大阪でんでんタウンでの奇妙な体験

数日前の日記に書いたとおり、今から25年前のちょうど今ごろの時期、筆者は大阪・日本橋にある上新電機いち番館に派遣され、販売員として2ヶ月間テレビを売っていたことがある。この日本橋というのは大阪の秋葉原みたいな場所で、上新電機というのはこの日本橋でもナンバーワンの店だったから、ここには各メーカーから派遣された大阪でもトップクラスの販売員が配置されていて、クセはあるが根は人好きのする大阪のオヤジたちに筆者はいろいろと商売のことを教えて貰ったものだ。

数人いたテレビ売りのプロの中でも西田さんという松下電器から派遣された方は「ええか!松下の商品だけ説明したら客は怪しんで逃げてしまうから、東芝も日立もソニーも一通り紹介するんや!。せやけど他社には説明にそれぞれ2分かけるが松下の製品には倍の4分かけて紹介すれば、だいたい6割の確率で松下を買うんや!。これをあと1分余分に説明したら何割増えると思う?」と言うので、試しに筆者自身も時間配分作戦というのを試してみたら本当にそうだったので驚いてしまったことがある。

それに日本橋の各電気店を回るメーカーの営業マンも実に人知にたけた商売人で、特に西田さんの担当である松下の営業マンは「ええか!このしょったれテレビを年末まで10台売ったらピンサロ連れてったるでぇ!」と他社から派遣されて来た筆者にまで厚かましくオファーしてくる位だったか、筆者がそれを信じて本当に10台売ったところ、いつの間にかピンサロ話は立ち消えになってしまった。パナソニックさん!。今からでも良いですからピンサロの約束実行してよ!。

さて売る側もさることながら店に来る客も一癖も二癖もある連中ばかりで、「おまえんとこで買うたテレビがポンポン言いよる」と言って何度も新品に交換しにくる自称「生野の朝鮮人」の金髪オヤジや、マルサの女に出てきそうないかがわしい風体のドヤ街の簡易旅館のオーナー、ド派手な化粧をしたネーチャンを連れた金銀ジャラジャラのホスト風のアンちゃんに、店の中で価格交渉中に突然喚き始めるヒステリー演技おばさん、なぜか全員とも小指が欠落した黒服軍団など、東京じゃ絶対にお目にかかれない連中を相手にテレビを売りつけるのである。

言っておくがこの人たちもちゃんとテレビを買いに来た客であり、大阪ではこういった標準範囲外の人たちを日常的に相手にしているのだから、店側も「キミキミ。そのお客はワシがお相手するで」などと助け舟は出してくれない。なので正直言うと最初は怖かったが、毎日店頭に立つうちにこういった連中のインネンや怒鳴り声にもすっかり慣れっこになってしまった。





しかし一度だけ店側から客と話すことを禁じられた事がある。そして不思議なことに、この時の出来事が一体なんだったのか?、そして彼らが一体何者なのか?、25年経った今でも皆目検討がつかないのである。随分と前置きが長くなってしまったが、今日の日記はこの一件について書いてみようと思う。そして筆者の疑問に答えを知っている人がいたら是非とも教えていただきたい。

その日は年末商戦も終わったヒマな時期で、筆者は3階の持ち場でボーッと立っていると、突然ドタドタドタッ!と階段を駆け降りて行く音が聞こえた。どうも5〜6人が慌てて走っている様に聞こえた。そして数分後こんどは下のフロアからまたドタドタドタッと階段を駆け上がってくる人影が見えたが、それは数人ではなく一人の足音で、踊り場でちらっと見えたのは若い女性だった。

数秒後「おい!こら!待て!」という叫び声とともに大人数の男が女を追う様に階段を駆け上がって行く。な何だコレ…?、何かの捕物かよ?。その時3階売り場の副主任が全員に向かって「おい!お前ら!。あの連中と一切関わり持ったらあかんで!なにいって来ても一言も話すんやないぞ!」と叫んだ。と言うことはあの男たちは警官じゃ無いってことか。だったら…警察には電話しないんですか?。

どうも女性は4階のトイレに隠れていたようだが、10分後には男たちに押さえつけられて(文字通り羽交い締めにされて)階段を降りていった。そしてこの10分間だれも警察に通報しないだけでなく、誰一人として男たちに「あんたらナニやってんだ!」と問い詰めもしなかったのだ。信じられないことだが、店も客も全員が女性が拉致される現場を黙殺していたのである。

そして困った事が起った。男たちのうち二人だけが何故か3階に昇って来てテレビ売り場を物色し始めたのである。この二人の男は20代の後半くらいで、一人はアルマーニのスーツを着た痩せた背の高い男で、もう一人はバイクに乗る連中が着るような皮のつなぎをまとっていて、はっきり言うとヤクザものには見えない。心斎橋のパブあたりで屯っている遊び人風のようである。しかしこの店には本物のヤクザも来るというのに、一体なぜ彼らを晴れものの様に扱うのかさっぱり分からない。





そうこうする内にバイク乗りが筆者の方に歩いて来て「これナンボまかる?」と声をかけて来た時に、筆者の中に違和感の様なものが出てきた。もちろん副主任から「話をすんな!」と言われた先入観もあるのだが、そばに寄って来られたときの皮膚感覚が赤信号を派手に点滅させて来たのだ。ヤクザやメンヘラ女にそばに寄られた時に感じるオーラとは別の、なんと言うか蛇やトカゲに接する時の様な得体の知れない皮膚のざわめきである。

「すみません。私は今日派遣されたばかりで何もわかりません」と言ってペコリと頭を下げると、このバイク乗りはアア…と言う様な表情をしたけれども、その奥底には蔑みか怒りか、それとも優越感があるのかは全く分かりはしない。バイク乗りの相棒のアルマーニはポケットに手を突っ込んで辺りを見回しているだけで何も言わない。頼む…早く帰ってくれ…。

すると筆者の後ろから「それは○○円までが精一杯ですわ!」という声が聞こえた。副主任である。やがて副主任とバイク乗りはあーだこーだとごく普通に商品の話をした後、ごく普通に金を払い、そしてアルマーニとともに帰っていった。そしてこの二人が帰ると同時にフロア全員の緊張感が溶け、みんな商品を雑巾掛けしたり無駄話をするなどごく普通の時間に戻っていった。

「助けていただいて有難うございました」と副主任に例を述べる筆者。まあええよ…という感じで手を振る副主任に向かって「あの人たちは警察ですか?」と聞いてみると、アホ言うな!あんな警官がおるわけ無いや無いか!と大阪人特有の切り返しで否定する。じゃああの人たちは何ですか?と聞いて見たが、副主任は「オマエはそんなこと知らんでエエ!」と言ってその場を立ち去ってしまった。

筆者の話はこれだけである。長ったらしい割にはオチも何にもなくて申し訳ないが、彼らが何者なのか店の誰も最後まで話そうとはしなかったのだ。もちろん連れ去られた女性がどうなったのかも知らないし、その後店に警察が来ることも無かった。なお彼らが頭のおかしい女を保護する類の連中では無いことは断言できる。もう一度言いたい。一体彼らは何者なんだろう・・・?。そしてあれは何だったんだろう・・・?






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在社してた会社は大阪が本社の会社ですが東京育ち社員は本店異動はありませんでした。国際本部社員は全国のお客さんに対応してましたが大阪は大阪育ち、京都は大阪本社でしたが京都営業所担当を紹介するだけ。大阪でも客先との商談は本社担当者が主でしたが客先先方の考えが理解できず苦労しました。

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