FC2ブログ

隔離された人間の悲劇(2)

2014/08/26 00:02:26 | 昔話 | コメント:1件

筆者は病院の最上階にある4人部屋に入れられたのだが、まあ同室者がいないのは理解出来るにしても隣部屋も向いの部屋もその隣も空室で、何と4階の半分は筆者が独り占めの状態だった。さらに看護婦さんからは「いいですか!トイレに行く時以外は絶対に病室から出ないでください。入浴も禁止です。それから3階へは絶対に降りてこない様に」と厳命される始末。病名はまだ判明していないが、実質的な隔離処置と同じ扱いになってしまった。

それから2日後、熱でぼ〜っとしていると医者が病室にやって来て、血液検査のうち当病院で出来る範囲の結果が出た!きみは梅毒でも肝炎にも感染していなかったが、院長以下この病院の医師で議論した結果、おそらく伝染性単核球症に侵されているはずだ、と言う。しかしこの病名は聞いた事が無いので医者に補足説明を求めたところ、これは粘膜感染が原因の重い病気で、最低でも1ヶ月の入院が必要だから会社に連絡をしておきなさい!と言った後、スタスタと病室から出て行ってしまった。

最上階にある公衆電話から会社に電話すると、人事部の研修責任者は「○○くん!大丈夫か!いったい何の病気なんだ!」と畳み掛ける様に聞いてくる。それで血液検査の結果は1週間先でないと分からないが、どうも伝染性単核球症という病名で、これはこれこれこういう病気で・・と200回もやりましたということ以外を一気に言うと、電話先の研修責任者はしばらく絶句した後、「無理して研修に出てくる必要は無いから、ゆっくり養生する様に」と言って一方的にガチャンと電話を切られてしまった。





入院した最初の3日間は40度近い高熱が続き、意識が朦朧としてトイレにも真っ直ぐ歩いて行けない様な状態だったが、4日目からは熱も下がりはじめ、おまけに発疹も嘘の様に綺麗さっぱりと消え去ってしまった。おかしいなあ・・と首をひねる医師。そしてキミは本当はハシカをやってなかったんじゃないか?と聞かれたが、また実家に電話をしても「あんたは子供の頃にハシカをやったよ!」と母親は言い張る。それで結局はあと数日で血液検査の結果が出るからそれまで待ちましょう、と言うことになった。

さて体調もかなり良くなったある日、看護婦さんが病室にやって来て「面会の方が来てますから1階に降りて来てください」と言う。もう第三者に感染させる可能性は低そうなので密室で無ければ面会可と担当医が判断したと言うのだ。それで受付の外にある屋外のベンチへと案内されて行くと、同期入社の男女が7人ほどいて「おおっ!○○!生きてたかっ!」と叫んだ。何を大げさな・・、検査結果待ちだけど俺はすっかり良くなってるよ・・と答えたが、福田中(ふくだ・なか)いう慶応大卒の男が「会社ではエライことになってるぞ」と言った。

なんでも新人研修の会場で突然マイク放送が入り、「皆さんの同期の○○君が日赤病院に入院していますが、絶対に見舞いに行かない様に」という指示が流れたというのだ。それで筆者の友人達が人事部の人間に詰め寄ると、○○くんは東南アジアで危ない行為をしたために危険なウィルスに伝染して隔離されているのだ、と集まった人間に説明し始めたらしい。一体なんで危ない遊びなんて事を・・?。俺は単に卒業旅行で行ったタイでウィルスに感染したらしいと言っただけなのに、この田舎モンの人事部員は「タイ→セックス→やりまくり→感染した」と連想して(実際そうなのだけれど)、それを同期たちに大っぴらに話しやがったのだ。





さて入院してから10日後、ついに日赤本部から検査結果が来たというので担当医の元へとおりて行くと、開口一番「キミは伝染性単核球症どころか何ら重い病気にも罹っていない」と言った。そしてキミはお母さんにハシカの罹患について聞いたそうだけれど、念のため君のお父さんにも聞いてみてくれないか?と言うので、売店横にある電話機から実家に電話をかけて退職して暇にしていた父を呼び出すと、受話器の向こうから「ああ、お前は確かハシカはやって無かったはずだよ」という父の声が聞こえた。

しかしもう何もかも遅かったのである。病院の方はその日のうちに退院という運びになったが、会社からは「新人研修に来る必要なし。自宅で静養せよ」と命じられてしまい、1週間後の配属先の事業部での新人配属式典の場では事業部長から「キミが東南アジアで遊び歩いていた男かね?」と大勢の目の前で嫌味っぽく言われてしまった。もう筆者の事は同期1000人と事業部500人の口を通じで全社に知れ渡ってしまい、短い期間だが会社のあちこちで社員たちの格好の噂話になってしまったようであった。

なので海外へ出張や旅行に出かける方に一言。現地の女性の体をたんまり堪能するのは結構だが、もしも帰国後に病気になってしまった場合は筆者が経験したような甚大な二次災害を被る可能性もあるので要注意である。特に東南アジアや南米、ロシアの場合は皆から格好の標的になってしまうので、現地に到着したら「海老を食ったら蕁麻疹が出たよ。ぐえ〜」とか「シーフードレストランで食べたオイスターに当たって腹具合が水道の蛇口状態。トイレから出られん。とほほ・・」などとFacebookに写真込みでアップしてアリバイを作ることを心がけましょう。






にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村


スポンサーサイト




コメント

2014/08/26(火) 22:29:43 | URL | でぶ熊 #3hri4u1c
大組織の企業の対応は当然でしょう。AIDSがアジアで流行した時期創設した拠点の責任者として若い衆を連れて行った時に初めての海外勤務者は半年家族を帯同出来ない社規の中に所属長の理由によるとあるのを発見、即家族を呼ばせました。独身者に彼女はいないのかと質したらいない訳でないと言うのでポケットマネーで航空券を買わせ呼ばせた結果結婚に。
年一度の家族を含めたXX会ではオヤジのやりかたで俺達はあの国で遊べなかったと文句が出るのが恒例です。
組織とはそんなものです。
マニラ出張から2時間遅れたPALで成田に戻った時に下痢がひどく検疫に書いたら検便結果赤痢の疑いで会社の関係者・家族は全員検便、会社・自宅トイレは消毒で大騒ぎに。
PALのビジジネス機内食のエビシュリンプが原因、成田のトイレでは同乗客を多く見ました。
以来PALは絶対使いません。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/336-c50bbf5a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)