長い雨の日に考えた事

先日セブ島で発生した転覆事故についてふざけた日記を書いたら家が床上浸水してしまった。それも3回もである。我が家は2階の窓がすべて鉄格子で封印されていて1階が完全に水没してしまうと出口を失ってしまうので、沈んだ船の乗客のように一家全員水死しかねない。なので家族交代で1階の水位を見回ることにしたのだが、一番ヒマな筆者は夜間担当を命じられてしまった。深夜に階段を降りて水浸しになった真っ暗な部屋を見るのは不気味である。ピチャンピチャンという音が聞こえてくると水の中から突然何か飛び出してくるんじゃないかと思えてくる。これがニュースもなく電気もない漆黒の夜の中にいた昔の日本人だったら「死んだ人を馬鹿にしたから祟られた」と考えたのだろうな・・と思った。
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古代から中世の日本では伝染病の流行や自然災害は全て怨霊が原因だと考えられていたようである。早良親王や菅原道真、崇徳天皇の怨霊封じのため、藤原氏は神社を建てたり都を移したり修験や陰陽師にすがったのだが、長屋王を破滅に追い込んだ藤原四兄弟の相次ぐ死は「本当に怨霊はいるのだ」と当時の日本人に信じ込ませる決定打になったらしい。だいたいあの時代に何で貴族は和歌ばかり詠んでるのか学校の授業を聞いても少しも分からなかったが、これは願をかけての悪霊払いでした・と言ってくれれば大抵の日本人は簡単に納得がいくだろう。こういった悪霊への恐れは古代の日本人のDNAに深く刻み込まれ、また一方で日本昔話のようなわかりやすい形でいくつもソフト化されたことで、争いを好まず和を重視する従順な日本人のメンタリティを醸成することになったようだ。「祟られるぞ」「バケて出てくるぞ」と言えば大抵の人は悪事を働かなくなのだから、為政者のとってこれほど効果的なブレーキ策は他に無かっただろう。おそらく現在の日本の治安の良さは実は怨霊への恐れに源があるのではないかと筆者は思っている。   
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さてフィリピンであるが意外にも幽霊話は結構多い。身近にいる親戚に聞いていると、いつも笑顔の連中が急に神妙な顔つきになり声を落として話し始める。こいつら絶対に怪談話が好きに違いない。連中が表情豊かに語ったのは、白い服を着た幽霊女を乗せたタクシー運ちゃんの恐怖や、焼けただれた幽霊が出るホテルやディスコ跡地、トンネルに生き埋めにされた建設作業員の霊、日本軍の亡霊の深夜の行進、殺された一家の霊が出る白い家など、なんだか日本でも聞いたことがある話だった。それにビサヤ地方にはアスワンとかマナナンガルという妖怪の類がいるらしいし、従姉妹のアニーが勤めるマニラの大手デパートでは半身蛇の化け物(=どうやらオーナーの子供らしい)がトイレに隠れていて人を襲うという。アニーに何回襲われたのと聞くと「3回」と嬉しそうに答えた。
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せっかく豊富にあるフィリピンの幽霊話だが、残念ながら犯罪の防止には全く役立っていないようである。幽霊話は単に人をおどかすだけで、罪を犯せば祟りに遇うぞ・・というエッセンスが薄く、人々の社会観に投影できてないのだ。まあフィリピン人が罪を犯して祟りに遇ったら近所にある創造主・唯一神の窓口であるカトリック教会が確実に助けてくれるし(八百万の神と違って確実に退治してくれるからこそ絶対神なのだろうけど)、だいたいカトリックとは罪を犯しても教会で懺悔すれば許されてしまうという犯罪者に誠に都合の良い宗教だから無理もないんだけど・・。それに罪を罰する役割のフィリピン政府は安易なポピュリズムに迎合して死刑も廃止してしまったし、フィリピン人が今後カトリックから多神教に変わる可能性は全く無さそうなので、犯罪発生率を抑制するために筆者が多少なりとも貢献出来そうな事は、カトリックのパワーを超える怨霊話をでっちあげてフィリピン人に信じ込ませるくらいしかなさそうである。さて・・では物は試しに今から二人の姪っ子に心霊ビデオでも見せて恐怖のどん底に突き落としてみるか。明日まで雨が続くそうだから今夜は長くなりそうだ・・・。
  
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