祇園でスッポンを食いながら思うこと

2014/11/13 21:36:06 | 旅行 | コメント:0件

今から20年近く前に香港にある日本料理店でアメリカの大手顧客と寿司をつまんでいた時の事である。筆者は寿司ネタでは赤ムツとキンキが大好物なのでマイクという名のこの顧客にも早速2カンづつ握って貰う様に頼んだところ、「この魚にウロコとヒレは有るのか?」と聞かれてギョッとしてしまった。言っている意図がよく解らなかったのだ。それでカウンターの中にいる板さんに尋ねてみると、訳知っている様に2種類の魚をマイクに見せてくれて「血も全部抜いてますよ」と自信ありげに言った。それを聞いて「魚の血は抜かなくてもいいんだけどね」と言ってニヤッと笑うマイク。筆者がポカンとしていると板さんがこそっと「この方はユダヤ教徒なんですよ」と言った。

周知の通りキリスト教徒や日本人のように何を食べても構わない人種というのは世界の中では割と例外の方で、大部分の人たちは食べ物の素材や調理法に関しては何らかの制約下に置かれている。イスラムの豚肉やヒンズーの牛肉禁止は誰でも知っているが、中国人の一部(特に潮州系)は牛肉を食べないし、ユダヤ教徒のコーシェルやイスラム教のハラルの様に家畜の殺し方まで細かく決められているケースまである。まあ顧客と食事をするのが仕事の海外営業マンなら各宗教ごとの規定を覚えているのは当たり前だが、時と場合によっては想定外の事態が起こって右往左往させられることもままあった。

有る時にドバイの大手客の一行と夕食を共にすることになった。宗教構成を聞いてみるとイスラム・スンニー派とヒンズー教徒、それにシーク教徒とカトリックだという。じゃあ今日はインド料理店ですな!と言ったが、相手はせっかく美食の都香港に来たのだから広東料理を食べたいと言い張って聞かない。それで一番問題が無さそうな海鮮料理店に連れて行き、アワビ、ロブスターや蟹にガルーパというハタ科の魚の蒸した料理など頼んだのだが、料理が目の前に並んでもカトリック教徒以外は誰も手を付けようとしない。それで一体どうしたのか?と聞くと「この油は何の動物から摂れたものだ」と聞いてきたのだ。それで一応マネージャーに聞くと植物油だと言うのでホッと胸を撫で下ろした覚えがある。

一方こうは巧くいかなかったのが筆者の同僚のケース。彼は同じく数人のインド人を日本の本社に引率して行ったのだが、夕食前になってこのインド人はなんと全員ベジタリアンである事が分かった。それで地元でも有名な精進料理の店へと行ったのだが、出て来た料理の匂いを嗅いだ途端に「何で魚の料理を頼んだのか?」と一行で一番上の人が文句を言い始めた。いえ違いますよ!これは大豆や野菜を加工したものです!と言ったあと、仲居さんを呼んで魚は使って無いですよね?と再確認したら、「いえ・・実はうちの店は出汁だけ鰹節を使ってるんです」と白状されたそうだ。けっきょく全員が一口も食べずに店を後にしてしまったという。





なお筆者は食事に関する宗教の不合理性をここで批判しているわけでは無いし、信者達が幾つもの食材を諦めてでも自分たちの信仰を守ろうとする姿勢には正直敬服するが、そうは言っても彼らと一緒に食事をしたいですか?と言われれば答えはNOだ。それに余りにも宗教的な要求が細かすぎてしまい、香港に来て何も食べられない原因は筆者ら招待側の事前調査不足であるとほざいたインド人に対して「お前は二度と香港に来るな!」と怒鳴りつけたこともある。選択肢を狭める宗教を選んだのは何より本人の問題だから、他国で通用しない不満感は現地人に当たり散らすので無く自分の神に向けるべきだ。

筆者は女房と付き合い始めてから17年経つが、女房および親戚・友人一同は食材の制約が無く何でも食べてくれるので大変助かっている。日本料理店に連れて行けば、牛肉、豚肉から焼き魚、イカ、タコ、ナマコに刺身、果ては納豆やタコわさびに烏賊の塩辛までなんだか旨そうに食べているし、焼肉屋ならミノやハツ、ハラミ、ガツ、ホルモンなど癖のある肉もお手の物である。そして普段から不味い物を食い慣れているせいか、ちょっとした料理店にでも連れて行けば美味い美味いと言って食い物をかっ込んでいるのをみると、やっぱりメシを食うならこういう連中に限るな・・と思う。

さて本日の日記でこんなに食い物の話ばかり書いているのかと言うと、法隆寺で霊感を発揮したご褒美に祇園にある迦陵というちょっとしたお店で女房の大好きな懐石料理を食べに行ってきたのだが、その際に出てきたスッポンのスープが出てきてしまったからである。懐石コースなので料理の中身を細かくチェックしてなかったので「あっ!しまった」と思ったが、女房に「これはソフト・シェル・タートルのスープだ」と恐る恐る説明したところ、「あっそうなの」と言っただけで早速スプーンを口に運び始めた。

待つこと2~3秒・・。口をピチャピチャを音を立てた後でいきなり「美味しいわね!」と喜ぶ女房。やがて器ごと手に取ってズズズッと汁をすすり始める。どうも随分と気に入ったようである。そして最後の一滴まで飲み干した後、「いや~カメがこんなに美味しいとは思わなかったわ!今度池にいるカメを捕まえてきてスープにしようかしら?」と不気味なことを言った。なるほど・・中国人は足が4本あるものは椅子以外は食べるというが、どうもフィリピン人も中国人に負けず劣らず雑食の様である。やっぱこの民族と結婚して良かった。






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