけて屋台の売り子たちに値段を聞く。タガログ語なのでよく聞き取れなかったが小さいのは3700ペソ(8200円)、大きいのは4500(10000円)というのだけは分かった。(フィリピンでは値段だけはスリーセブンとかフォーファイブを英語で言うので筆者でも理解できるのだ)。

ちょっと待てよ・・筆者ら一行は男4人、女4人、赤ん坊に毛の生えたくらいのガキ2人だけだぞ、一方レチョンの方は子豚とはいえ20人分くらい分量がありそうである・・。まさかここで買って車内でレチョンに齧り付くんじゃないだろうな・・と思っていると、車はCALAVITE  STREETという小道に入り、ある一軒のレストランの前で止まった。店の看板を見るとMILA’S LECHONと書かれていた。

     
大きな地図で見る

「レチョンにはLYDIAとMILAの2つの種類があってね、LYDIAの方が有名で値段も高いんだけど、私たちは庶民的なMILAの方が好きなのよ」とジェンジェンの奥方ジュミが言った。それってチェーン店の名前のことじゃないかと反論したが全員が「それは違う」と言う。確かにそういう名のチェーン店はあるが、元々はレチョンの料理方法を考え出した2人の婆さん(LYDIAとMILAのこと)を指しているというのだ。またそれぞれの料理方法の違いについて聞いてみたが、味付けとか調味料とかの細かい話が長くなり始めたので途中で説明を聞くのをやめてしまった。今度食い比べてみて自分の舌で違いを見つけたほうが早いだろう。

     lechon3.jpg

さてMILA’Sレストランであるが、豚の内蔵の煮込み2種類にシシグ(豚肉と耳と野菜の鉄板焼き)、豚のスープに野菜炒め、そしてレチョンのバラ切りを2皿オーダーし、料理が出てくるまでビールを飲みながら、香港の子豚の丸焼き(広東語名:大紅方皮乳猪)というのはフィリピンのレチョンと違って皮だけ食べるんだよね・・というような豚の丸焼きの話をして時間をつぶした。待つこと10分でやっと料理が到着。

ガキ二人に親たちが「♪♪ほらレチョンだよ~ん♪♪」と歌うように言ってガキの口元に肉片を運ぶ。一番チビのミレットの娘アンジェラから女房や従弟たちまでも何とも幸せそうにレチョンをほお張りはじめた。筆者も早速レチョンに手を伸ばしたが、焼き立てでなく皮も軟らかくなってしまっているものの、肉の旨味というか甘味がしっかりしていて美味い。またMILA婆さんの発明した調味料が豚肉の旨味を巧く引き出している。よくやったぞ婆さん。あんたのおかげでみんなハッピーになれた。

     lechon2.jpg

全員満足した割りに料金は1600ペソ(3600円)たらずであった。店を出て車に乗り込むと女房が「クリスマスにはレチョンを買って皆でお祝いをしようよ」と言いだした。クリスマスねえ・・その時スラム街に住んでいたあの労務者のオヤジの顔が脳裏に浮かんできた。あのむき出しの笑顔、本当に嬉しそうに肉片を切って筆者に差し出したときのゴツゴツした傷跡だらけの手、異邦人の若造が俺たちの横丁に来たんだから一番美味い部位を食わせてやろうぜ!という年長者の純粋な気持ち・・・筆者がここ15年間ですっかり忘れてしまった心の余裕・・。

そうだな!クリスマスなんて先じゃなくて来月でもいいから皆を呼んでレチョンパーティーをやろう。あのオヤジと違って筆者はぎこちない笑顔しか浮かべられないけれど、ガキたちに肉片を切り分けて「こいつを食わないとお前ら大きくなれないんだぞ!」と大笑いしたいな・・と思うのである。

にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村

     
スポンサーサイト




コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/45-71ebebb2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)