事故を起こし続ける船会社

2013/08/18 15:00:17 | ニュース | コメント:1件

テレビではセブ島で発生した海難事故のニュースを連日報じている。死者33人行方不明者171人とはまさしく大惨事である。フィリピンは群島国家のため長距離移動は飛行機か船を利用するしかないが、飛行機は運賃が高いため一般庶民はもっぱらフェリーを利用するらしい。しかし船会社の中には安全の観念が薄い輩もいて、利益のために定員以上の乗客を平気で乗せてしまうという。今回沈没したトーマス・アキナス号のオーナーである2GOライン社は定員を順守していたと声明しているが、これも本当かどうかは疑問だ。
  b9dedaba-cdd5-40b9-8417-b0110ed84b52_ferry.jpg

居間でニュースを見ながら「犠牲者も可哀想だけど船会社もお終いだね」と筆者が言うと、家に遊びに来ていた従姉妹のミレットは「船会社は全然大丈夫よ」と言う。「でも会社の信用はガタ落ちになるし犠牲者遺族への補償だって莫大な金額になるじゃないか?」と反論すると、「貧乏人は安い運賃に惹かれてすぐに戻ってくるし、裁判を長引かせれば補償なんて微々たる金額で済むのよ」と身もフタもないことを言ったあと、テレビ画面を指しながら「ほらっ!その代表的な会社がテレビに映ってるわよ!今回の事故もこの会社が引き起こしたのよ!」と叫んだ。「沈んだ船の2GOライン社のことか?」「そっちじゃなくてぶつけた船の方の会社よ!船の名前に社名が入ってるじゃない!」よく見ると画面の貨物船の黄色い船体にはSULPICIO  EXPRESSと書かれていた。
 interphoto_1376722357.jpg

ミレットの話によれば、このスルピシオ社は毎年欠かさず何らかの海難事故を起こしており、特に1987年に発生したドニャ・パス号事件がフィリピン人たちの記憶に鮮明に残っているらしい。ドニャ・パス号は定員の3倍以上の乗客を乗せてレイテ島を出港、やがてミンドロ島沖合でタンカーに衝突、オイルに引火して乗客4386人が焼け死ぬという地獄絵図のような事故だ。筆者は当時大学生で、テレビニュースでこの船は元々は日本船の「ひめゆり号」という名だったとアナウンサーが言っていたのを覚えている。このドニャ・パス号事件は戦争による被害を除くと史上最悪の海難事故らしい。
  nauagio_dona_paz3.jpg

1988年には同社のドニャ・マリリン号がレイテ島沖で台風により沈没、乗員乗客536人のうち389人が犠牲になる事故を起こしている。ちなみにこの船は前述のドニャ・パス号と同型の姉妹船だったというから呪われてたんじゃないだろうか・・。そして1998年には同社のプリンセス・オブ・オリエント号(写真下。元々は日本のさんふらわあ号)が台風の中を出港しバタンガス沖で沈没、150人が犠牲となった。生存者もレスキューが来るまで12時間も海の中を漂っていたというから何とも壮絶な話だ。
  SFF9_Sun_Flower_11.jpg

そして2008年には同社のプリンセス・オブ・スターズ号がシブヤン海で沈没し乗員乗客825人中773人が死亡(写真下)、その上デルモンテ社の巨大プランテーション向けに積んでいた大量の殺虫剤が海に流れ出てしまい、レスキュー隊員たちに神経系の中毒症状を引き起こさせただけでなく、生態系に深刻なダメージを与える海洋汚染を引き起こしている。利益追求のため乗員乗客を死なせただけでなく自然環境まで破壊するとは!まったく毒ガスのような企業である。
  pdi-page-1-ferry-sinking-june-23-cropped.jpg

「あきれたね・・こんなロクでもない会社が今でも存続してるなんて・・」と筆者が驚いてパソコン画面を見ていると、ミレットは笑いながら「スルピシオ社って殺人会社(マーダーカンパニー)みたいでしょ?でも今回からスタイルがちょっと変わったみたいね」と言った。筆者がどういうこと・・?と聞くと「今までは自分の船の乗客を沈めて殺してきたけど、今回から他社の船に衝突して他社の乗客を殺すようになったんでしょ」と言った。・・・・。つまりスルピシオの船は魚雷のようにフィリピン中を徘徊し、あちこちで船を沈め始るようになりましたっていうことか?・・・・。筆者と女房はビサヤ諸島へ船旅でもするかと前から話していたが、ミレットの話を聞いて迷う事なく飛行機の旅に切り替えることにした。
にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

コメント

詳しい解説・感心しました!

2013/08/18(日) 19:23:10 | URL | Ryuchan #-
初めまして

記事に書かれているドニャ・マリリンに義弟が船員で乗ってまして、
奇跡的に漂流した後どこかの島に流れ着いて助かりました。
今は国際航路の一等航海士として勤務してますが。

確かに、フィリピンの船会社はいい加減極まりないので、
何十年建っても同じような事故を繰り返していますね。
死亡しても雀の涙位の補償金ですから、亡くなった人は救われませんね。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/33-ae809047
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)