父から聞いた洒落にならない怖い話(1)

つい先日、亡き父の教え子だった方からメーッセージを頂いた。たまたまネットで見つけた中野区立第九中学校の同窓会(第27期。昭和38年生)のページに父の名前を発見したので、父親がすでに亡くなっていることを幹事の方にお伝えしたところ、この方が気を遣ってくださり父の死を知った同窓生たちのメッセージや父の似顔絵が書いてある卒業アルバムの寄せ書き、さらには父の肉声が入った音源などを送っていただいたのだ。当たり前だが筆者は教師としての父の姿を知らなかったので、父のもう一つの顔を垣間見れたことは正に感無量であった。こんな素晴らしい生徒たちを持った父は実に幸せな教師だったと思う。さっそくマニラの自宅に飾ってある父の遺影に中野九中の教え子さん達のご好意を報告しておいた。

さて明日は父の日なので今回は筆者の父親から聞いた洒落にならない話を書くことにする。なお長文で回りくどい上に二部に分かれていることを先にお詫びしておきます。国語教師の子でありながら文章力の才能は引き継げなかったようです。以前のブログにも書いたとおり、父は呑む買う打つは一切しない堅物の人間であり、葬式も墓も祭禮も不要と遺言した無神論者だったが、何故だか幽霊の話が大好きで、父の本棚(と言うより書庫に近い)には折口信夫や柳田國男、津田左右吉らの物凄くアカデミックな書籍と一緒に中岡俊哉の「恐怖の心霊写真集」や「日本怪奇百名所」なんて不気味な本が並んでいたため、筆者もその奇妙な趣味を伝染されてすっかりオカルトマニアに育ってしまった。ちなみに現在も毎晩アマチュア怪談師たちの語る実話怪談の音源を聞きながら眠りにつく生活を続けているくらいである。



筆者がここまでなったのは、オカルト関係のテレビや本に囲まれていた事以外に、幼児期に父の布団に入ると子守唄の代わりに「オロロン〜オロロン〜オロロン〜バイ〜🎵」という不気味なメロディーを歌われ(さっき調べたら女衒に身売りされた島原出身の女郎たちの子守唄というロクでもない代物だった)、普通の父親なら桃太郎やカチカチ山を語るところが、筆者の父はあろうことか怪談累ヶ淵や番町皿屋敷、四谷怪談などの古典怪談や、爆弾が落ちてきたら目の前の人の手足があちこちバラバラに吹っ飛んで・・腸がウネウネと口からはみ出してきて・・など後年のスプラッタ映画も真っ青なド迫力目撃談(あとで嘘だと分かった)を毎晩のように聞かされていたからだ。

ところが筆者も小学生高学年になると父の話で怖がる事は殆んど無くなってきた。テレビの心霊番組はすでに千本くらいはみていたし、父の書庫にある幽霊本やオーメン、エクソシスト、ヘルハウスなどのメジャーな恐怖映画は全て見ていたので恐怖への耐性が出来上がっていたからである。それが面白くない父は今度は幽霊ではなく、手足が腐って落ちるガス壊疽や脱疽、目玉が何倍にも膨らんでトイレで踏ん張るとポンッと弾け飛んでしまうバセドウ病などを(かなりデフォルメして)表現力豊かに語って筆者を怖がらせていたが、筆者が中学1年の時に古本屋で分厚い医学書を買って以降は、父のインチキな病気話にも対抗出来るようになった。そしてこのあと父は筆者をおどかせなくなり何だか口惜しそうな顔をしていた憶えがある。



しかしそれから30年以上経って筆者は父から実に恐ろしい話を聞かされる事になった。父親が亡くなる数か月前に、日本出張の折に時間が空いたので実家で週末を過ごすことにしたのだが、その際に筆者は今までモタモタしていて子供を作らなかったこと、そして女房はもう出産するには高齢なのでどうやら子孫は残せそうにない、なので血が絶えてしまうことを父に詫びたのだ(ちなみに筆者は一人息子である)。それを聞いた父は「そうか・・別に気にしないでいいよ」と言った後しばらく黙り込み、「まあそうなっても仕方が無いかな」となんだか意味有り気な一言を発した後「実はお前にまだ話していなかった事があるんだ」と神妙な表情をしながら呟いた。

父が話してくれたところによると、筆者の祖父は杉並区にある井草八幡宮という近辺ではたいへん有名な神社の神主の家に生まれのだが、次男であったため跡取りにはなれなかった。しかし生来ワガママな祖父は自分も何処かの神社の神主になりたいと散々駄々をこねたため、東京の神社界で有力者だった曽祖父は神社庁本部の伝手を辿って神主のポストの空きを探したが、当時の神主は名誉ある職業であり収入もかなり良かったから子供が出来ない神主夫妻もどこからか養子をもらって跡継ぎを作ってしまう。これじゃいくら待っても次男(筆者の祖父)を神主には出来ないと慌てた曽祖父は、自分の勢力範囲内にいる神主たちの中でも政治力の無い男を罠にはめて神社から追放し、祖父をその神社の後釜に据えることにしたらしい。(パート2へ続く)


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読んでいて、筆力を感じます。私も、身売りされた島原出身の女郎たちの子守唄というのは聴き覚えがあります。どこで聴いたかは思い出さないのですが。

小学生の時の社会の先生が、そういう話が好きで、みんなによく話して聴かせて、クラス中が恐怖で、それでいて盛り上がり、また話を聴かせてとせがんだものです。

続きが楽しみ

はじめまして 

国語力がないなどと とんでもない 引きこまれてますよ 一休みしてから第二部といきたいですね

Re: はじめまして 

凡さま
こんな駄文を気に入っていただき嬉しいです。
時々この手の日記書きますのでお暇な時にお寄りください

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