中東へと向かうフィリピン人たち

朝階下へ降りて行くと従兄弟のジャネルが居間にいた。こんな朝っぱらから一体どうしたのかと聞くと、女房に金を借りにきたという。はあ?お前はつい最近まで銀行に勤めていたのに金が無いとは何事だ!と文句を言うと、サウジアラビアへ行く手続きで予想以上に費用がかかってしまい、今日支払わなければならない健康診断の費用が手元に無いというのだ。聞くとまあ対した金額ではないから餞別代わりにくれてやっても良いくらいだ。それでお前はいつサウジに飛ぶのか?と聞くと、今日健康診断の結果が良好だと分かれば一番早く予約出来る飛行機で飛ぶつもりだというのだ。



このジャネルをサウジに引っ張ったのは義妹の夫フランシスである。この義弟はサウジの商都ジェッダにある外資系建設会社でマネージャーを長年務めているが、最近昇格して複数のプロジェクトを任されるようになり文字通りシッチャカメッチャカになってしまったらしい。それでフランス人の社長に自分に助手を付けてくれと嘆願したところ、「そんならお前が休暇中に探して来ればいいだろうが!」と実に温かいというか無責任な命令を受けたので、義妹の親族の中から一番高学歴で真面目そうなジャネルを選んだのである。一方ジャネルも銀行で苦手な営業職に回されてしまい転職を考えていたし、恋人がドバイで働いているからフランシスの提案を渡りに船とばかりに乗っかったのである。



日本も同じだと思うが、フィリピンでも本当に美味しい仕事というのは新聞の求人欄には絶対に載っていなくて、全て親戚や友人の口から伝えられるのだ。例えば従姉妹の中で一番ダメそうなボウヤという女も、今から3ヶ月前に実姉ティナイの夫であるイギリス人の紹介でアブダビにあるヨットクラブの事務職につくことができた。この仕事は暇な割に給料が良いことで有名で、しかも金持ちの外国人ビジネスマンとネンゴロの関係になり易いそうだ。そして頭よりも下半身の方が発達したボウヤは早速どこかの誰かと深い関係になり、下の病気か妊娠か知らないが治療の費用を送金しろとフランシスに要求してきたが黙殺されてしまい、今度は女房に緊急事態と称して助けを求めに来たがこれまた無視された。



さて実はサウジに行く準備を進めている人間がもう一人いる。それは家政婦の長男ボウイである。1ヶ月ほどの休暇で我が家に滞在していた際に、我が家に半居候しているボウイが随分と頭と気が回ることに気がついたフランシスはボウイをサウジに連れて行くことを決心したらしい。デスクワークが増えて現場に目が届かなくなってしまった・・とフランシスはぼやいていたから、たぶん現場の1つに適当な職を作ってボウイを配置して目と耳の役割を果たさせるつもりなのだろう。こう書くと筆者は立派な義弟を持ったなと感心するだろうが、実は筆者はいたたまれない状況になりつつあるのだ。「フランシスは偉いわ。身内を食わせようとしてるんだもん」というのが親戚の女たちの弁。それに比べてあんたの日本人の旦那は・・・と一同の冷たい視線を今現在集めているのが筆者なのである。なんか居心地が悪いからジャネルの送別会は仮病で欠席することにしよう。



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