頑張れ!日本の悪霊たち

先日オルティガスのロビンソン・ギャレリアまでホラー映画を見に行ってきた。従姉妹アニーがここに勤めていて新作映画の試写会に突然呼び出されたからだ。どうも「アース・オブ・エコー」という子供向けの新作映画の試写会は観客があんまり集まらなかったようで、配給会社のお偉いさんを立腹させないために映画館職員の家族友人がかき集められたのである。そして家でゴロゴロしているだけの筆者ら一家3人と、これまた年中ヒマな従姉妹ミレットがご指名を受けたのだ。

たまたまミレットの家に遊びに来ていた妹ローズアンと映画館の近くに勤めているミレットの旦那ラフィーが参加した事でノルマの4人を達成したので、筆者と女房は子供映画の試写会には参加せずに「デリバー・アス・フロム・イヴィル」というホラー映画を見ることにした。ポスターを見た感じでは随分とオドロオドロしい感じがするので、アニーに映画の評価を聞いたところ相当怖い映画だというので迷わず決めた。


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この映画のストーリーを言うと、イラクに派遣されたアメリカの海兵隊員が誤って悪霊を封印した遺跡に足を踏み入れてしまい取り憑かれてしまい、やがてアメリカに帰国した彼らが続々と猟奇事件を起こすという内容である。この海兵隊員を追うのがニューヨーク市警の刑事と神父で、刑事の娘に悪霊が忍び寄りやがて娘を捉えてしまうなどのアクシデントはあるが、最後は神父の悪霊払いが成功しハッピーエンドとなる。さてここまで聞いてみて、このストーリーって何処かで聞き覚えはありませんか?

そう、ウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」と同じプロットなのだ。筆者が子供の頃に世界中を恐怖のどん底に陥れた超名作である。悪霊が取り憑くのはリンダ・ブレア演じる可憐な少女と筋肉ムキムキの海兵隊員の違いはあるけれども、悪霊をキリスト教の力で退治するという基本構図は同じである。そして両作品とも悪霊はアメリカ国内でなくわざわざイラクから来ているというのが如何にも福音主義的なアメリカ人らしい発想だ。。


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古代のユダヤ人やキリスト教徒にとっては、東方に位置するメソポタミア地域というのは退廃の町バビロンに象徴されるような堕落した文明であり、バビロン捕囚で迫害された恨みも重なって文字通り「悪魔の住む地域」と見ていたらしい。ヨハネの黙示録に書かれた「天使は力強い声で叫んだ。倒れた。大バビロンが倒れた。そして、そこは悪霊どもの住処、あらゆる汚れた霊の巣窟、あらゆる汚れた鳥の巣窟、あらゆる汚れた忌まわしい獣の巣窟となった…」という一文が示すとおり、悪霊パズズやベルゼブブ、バビロニア神話に登場するエンムーやクビュ、ラマシュトゥやたらといろんな悪霊を恐れていた様だ。

もっとも古代の神話というのはどの国も同じで英雄と女神と悪魔入り乱れての征服劇であり、古代のメソポタミアはアッカドやヒッタイト、シュメールなどの強国が血で血を洗う抗争を繰り広げていたから、これらの悪霊というのは霊的なモノではなくて、おそらくは虐殺者となった敵将や殺された地方の王の怨念、または正体不明の伝染病を比定したものであろう。そしてこれより後のローマ帝国の時代は文明が進んでしまい人間の所作を霊的なものに転換する事は無くなったので、今から4000年前に実際にいた殺戮者は今でも悪魔として活躍(?)しているのである。


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これは日本も同じで、大国主や猿田彦などの古代豪族から長屋王に菅原道真、平将門あたりまでは怨霊として公式記録に残っているが、時代が下って源頼朝に楠木正成、織田信長、孝明天皇など同じ様に憤死した人間たちは怨霊となっていない(唯一の例外は12世紀も崇徳天皇だが、この方は自分で怨霊になると明言したからである)。そしてバビロニアの悪霊バズズが遺跡に封じ込められた様に、日本の怨霊たちも出雲や熊野、太宰府や伊勢神宮など日本各地の神社に封じ込められているのだ。ただし日本では縁結びの神とか子孫繁栄の神というほのぼのした名前をつけられて誤魔化されているが・・。

さて日本にも中近東と同じ様な血生臭い興亡の歴史があるのだから、これら怨霊をテーマにしたホラー映画を作っても良いのではないかと思う。とくに熊野あたりは風景も不気味だし、土地的にも色々と怪しげな因習があるからハリウッド辺りで作品を作ってもらえないだろうか。貞子や伽倻子も良いけれど、もっと物凄いパワーを秘めた古代の王族たちがいるのだからいるのだから、こいつらがスクリーンを所狭しと跋扈する映像を見てみたい。


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Re: タイトルなし 

カローラ様

コメントありがとうございます。
日本の幽霊話ってカミソリの刃を喉に当てられたような
背筋の凍る怖さがあっていいですよね。
外国に長いこと住んでいると、日本料理と怪談が恋しくて
恋しくて仕方が無いこの頃です。
もしご自身も恐怖体験がおありの様でしたら是非ともお聞かせください。

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