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首狩り族の女との遭遇

2014/08/31 00:28:55 | 昔話 | コメント:1件

今から十数年前、香港コーズウェイベイにあるジュリアナというフィリピンパブに入り浸っていた時のことである。はぁ?香港でフィリピンパブだって?と不思議に思われるだろうが、香港にいる日本人駐在員にとってフィリピンパブは韓国クラブと並ぶメジャーな遊び場で、両タイプの店とも香港には20〜30店あって結構繁盛していたのである。地元香港人や中国人の女が付く店は駐在員たちには不評で、筆者のいた支店も駐在員は韓国派とフィリピン派にくっきりと分かれていた。

香港のフィリピンパブでは奥のボックスシートに女の子が待機して、客に選ばれるのを待つシステムを採っているのだが、ジュリアナにはいつ行っても最後まで余ってしまう女の子がいた。ちなみにこの娘は年齢も20代前半と若いし、外見も当時ドラマでブレイクしていた裕木奈江に良く似ている(ただし色はかなり黒いけど)から最後まで余ってしまう理由が見当たらない。それで有る時店のママであるメリーにあの子はなぜ客がつかないのか?と聞いてみたところ、ああ・・クララはね・・あの子は山奥で育った野蛮人だから教養も無いし、性格も暗いし、それに英語もろくに出来ないから客も離れて行っちゃうのよ」と馬鹿にするような口調で言った。

ママがテーブルから去った後、筆者の長年のパートナーであるイロイロ出身のバネッサも「あんたイゴロットって知ってる?。山奥に住む部族で今でも首狩りの習慣が有るのよ」と指で首を切る仕草をした後で、「クララはね、イゴロットの中でも一番危ないカリンガ族出身なのよ。あんたも下手に手出ししたらクビ切られちゃうわよ」と言っておかしそうに笑った。ちなみに当時の筆者はフィリピンの山岳民族の事など何も知らないし興味もなかったからフンフンと黙って聞いていたが、後付けの知識で言うとタイやベトナム同様にフィリピンにもイフガオ族やボントック族と呼ばれる山岳民族がいて、カリンガ族というのはその中でも一番凶暴なことで知られているのだそうだ。

そしてある時に筆者もついにクララと話をする時が来た。その日は日本から来たお客を大勢引き連れてジュリアナへと行ったのだが、あいにくバネッサが急用でイロイロに帰ってしまい不在、さらに客が多くてホステスが足りないので幹事役の筆者がクララを引き受けることになったのだ。そして側に着いてから10分でこの女がなぜいつも余り者になってしまうのか理解できた。一応お客を満足させなければ・・という責任感はある様だが、英語で会話どころか客との受け答えもマトモに出来ないのだ。

しかし筆者は寛容な人間なので、ぎこちなさを我慢してクララとの会話を試みたところ、山での生活は苦しいので里におりて出稼ぎ家政婦のエージェントに登録した、香港人の家庭に雇われたけど一家がカナダに移民したので自分は単なる留守番役なのだ・・などと下手くそな英語で身の上を語る。そして自分を指名してくれるお客も結構いるが(これは見栄で言ったのであろう)、何故かみんなすぐに日本に帰国してしまい、今は一人も指名客がいないのだ・・とここで気になることを言った。





この女は下げマン?いや・・首狩り族出身だから・・リストラの天使?。まあいずれにせよあんまり近づきたくない相手だ。それでその日は早めに切り上げることにしたが、筆者と一緒に店に行った同期のKがある悪巧みを持ちかけてきた。同じ支店に技術マネージャーとして赴任して来たFという陰険な奴をクララとくっつけてみないか・・というのである。筆者もFが嫌いだったから「面白い!やってみよう」と同意した。それにクララが英語が出来ないのは実はFには好都合なのだ。何故かと言うとFも英語も広東語は全く出来ず(なんでこんな野郎が赴任して来たのかと支店全員が訝った)、クララ同様に自閉症っぽい性格をしていたから二人は意外にマッチするのではと思ったからだ。

さて翌週に罠とも知らず筆者とKにジュリアナに連れられて来たF。こいつは普段は日本語が通じる韓国クラブしか行けないが、筆者らフィリピン派の店での痴態を興味深そうに聞いていたので予想通り誘いにまんまと乗ったのだ。そして女を選ぶ段になって「あの裕木奈江に似た娘は英語が苦手なんですよ」と言うと、語学コンプレックスの塊であるFが見事にクララをパートナーに選ぶ。やがてテーブルでのぎこちない会話から、お触りタッチの連発、上半身裸になってマイクに向かってがなる、そしてズボンも脱いで踊る、パンツも脱いで店の中を歩き回る・・と始めてジュリアナに来た割には躊躇すること無く王道を歩んで行くF。やがでこの日以降Fのジュリアナ通いは日常的になり、Fとクララは店で会う以上の関係になって行った。

それから半年後、Fは突然本社から帰任命令を受ける事になってしまった。理由は出向元である技術部の大規模組織変更によるガラガラポンということだが、任期途中で返される様な失態は何もしていないので本人も周りも呆気に取られている。しかし筆者とKは思わず背筋を凍らせてしまったのは言うまでも無い。クララが言っていた「何故かみんな帰国してしまう・・」というのは本当だったのだ。首狩り族の末裔として生まれたクララは、本人が望むかどうかは別問題として、里に下りて来ても別の形で種族の伝統を守り続けていたのである。

Fは帰国する日までジュリアナに通い詰め、悲壮な表情で クララと戯れる日々を過ごしていたが、たまに同行させられた筆者とKは同席するのが辛かった。「Fさん!どうして帰っちゃうの?」と下手くそな英語でFの目を見ながら訴えるクララ。Fも万感やるせないといった感じで黙ってクララを抱きしめる。しかし筆者とKは「そりゃクララが首を切ったんだよ」と思うが言葉には出来るわけも無く、重苦しい空気の漂う中黙ってグラスを見つめる事しか出来なかった。

さてあれから十数年の時が経ち、あれだけ流行っていたジュリアナも今は潰れてしまったが、クララはホステスをやめてスタンドバーのバーテンダーとして今でも香港で働いている。なのでもしもアナタが誰かを会社から追い出したい!、こいつをクビにしたい!と思ったら、ワンチャイのロックハート通りにある「109」というバーを訪ねて欲しい。そこに行けば今では英語が上手に話せる様になったクララが飲み物を作ってくれるはずである。なおくれぐれも言っておくが、あなた自身は絶対にクララに近づかない様に。さもないとたちまち首筋の後ろにヒヤリとした刃の冷たさを感じる事になりますよ。






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コメント

2014/08/31(日) 23:45:09 | URL | でぶ熊 #3hri4u1c
フィリピンにも首狩族がいるとは知りませんでしたが在社してた会社は香港にも駐在事務所がありよく寄りましたがフィリピンパブがあるとは驚き、小生のPPパブ嫌いを知っていたのでしょう。

好みもあるのでしょうがマニラ駐在時代に店で色気を感じるピナ経験皆無、それなのに前妻亡き後現女房と再婚したのは自分でも不思議、もっとも夜商売に関係ない客先の寡婦でしたが愚息嫁はお姉さんは?色気があると。

フィジーの首都の国立博物館には堅木で造った頭を割る武器、脳味噌を吸う道具が展示され敵の戦士から戦闘力を加えるような説明文がありましたがあちこちの国の博物館でも似た展示、説明書をみましたが人の考えは同じなのでしょう。

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