「緑の光線」現る

2014/12/01 00:45:46 | 日記 | コメント:0件

先日ヤフーを見ていたら海の彼方に沈む太陽が緑色に輝いている写真が載っていた。これは琉球新報からの引用写真で、グリーンフラッシュというプリズムに似た一種の自然現象で非常にまれにしか発生せず、この現象を目にすることが出来た人間は幸福になることが出来るという言い伝えがあると書いてあった。

この題名を見てお気づきの方もいると思うが、この自然現象をストーリーに取り込んだのがエリック・ロメール監督の「緑の光線」という映画である。筆者は大学時代は映画サークルに属していて、主にアメリカとイタリア映画を愛好していたのだが、サークルにいた佐藤えり子という仏文科の女がエリック・ロメールの作品をあまりに絶賛するので渋々見たのがこの映画なのである。

ストーリーはいかにもフランス映画らしく単調かつ退屈極まるもので、最後まで見るのはまさに苦痛でしかなかったのだけれど、主演の女優が言う「緑の光線をみると幸せになれるのよ」というセリフだけはなぜか頭に残っていた。そして映画を見た翌年の1988年にフランス映画のようなロマンチックな場所とは全く逆のインドのゴアで緑の光線が脚光を浴びることになる。





このゴアというのは当時世界最大のヒッピーコミューンで(今もそうだろうけど)、ここには世界中から社会の脱落者が集まってセックスとドラッグに明け暮れ、ほぼ毎日開かれる海辺でのパーティーではラリパッパになった数百人の男女がトランス音楽に合わせて朝まで踊りまくるなど、この世の社会的規範を逸脱した堕落した日々を過ごすには最適の場所であった。

ゴアにはカラングートやバガトールなどの複数のビーチが点在していて、それぞれが独立したコミューンを形成していたのだが、数あるビーチの中でも一番どうしようもなく堕落していたのが北部にあるアンジュナビーチで、ここには世界中のクズと基地外が集結していた。そして筆者もこのアンジュナに1か月間滞在していたのである。

いつものようにWHITE NEGROという店で朝から葉っぱなど吹かしている時に、たまたま筆者が緑の光線の伝説について話をすると、同じくアンジュナの長期滞在者で完全に沈没したココとナナという二人組の日本人女が筆者の話に興味を持った。幸せになれるなんて・・凄いわ!と驚く二人。あたし達も緑の光線を見たいわ!と言い出したのである。





ちなみにこの二人の女はかなり危ないクスリの常用者で、朝から晩まで目と頭が宇宙の彼方にぶっ飛んでいるので、筆者の意図をちゃんと理解できたかどうかは不明だが、店を出た後でこの二人が話をあちこちに触れまわったため、いっとき緑の光線はアンジュナビーチに沈殿する頭のイカれた日本人たちの間で評判となることになった。

ここにはアシッド兄弟と言われる二人組やヤク中の詩人夫妻、まっすぐ歩けない元レゲエ歌手に一日中オカリナを吹いてる不思議ちゃんなどの完全に壊れた日本人滞在者が数十人いたのだが、緑の光線伝説は彼らのトリップのための絶好のオカズになったらしく、君は緑の光線を見たかい?というジミ・ヘンドリックスの曲みたいなセリフが滞在者の間で頻繁に交わされるようになったのである。

愛用する危ないおクスリの影響から「俺は神を見た」ととつぜん真顔で宣言したり、道端に転がっている石を指さして「辻村ジュザブローさんだぁ!」と泣き叫んでいる連中だけあって、このビーチではたちまち緑の光線を見た人間が続出しはじめたのだが、肝心要の筆者は毎日アラビア海に沈む夕陽を見ても緑の光線など一度も見れないでいた。





それで日本への帰国が近づいたある日、幻覚でもいいからせめて伝説を経験してみようと思い立ち、売人のリチャードからあるモノを買ってアンジュナの北にある旧砲台跡地の丘に陣取ってみることにした。緑の光線が見れたら幸せになれる・・、なのでもしも見れたら・・来年またアンジュナに来よう!そして小さな四角い紙片を舌の上に乗っけた。

それから四半世紀が経過したが、筆者は別に幸せになってもいないし、ゴアを再訪していないことは言うまでもない。それで緑の光線というのはムー大陸やネッシーみたいな想像上の産物であり、信じること自体がバカげた話だとずっと思っていたのである。ところが・・つい先日琉球新報の写真を発券して「本当にあったのだ」と驚いているのである。

さて幻の自然現象が実在するとしても、肝心要の効果の方については一体どうなのだろう?。ゴアで緑の光線を見たと叫んでいたラリパッパどもがその後幸福になったとはとても思えないが、本心を言うと「そうあってほしい」と願っているのである。なので幸福になりたい人は、下の写真に向かって今から願い事を唱えてみよう!






にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/430-98e1decb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)