自分を長年苦しめてきたモノの正体を知った男(1)

昨日フィリピンオナベのカミングアウトに関する事を書いたので、今回は自分が目の辺りにした別種のカミングアウトについて書くことにする。今から3年前に筆者の上司Bが突然原因不明の変調に悩まされ始めた。憂鬱さが取れない、慢性的な睡眠不足、感情のコントロール能力がおかしくなる、体が押し潰されるような感じがする、それに内臓のあちこちが痛むいう状態が続いていた。それで香港の有名な病院を幾つか回ったところ軽度の鬱病と診断されて薬を処方されたが、いくら飲んでも良くならないというのだ。それに顧客の紹介で漢方薬や鍼治療も試して見たが結果は芳しく無いらしい。そして遂には毎日会社を突然抜け出してフラフラと何処かへ数時間ほっつき歩く様な精神状態にまでなってしまった。



筆者より4歳年上のBは入社以来一貫して海外営業畑を歩み、その市場の流れを先読みする優れた洞察力と各顧客の詳細まで漏らさず記憶するコンピューターの様な頭脳、そして常人とは思えないほどの優れた分析能力で早くから部内で頭角を現し、40歳の若さで香港支店長(日本本社の部長職と同格)の地位についていたのである。ただしBはいつもしかめ面でイライラしていて、何かあると怒鳴り散らすなど随分とエキセントリックなところがあったし、また筆者らと一緒にお色気ナイトクラブで馬鹿騒ぎするような砕けたところが全く無かったから職場内では完全に浮き上がった存在だったが、Bは学生時代にタイで長期滞在していたという筆者との共通点があったためか、筆者はよくBに飲みに誘われ「俺は引退したらイサーン(タイ東北部)でのんびり暮らすのが夢なんだ」という恒例の話をよく聞かされていた。



ある日会社の老技術者と筆者の二人で酒を飲んでいると、この男がBの変調について自分には思い当たるところがあると言い出した。何だろう?と思って尋ねてみるとアスペルガー症候群では無いかと言う。それで思わず笑ってしまった。Bが発達障害?馬鹿も休み休み言え!有名私大を卒業して我が社に入り40歳で支店長になった男だぞ!しかもアルペルガーの主な症状であるコミュニケーション能力の欠如とは全くの対極にある海外営業部きってのキレモノだというのに!呆れてものが言えんわい!とあざ笑ってやったところ、この老技術者は「お前はアスペルガーにも色々なパターンがあるのを知らないのか!」と一喝した上で、Bがアスペルガーだと思う根拠について説明し始めた。



アスペルガーは特定分野に異常な才能を示すので、異常に高い洞察力や分析力、記憶力を持ち合わせていても全く不思議ではないと言う。老技術者が注目したのは優れた面とは対照的な常人より明らかに劣る面、つまり会話が一方的で途切れがちになったり、事態が予想外の展開になった時のエキセントリックな反応や、上下関係は受容できても横の関係(友人)が全く作れない人間関係の未熟さ、そして会社以外は全くの不毛地帯とでも言うべきアンバランスさ、恋人や家族への愛情を育めない冷淡さ(Bはずっと独身で特定の恋人はいなかった)、あまりにも乱雑な机とロッカーの中身などアスペルガーの特徴的な負の症状について説明してくれた。そしてこの話を聞いた時に筆者にも一つだけ思い当たる事があった。



Bと顧客を訪問する歳に事前に用意した質問について客と応答を繰り返している限りはBは流暢な英語で闊達に話しているが、顧客が突然まったく関係無い話題(例えばヒラリークリントンは民主党のメジャーな候補者の中では最弱みたいだね?というような話)を振られると急に黙ってしまうのだ。当然その場には気まずい雰囲気が流れてしまうがBは無表情で沈黙したまま・・、営業出身者なら話題に関する知識を持ち合わせていなくても上手く話に乗る振りをするのが当たり前なのに、Bはそんな簡単な気遣いもしないのだ。まさか・・しないでは無くて出来なかったのか・・。それで老技術者に来週Bを酒に誘って、アンタ(老技術者)がアスペルガーのテストをBにしてみたらどうだ!とけしかけてみた。


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