思わぬ形で再会した親友

「おまえ丸屋真(まるや・しん)って知ってる?」と別の高校に通う中学時代の同級生Tに聞かれた。「丸屋だって!知ってるも何も俺の小学校の時の親友だよ!」と言い返すと、この同級生のTは「やっぱりそうか!」と頷いた。このTは東京・新宿区にある保善高校の生徒で、沖縄から転校してきた丸屋と口をきいたら、なんと丸屋は小学校時代Tの近所に住んでいて(ただし小学校はTとは別である)、覚えている友人として筆者の名前をあげたと言うのだ。

この丸屋と筆者は小学校3〜4年の時に同じクラスにいて、ほぼ毎日の様にお互いの家に行き来していた大の仲良しであった。まず頭に浮かんだのは丸坊主で傷だらけの顔。「これは赤ん坊の頃に兄貴に引っかかれた傷だよ」と言って仲の良い兄貴をからかっていた丸屋の笑顔である。そして冬でも半ズボンをはいている丸屋。当時東京12チャンネルで放映されていた「三菱ダイヤモンドサッカー」の影響からかドイツ・ブンデスリーグの試合を夢中になって話したり、筆者の家の庭で「これがベッケンバウアーのシュートだ!」と得意げにボールを蹴るなど一端のサッカー少年だった。運動神経の悪い筆者も丸屋のおかげでサッカーだけはふつうの人間並みにプレー出来るようになれたのだ。

それから8年経って思わぬ所から丸屋の消息を聞いたのである。丸屋に会いたい!それでTに丸屋と再会出来る様に取り計らってくれないか?と頼んだところ、その頃Tは筆者の影響で新宿歌舞伎町のディスコ(当時はクラブと言わずにディスコと言った)に通い始めており、どうせならディスコ、ディスコだったらGBラビッツかゼノンに誘い出すことにしようぜ!俺が全部アレンジするからさ!と筆者の依頼を快く請け負ってくれた。では待ち合わせはここの喫茶店にして、その後に歌舞伎町になだれ込もうぜ!ということにしたのだ。


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さて待ち合わせは当日、喫茶店に予定より早く来た筆者は「まず何から話そうか?」とあれこれ思案していた。8年も離れていたから話す事は山ほどある。それに丸屋が沖縄に転校する前に住んでいた日本生命の社員寮にでも連れて行くか!などとあれこれ思案しているうちに本日一緒に同行するKとSも喫茶店に現れ、いやぁ楽しみだなあ!あいつどんな風に変わってるんだろう?とワイワイ話していると、喫茶店のドアが空いて今日のセッティングをしてくれたTが一人で入って来た。

「おい!丸屋はどうした?なんで一人なんだ?」と聞いてもTは何も言わない。なんか様子が変である。そしてその後も何回か問いかけをしたが全て黙殺・・。やがてTは決心したように顔を上げて「丸屋が死んだ・・」と言った。はぁ・・?。何言ってんの・・?。ドッキリカメラじゃあるまいし・・。それで冗談は止めて丸屋は今日来るのか来ないのか答えろよ!と聞き返すと、Tはものすごく真剣な表情で「本当だよ!きょう学校で丸屋は殴られて死んだんだよ!」と言ってそのまま黙り込んでしまった。

Tの説明だと、保坂(小坂?)という生徒が黒板を綺麗にしている時に丸屋が紙コップを投げつけたのだそうだ。それを激昂した生徒は丸屋の元に来て頭をガツンと殴りつけたところ、丸屋は倒れたまま意識を失ったという。「俺は丸屋を叩いて起こそうとしたが丸屋の体はどんどん冷たくなってくんだよ!それで死んでいくってわかったんだ!保坂(小坂?)はマルヤーッ!死ぬなーっ!って何度も何度も叫んでたけど、もう駄目だなって全員わかったよ」と言うなりTは頭を抱え込んだ。(後日新聞の社会面にデカデカと載った記事には死因はショック性のものだと書かれていた)


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数日後、小学校時代の友人に片っ端から声をかけて丸屋の葬儀に出向いた。会場の荻窪の願泉寺には学生服姿の弔問客が何百人も集まっていて異様な光景だったが、筆者も彼らに混じって焼香の列に並んだ。遺族の席には見覚えのある丸屋の母親と2つ上の兄貴が座っていて、母親が泣きはらした目が筆者の存在を認めると、ジッとこっちを見た後ペコリと頭を下げた。なんとも重い気分だった。そして焼香の段の前に来て筆者と同じ年齢になった丸屋と思いがけない形で再会した。遺影の丸屋は小学校の時とあんまり変わっていなかった・・。

さて話はずれるが、この葬式で不思議と良く憶えているのは答辞を読んだ生徒会長の最初の一言「まるや・まこと君!」である。このアホ会長!丸屋の下の名前は「しん」って読むんだよ。あいつのあだ名は昔から「まるしん」だったんだ!トレードマークも◯の中に真と書き込んで「まるしん」と読ませていたんだよ!と小学校時代の仲間と葬儀の場でブツクサ言っていたことだ。こんな意味のない光景が真っ先に頭に浮かぶとは人間の記憶なんていい加減なものである。

さて筆者がなんでこんな暗い話を書くのかと言えば、一つ目は今年が丸屋が死んでちょうど30年目だからであり、そして二つ目は言うまでもなく丸屋が大好きだったドイツかワールドカップで優勝したからである。筆者の家の庭でゲルト・ミュラーやベッケンバウアーの真似をしてサッカーボールを蹴っていた丸屋。「俺は将来バイエルン・ミュンヘンでプレーするんだ!」と夢を語っていた丸屋。お前あの世で好きなサッカーは見てるのか・・?。お前が大好きなブンデスリーグの選手たちがワールドカップを制覇したぞ!

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