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フィリピンの地方王朝たち

2014/06/25 01:02:53 | フィリピン雑学帳 | コメント:3件

ポークバレル事件で収監中のレビリア上院議員の待遇についてメディアが「一般の囚人と比べて豪華な独房にいるじゃないか」と抗議の声をあげているらしい。さっそく上院議員は俺がいるのはホテルじゃなくで小部屋だ!と反論したが、今度はメディアが一般囚人で溢れんばかりになっている雑居房と上院議員の独房の写真を公開して「この違いを見ろ!フィリピンには公平など無いのだ!」と騒ぎが大きくなってしまった。刑務所の職員にしてみれば上院議員が雑居房で他の囚人に殺されたりしたら大事件だし、それに議員の親族からたんまりと賄賂を貰えるのだから狭い雑居房に移すはずもないだろうに。何を分かり切ったことを・・。



レビリヤ議員の元には続々と面会者が来ていて、ニュースアナウンサーは有力者たちの名前を呼び上げたが、その中にリサール州アンティポロ市長のジュンジュン・イナレスという名前が入っていた。この男は実はレビリア議員の義理の弟(議員の妹の旦那)であり、市長なんて小さな肩書きよりもリサール州のイナレス王朝の国王とでも呼ぶべき権力者なのである。この表現は別に大げさでも何でもなくて、リサール州というのは本当にイナレス一族によって統治されているのだ。



昨年この件については別の日記で書いたので詳細については触れないが、1992年以来リサール州の知事の座は驚くべき事にジュンジュン・イナレスとその両親の3人の間を行き来しているだけなのだ。ジュンジュン・イナレスが2013年に任期満了で知事の地位を降りた後は母親のレベッカ・イナレスが知事に再任(1回目は2001年)しており、母親の任期終了後は再びジュンジュンと今度は妻のアンデン・イナレス(収監中のレビリア上院議員の実妹)のペアで州知事の座をたらい回すと見られている。それに州知事のポストだけではなく、イナレスの親戚たちは州内の町長などの要職を占めるなど州の末端まで根を張っているのだ。



当然こんな政治状況では行政が先進国のように公正に機能するわけもなく、イナレス親子は州民の幸福を実現するよりも専ら自分達を豊かにする事に精を出し、一方では選挙で対立候補に表が流れない様にイナレスの名がつけられた体育館に大学、市町村役場の建物橋や貯水池、さらにはバス停をセッセとこしらえているのだ。以前テレビで北朝鮮という国は丸ごと金日成の博物館みたいだと言っているジャーナリストが居たが、このリサール州もまさしくイナレス一家の博物館と化しているのである。なお勿論これらの建設費用はイナレス一族のポケットマネーから出たわけではなく、全て州民が払った税金から賄われていることは言うまでも無い。



これは別にリサール州だけの問題ではなく、フィリピンのどの州にもイナレス家のような政治家一族がいて、さながら中世の島津家や前田家のようにフィリピンの地方政治をコントロールしていると言っても良いのだ。モノの本にはフィリピンでは約100家族が地方王朝として各地に君臨して居て、そして各王朝は婚姻関係を結ぶことでお互いの王朝を盤石なモノにしているのだそうだ。なのでもしもアナタがフィリピンの地方に行く機会があったら注意深く市街地の風景を観察して欲しい。目を凝らすと州や市や会社の名前でもない名称を市民会館やバスケットボールコートなどで見つけることになるが、それがその土地の王朝の苗字なのだ。



さて今回のレビリア上院議員の逮捕でイナレス一族も政治的な打撃を受けたに違いないと思っていたのだが、世情に長けた従姉妹ミレットに聞いてみたところ殆ど関係ないという。「イナレス一族は州内で強力な権力を維持してるからビクともしないわよ。それに逮捕されたレビリア上院議員もカヴィテ州の王朝の出身だから代わりはいくらでもいるし、だいいち汚職なんてフィリピンじゃ当たり前だから、ポークバレルで捕まった3人共そのうち政界にカムバックするに決まってるわ」と何とも無い様な口調で言った。前に書いた日記と同じ結論だけど・・この国の政治はこれからも変わる事はないのだろうな・・。



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コメント

2014/06/25(水) 16:24:37 | URL | でぶ熊 #3hri4u1c
このような話は今更と思いますがスペインの植民地と統治方と米国の帝国政策の悪いところを集めた国なので未来永劫にASEANの後塵を拝し続けるでしょう。
不幸な事に両国から渡った人間は食い詰め者ばかり、統治とは何ぞやさえ知らない輩ばかりだった事と思います。

この国が変わるにはASEANの国のように血を流さないと無理でしょう。
現大統領の母堂の時は期待したのですが元のもくあみ中国系に変わり更に悪行しやすいように米国を模倣し改悪しただけと理解してます。

地方王朝を含め国が変わるには低所得層、中流層と言われる出稼ぎ層が立ち上がり血を流さないと大きな改革は出来ないでしょう。
肝心な元気な世代はOFWとしていませんからね。。。
こんな話をしたら義母義兄の機嫌を損ねます。
マルコスがいなくなり中国系の台頭で苦労したらしいですが。

Re: タイトルなし

2014/06/25(水) 20:13:59 | URL | 3カラット #-
でぶ熊様

コメントありがとうございます。
国民的な他国との戦争があっても変わらないんじゃないでしょうか笑

しかし今後もアジアの劣等生として腐敗し続ければ、
中国も飛んだお荷物だとおもって侵攻して来ないかもしれません。
これって意外に有効な国防策かも?

2014/06/25(水) 22:12:08 | URL | カイビガン #NmRVQg7I
きょうの記事はとても参考になりました。
私も部分的に調べて記事にしたことがあります。
 たとえば、マニラ市長のジンゴイ・エストラーダもそうですね。サンファン市をほしいままにほふってます。
 彼はサンファン市が町だった時代に町長になり、市になってからは今ポークバレルで逮捕されて話題の息子・ジンゴイに市長職を譲り、そして次は、愛人の息子をサンファン市長にし、昨年の選挙ではとうとう愛人が立候補してサンファン市長になりました。

ダバオでは、ロドリゴ・ドテルテ氏(68歳)が連続3期やって、4期以上できないので自分は下院議員で3年間休み、また3期やったあと、娘のサラ・ドテルテにダバオ市長をやらせ、自分は副市長として3年間休んでいたが、また昨年の選挙でダバオ市長に立候補し当選した。彼は暗殺隊を持っているので、対立候補さえいない無風選挙。

 こんなように、日本の世襲の比ではないですね。地方自治体を独占的にファミリーで支配してる。

 地方王朝というのはぴったりくる表現でした。

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