自称映画監督の後輩と変節者たち

2014/05/28 00:28:47 | 日記 | コメント:0件

大学の後輩のフェイスブックのタグに「これAじゃないですか?」という書き込みと共に「自主制作映画監督◯◯の・・」というタイトルのブログが添付されているのを見てビックリしてしまった。このAというのはサークルの2年後輩で、もう20年以上も音信が途絶えていた男である。そしてこのブログのタイトルを見たときに「Aはまだ映画を作ってたのか・・」という言葉が脳裏に浮かんだ。

筆者が属していたが映画サークルには常時40人ほど部員がいて、毎日サークル棟雑居房にある小汚いスペースに集まっては名画を批評したり、御茶ノ水にある映画センターから借りてきた16ミリフィルムの名画を校内で上映したり(ビデオデッキがまだ普及していない時代だったので評判が良かった)、自主映画を制作したりと映画に関する事は何でもやる団体であり、Aはその中でも自主制作に情熱を傾けていたのだが、彼はその異端の趣味と幾ら叩かれてもヘコタレない強靭な精神力が故にサークル内では特異な存在感を放っていたのである。

後に一般化した用語で言うならAは徹底的なオタクであった。アニメや怪獣映画、特撮系SFに関しては他の追随を許さないほど並外れた知識を持ち、さらに一度語り出したら聞いてる人間が逃げ出すしか話を終わらせる方法が無くなるほどの深〜い思い入れを持ち合わせていたため、ゴダールやフェリーニ、キューブリックなど玄人向け監督が好きなサークルの多数派にとってはAは1ミリたりとも重なる処が無かったので有る。そして当然ながらAが制作したマニアックな自主映画は賞賛どころか最後まで鑑賞する人間は一人もいなかった事は言うまでもない。

ただし断っておくがAは村八分になっていたのではなく、サークルではむしろ人気者の方だった。それに妙に人懐こい処が有るから仲間も多く(筆者も良く呑みに行った)、その人脈と熱意を活かして卒業後はテレビ制作会社やアニメのプロダクションの方面に進むと誰もが思っていたのだが、Aはその余りにも思い込みの強い口調が災いして面接で落とされたのか、それとも今のマスコミには俺が活躍出来る場所は無い!と断定したのか、なんとAのイメージからは一番遠い銀行(それも信託銀行)に就職した。


さてAのブログには彼が撮ったらしい自分の作品名(一応DVD化されている)とスチール写真がはめ込んであったので早速youtubeで検索したところ、作品の予告編というのがA本人の名でアップされていた。それで意を決して鑑賞してみたのだが、その1分ほどの予告編にはちょっと言葉にするのも憚れる様なA独特の世界観で満たされていて(美少女戦隊ナントカという風味)、その余りの衝撃に筆者は深い疲労感に覆われてしまった。。これはついていけない・・。Aが学生時代に撮った8ミリ作品の方がまだ社会性があるんじゃ無いだろうか・・。

それでAのブログと映画の予告編をサークルの仲間達に知らせた処、オンライン中の数人の後輩から大きなどよめきと共に、「まさか!」「うげ〜!」「凄すぎる!」といったAへの驚嘆の言葉が溢れ出して来たが、時間を経るに従って彼らの反応は筆者の予想と裏腹にAに肯定的になって行った。「俺は映画という手段を使って自分を表現して行くんだ!」と夢を語っていた男たち。しかし映画じゃ食えないという現実にぶち当たってしまい、有る者はテレビ局に入り、郷里に帰って広告屋になり、そして海外に出て行くなどそれぞれが自分の人生に折り合いをつけてきたのである。

そこへ昔と変わらず自分の世界をフィルムに落とし込んでいるAの姿が突然現れ(儲かってるかどうかは別次元である)、かつての映画青年達は自分の変節を少しばかり悔いたのだ。「あいつは大した奴だよ」「どんなに酷評されたって挫けずに自分のやりたい事をしてるんだから」「あいつはずっと昔の情熱を持ち続けていたんだ」。それを聞いて筆者もAの事を面白おかしく伝えてやろうと思っていた自分を恥じた。そうだよな・・批判や批評するよりも何かを創る事の方がずっと価値が有るんだから。

さて本来はここでAの本名や作品名を書いて筆者もささやかな応援をしたいところだが、現在Aは何やら騒動を引き起こしたらしく、2チャンネルに実名でスレッドを建てられてバッシングされている最中なので止むを得ずAという匿名にした。さてAよ!学生時代は君の事を散々からかいのネタにしてきたが、それでも自分の映画の趣味を誇り高く吹聴していた姿には正直俺も内心タジタジだったのだ。お前はやっぱ本当の映画バガ、本物のオタクキチガイだよ。日本のエド・ウッド目指して頑張れよ!


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