牛女の怪

皆さんは件(くだん)という怪物をご存知だろうか?。これはにんべんに牛と書く文字そのものの通り半人半牛(?)の怪物である。小松左京の「くだんの母」という有名な短編小説を読まれた方もいるかもしれないが、古来より「件」が世の中に現れると天変地異が起こると言われる不吉な怪物なのである。なお一部では「件」の名を出すと不気味な夢を見ると言われているので、もしも気になる方はこの日記を読んだあと塩で手を洗われることをお勧めする。

まあ大部分の方はこんなの想像上の生き物だよ!とお笑いになるだろうが、実は阪神淡路大震災の時にぐちゃぐちゃになった神戸市内を和風の着物を来た「件」が踊り歩いているのを自衛隊の一個小隊が目撃しているのだ。他にも東京大空襲先の時にも目撃例があって幾つか公式に記録されているから、全くの空想上の怪物ではないのである。

では「件」とは何者か?ということだが、常識的に考えればある種の奇形を持って生まれてきた可哀想な人ということになるのだろうが、ちょっと歴史を齧った方なら日本の牛頭天王やギリシア神話のミノタウロス、ヘブライ神話のモレクを思い浮かべるはずである。所は違えどこれは全て頭は牛で体は人間と言う形状をした神話上の怪物である。

この3つの怪物とも怒りを鎮めるために人身御供を求める悪霊であり、破壊や厄災をもたらす邪神とでも言うべき存在である。ただし日本の牛頭天王の場合はスサノオ信仰を結びつけられ、京都の八坂神社で手厚く祀ることで本来とは別の守護的な性格が強調される様になっているが、本質的には大和朝廷に滅亡させられた前王家(恐らく物部氏か出雲系氏族)の恨みを体現した怨霊だと言われている。

なお何故牛が邪悪なるものに擬せられたのかは筆者の足りない頭では不明だが、おそらく牛の持つ穏やかさと荒れ狂う二つの性格が天変地異などの突然の厄災に投影しやすかったのでは無いかと思う。それに牛は人間に一番益をもたらす家畜であるから、ヒンズー教の様に信仰の対象に持ち込むには好都合だったのでは無いだろうか?。もしくは人間を死滅させる疫病との関係を示唆しているのかもしれない。





さてこんな不気味な怪物が皆さんの前に現れたら一体どうだろうか?。おそらく恐怖におののいて逃げ出してしまうに違いない。そしてここからが本題なのだが、実はこの不吉な怪物が筆者の近辺に居ることを知ったのだ。いや居るというだけで無くフィリピン移住してからずっと牛女と同居しているのだ。それは何を隠そう今年36歳になった肥満型フィリピン女の義妹である。

昨日SMメガモールのスーパーで買い物をしている時に義妹が口をクチャクチャ動かして何かを食べているのを見つけた。実はこれは家でも毎日に様に見かける光景で、義妹はおそらくチューインガムでも食べているのだと筆者はずっと思っていたのである。それで「俺にもガムをくれよ」と言うと、義妹はハァ?という様な表情をして「ガムなんか持ってないわ」と素っ頓狂な声で答えた。

だけどお前はなんか食ってるじゃ無いか!と問うと、義妹はアッ!という表情をした後で慌てて何かを飲み込む。こいつ何食ってたんだろう…?と思って義妹の口のあたりをじっと覗いていると、何と下唇と歯の隙間から短いスパゲティが飛び出ているのを見つけた。これはどうも昼飯で食ったカルボナーラの残りカスの様で有る。だけど食後1時間も口の中に挟まっているなんてあり得ないな…、と思っている時に突然ハッ!と答えが閃いた。胃袋から逆流してきたんだ…?

もう皆さんお分かりの通り、義妹は牛の様に一度食ったものを逆流させてはまた味わう反芻動物だったのである。一昨年子供を産んでからアザラシの様に太り出したし、いつも居間のソファの上に転がっているだけで敏捷とか躍動と言う言葉が全く似合わない牛の様な生き物だとは思っていたが、さらに反芻するとなると正しく牛人間とは義妹のことで有る。

さて今晩も義妹がクチャクチャと口を動かしている様を見るにつけ、こいつは普段は草食動物のようにおとなしいが、何処かで牛の様に怒り出して暴れ始める時が来るに違い無いと思えてきた。それに旦那のフランシスは年に一回しかフィリピンに戻って来ないのでアッチの方も相当溜まっていそうである。まあ下の方は自分で処理してもらうとしか無いが(道具くらいなら買ってやっても良い)、取りあえず餓えさせないように食いもんだけは大量に与えておこう。






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初めまして、たぬち庵と申します。
南冥通信が開設以来の愛読者の鳥取市に住まう独居老人です。

私の叔父がやはり反芻人間であったことを思い出しました。小柄で痩せていましたが、たえず口を動かしていました。私がまだ少年の頃でしたが母におっちゃんはいつも何か食っとるとる。と言いましたら母は、あの子は牛なのだと言っていましたねえ。胃から一度飲み込んだものを戻す時に「うっ」と声にならない程度の呻きをもらし喉仏を大きく動かし、たえず反芻していました。

そんな人間がいるなどと未だ半信半疑だったのですが今日の本ブログにより積年の疑問がすっきり解決しました。だれにも話したことはありませんでした。私をとても可愛がってくれた叔父の身体的欠陥だと心の片隅に追いやっていました。

まあ問題が解決した訳じゃありませんが、同じような人間もいたといううことがこれで分かりました。とても参考になった記事でした。





Re: タイトルなし 

たぬち庵さま

はじめまして。
いつも駄文を読んでいただきありがとうございます。
さて先ほど義妹に反芻について問い詰めたところ、本人は一度食べた物が二度も三度も味わえるので
自分は他の人より得をしてるのだと嘘ぶいておりました。
ちなみに肉類は反芻したら味が落ちるが、マグロなどの生魚系は胃液が混じった方が味が増すのだとか。
なので叔父上も、これは欠陥というよりも特技として日夜反芻に励んでいたのではないでしょうか?

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