がらくたギャラリー@メガモール

女房と義妹に付き添ってSMメガモールに来たが、二人ともアクセサリー店に入ったきり出てこなくなってしまったため仕方無くモール内をぶらぶらと歩いていると、3階のある一角に画廊が並んで居るのを見つけた。おやおや…これは良い暇つぶし場所を見つけたわい…。筆者は油絵を書く趣味は無いが、香港ではセントラルにあるギャラリーの常連だったし、海外出張では現地の美術館に必ず足を運んで来たので、美術系については一応人並みの審美眼は持っているのである。それで早速一番手前にある店から順繰りに入って見ることにしたのだ。






ところが…、筆者がこの店で見た物は全くあきれ返る様なレベルの品物だった。そこに置かれてあるのは古今東西の有名作品の贋作もしくはモドキと言った絵が大半を占めているのだが、美術品としてどうこう言う以前に学校で美術は学ばれましたか?と聞きたくなる様なレベルなのだ。例えばゴーギャンの「いつ結婚するの」らしき絵は色合いは本物そっくりだが、描き手の技巧が余りに稚拙なためにタヒチ娘が随分と凶悪な目つきになっているし、クリムトの「人魚」に至っては娼婦の性の奔放さは全く影を潜めてしまい、なんだか二体の地縛霊の絵ではないかと思うほど不気味な仕上がりになっているのである。






別の店は模造品では無くて作家のオリジナルばかり集めているが、これが高校の美術展の方がまだマシなんじゃないかという低レベル作品ぞろい…。ここの店主は筆者が絵を買うと勘違いしたらしく揉み手をしながら近づいて来たが、ミロとカンディンスキーへのオマージュとか言うトンチンカンな抽象画の値段を聞いたらなんと20万ペソだという。「この画家はフィリピンでは新進気鋭の…」とか説明しだしたが、もしこの下手糞な絵を買うくらいなら、まだ新聞誌に七色のペンキを塗りたくった物を部屋に飾った方がマシだと思った。





フィリピン人の美術センスの無さについては筆者も薄々気がついていたが、このレベルの絵を置いてもメガモールに店を構えていられるという現実に呆れ返るばかりである。ここの店主は「オルティガスはオフィスが増えているので買い手は沢山いるんですよ」と言うから、きっと相当美的センスの無い社長が総務担当に金を渡して適当に見繕って貰っているのだろう。景気が良いと画廊が儲かるというのは定説だが、幾ら何でももっとマトモな絵は揃えられないのだろうか?。





まあ筆者が新入社員のころの日本はバブルの真っ盛りで、筆者の会社もラッセンやヒロ・ヤマガタのリトグラフを悪徳商法から売りつけられていたし、同じグループの兄弟会社はケン・ドーンと契約して自社のCMにまで使っていたけれど、昭和の初めから美術や音楽に親んでいる筆者の父親は筆者が持って帰る販促品サンプルを見るや「こんなどうしようもないお絵かきに多量の金を使うとは、お前の会社は大馬鹿者だ!」と言っていた。その時は親父は古いなぁ…と思ったが、あれから20年以上経ってみると父親が正しかったことがよくわかる。





やっぱり日本もそうだったように、経済が一直線に伸びている時期というの財布の厚みの増加スピードに国民の審美眼の熟成が追いつかないため、こういったろくでもない美術品が市場にはびこるのは仕方無いのだろう。審美眼が熟成されるのはやはり美術品に数年触れる必要があるから、国や都市として美的レベルが向上するのはやはり十年単位の年月が必要に違いない。と言う事はオルティガスのあのギャラリーも、他の飲食店がボンボン入れ替わっていくのを尻目にもう十年くらいテナントとして居残り続けるということか…?。





「私の店は作家のオリジナリティーを発表する場でしてね…」とにやけた顔でがらくた同然の絵を紹介するのは前述のギャラリー店主。どうせお前は美大あたりの学生にタダ同然の金で絵を描かせてるんだろう…と思ったが、黙って聞いているとだんだんと奥の方へと導かれて行く。やがてカロの彫刻をそのまま写生した油絵の前で立ち止まると、「どうですか?この想像力の素晴らしさ!。これは50万ペソで…」と自己陶酔した様な顔つきで滔々と説明し始めたが、この男のあまりの底の浅さに笑いをこらえる事が出来ずに思わず吹き出してしまった。






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