FC2ブログ

隔離された人間の悲劇(1)

2014/08/25 00:02:41 | 昔話 | コメント:2件

エボラ出血熱の疑いのあったトーゴ滞在中のフィリピン人船員であるが、血液検査の結果は陰性で、どうも単なるインフルエンザだったとようだと聞いてまずは何よりホッとした。この人物がもしもエボラ出血熱に感染していて、万が一にもマニラに緊急輸送するなんて事態になったら、ただでさえ混雑して混乱を極めるマニラ空港は一大パニックに陥ったに違いない。可哀想だが危険な病気に感染した以上、現地で死んで火葬にされた後で骨になってから帰国という方法しか無いだろう。

筆者のこういう書き方にお前は残酷だ!お前には感染したものの悲しみが分からないからだ!とお思いの方もいるだろうが、実は筆者もエボラ出血熱ほどの病気では無いが、ちょっと深刻な病名で一時期隔離された上に、非常に甚大な被害を被った経験があるのだ。それは今から25年前の4月上旬、筆者が新入社員になって1週間も経たない時期で、のどかな地方都市(というより町)にある本社で同期入社1000人と集団新人研修を受けている最中であった。

最初は風邪を引いたのだろう・・と気楽に考えていたが、喉の痛みが断続的に続き、そのうち38度台の発熱に悩まされる様になってきた。近所の薬局で買った市販薬を飲んでもちっとも良くならない。何かがおかしい・・と思った時は病状は相当進行していて、ついに研修中に目眩を起こすわ、身体中に赤い発疹が出始めるわと尋常で無い事態になってしまい、研修を抜け出して本社の近くにある日赤病院に駆け込むことになった。

「ああキミ!これはね!典型的なハシカの症状だよ」と言う医師。しかし22歳になってハシカってのも随分と遅いなぁ・・と不思議そうな目で筆者を見る。そして医師から「君はハシカはやったことあるか?」と聞かれたが、筆者はこの手の病気については無頓着でなに一つ記憶が無い。それで病院の公衆電話から実家に電話をかけて「俺はハシカを一度やっているか?」と聞いてみたところ、出てきた母親は「あんたはハシカや風疹から水疱瘡まで一切合切の病気を小さい頃にやったよ」という答えだった。





ううむ・・ハシカはやってるのか。おかしいなあ・・、と首を捻る医師。そして「ところで君は過去1ヶ月間どこにいたの?」という質問をしてきた。ここで筆者はギクっとしてしまった。なぜなら2月頭から3月末まで筆者は卒業旅行でタイのバンコクにいたのである。どうしよう・・言うべきか言わないべきか・・と迷ったが、相手は医者なので本当の事を言ったところ、この医者はいきなり「なにっ!バンコクだって!」と目を剥いた。

君は約2ヶ月も何してたの?。そこで何を食べたのか?など医者らしくいろいろ聞いてくるが、貧乏旅行者ですから小汚い下町の安宿に泊まって屋台で食べてました、生野菜どころか生水も飲んでましたよ、と答えると「ああ ・・生水ねえ・・」とやけに間延びした口調で言うが、心なしかカルテに力強くメモを書き込んでいる様に見える。そして医者は言いにくそうな感じで「あのぉ・・」と言った後、「きみはぁ・・つまり・・現地の女性とぉ・・そっち方面の職業という意味だけど・・感染症になる様なことをバンコクでしたのかね・・」と聞いてきた。

やっぱり来たか・・と思ったが、ここは本当の事を言うしか無い。それで「ええ、しました」と答えた。その時医師の目がチラッと看護婦の方を見ると、利発そうな看護婦はドアを静かに閉める。やがて避妊具は使ったかね?と聞かれたので、使った時もあるし使わない時もありましたよ・・と正直に答えると、この医者は「な何だ・・何回もあるのか・・一体何回くらいそういう事があったんだ」と言うから、正直に「200回くらいしました」と答えた。

この時辛かったのは医者も看護婦もシーンと静まり返ってしまった上に、看護婦が思い切り後ずさりした事だ。この田舎町の病院に勤める二人の目には、筆者は性的に堕落し切った魔都バンコクで性の狂宴を貪り食いつづけた挙句に未知の殺人ウィルスに侵された超危険患者として映ったに違いない。しばらくして医者は「血液を採取して東京の日赤本部へ送るので、結果が出るまでは入院していただきます」と事務的な口調で言い渡した。(その2に続く)






にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村
スポンサーサイト




コメント

2014/08/25(月) 15:52:34 | URL | hanep #-
けしからんけしからん、続きわくわく

2014/08/25(月) 22:09:12 | URL | minoru kidoh #aeXjTtCM
おもしろいやんけ!
私も、学生の頃2回も自分の大学病院に行きました。
ところで、あなたの住んでいる町は、差支えなければ教えてください。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/335-616276ad
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)