マニラ下町スター誕生観戦記

「チェルシーが歌謡コンテストに出るので応援に来てくれないか」と女房の従兄弟に頼まれたので、一家総出で金曜の夜にマラテのパブPadi's Pointに行ってきた。このチェルシーと言うのは女房の従兄弟の妻の姉の子に当たり、我が家にはときどき遊びに来る地味な17歳の女の子である(日本でこんな遠い縁者と会うのは一生に一度あるかないかだが、フィリピンでは日常的に会うのが普通なのだ)。十人並みのご面相に蚊の鳴くような声しか出そうにない華奢な体つき、それに性格も暗そうだ。歌手と言うよりもアニメ作家とか占い師の方が向いてるんじゃないかな・・。「チェルシーが歌手だって?なんかの冗談だろ?」と従兄弟に問うと「俺の女房の家系はミュージシャンを何人も輩出してるんだよ。チェルシーもその血を引いて音楽の才能に恵まれてるんだ」と自信ありげに言った。あんな草食系のねーちゃんがねぇ・・と言うよりも食べられちゃう植物みたいじゃないか・・。
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チェルシーが参加したのはマリア・クララ・コンテストと呼ばれるもので、応募者は自分の歌声をUSBに録音して主催者に送りそこから10人を選出、この10人が今夜パブで持ち歌を1局づつ歌い、審査員が最終的に5人を選出した後、5人組のグループとなってCDデビューをするらしい。それに会場にはレコード会社やテレビ局のスカウトが来ていて、もっと有名なコンテスト参加するために自分をアピールする絶好のチャンスだそうだ。ところがコンテスト当日、チェルシーの母親が病気で入院してしまい、手術用の血液が折からのデング熱流行で不足しているため、従兄弟夫婦とチェルシーはあちこち駆けずり回らなければならず、一行がコンテスト会場に到着したのは予定時間を30分も過ぎた後になってしまった。慌てて楽屋に入るチェルシーと従妹の女房。彼女の順番は7番目で、これから急いでメイクアップすれば何とか間に合うらしい。筆者と女房と親戚一同はテーブルを確保し食事と飲み物を大量にオーダー、チェルシーの残念会になる前に酔っぱらってしまおうとの算段だ。
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ステージでは背の高い女がビヨンセを歌っている。ビヨンセ同様に見た目はセクシーだが歌はちょっと・・。で次に出てきた女は一切踊らないがリアーナのLove the Way you lieがメチャクチャ上手い。みんなこういう末端のコンテストを経て自分に足りない部分を補いながら、フィリピン人バンドの指定席である世界中のクラブやホテルのエンターテナーになっていくんだろうな。さて次は7番目なのでチェルシーが歌う番だ。司会者がチェルシィーッ!とアナンスする。オーッ!背の低さと体の線の細さは隠せないけど派手な衣装でそれなりに見栄えのするように化けている。イントロに合わせて腰を振り、歌が始まるとパッと振り向いた。似合ってるかどうかは分からないけど化粧はかなり濃い目。さてそこから彼女の歌声が始まったが、あの華奢な体つきからは想像できないほどの声量である。曲はビヨンセのLove on Top。すごい声の太さだ・・でも・・ちょっとだけ音程がずれてないかな・・その後あんまり上手くないけど踊り始めた。同行の親族も応援がちょっとトーンダウン気味に・・で3分歌って彼女の持ち時間は終了、客席からは歓声があがるがチェルシーの前のリアーナ女にくらべると拍手はさみしい感じ。テーブルで一行全員が乾杯をする。全員が「こりゃ落ちたみたいだな」という表情だ。なおチェルシーのあとの3人は歌が滅法うまい女、歌も踊りもイマイチだがコミカルな動きで客席の笑いを上手に誘う女、そして滅茶苦茶セクシーな女など、自分のセールスポイントを自分なりに強調している。
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全員の歌が終わるとチェルシーはテーブルに来た。「アガッちゃって声が上手く出なかったわ」とぼやいていたが、一仕事終えたあとの達成感が顔に出ている。女房や義妹が上手だった、絶対合格するよ・・とお世辞を言ってるが、従兄弟をはじめ我々男性陣は沈黙気味。数分立って「結果発表が始まります」とアナウンスされたのでチェルシーはステージに上がる。10名が居並ぶ前で司会者が「これから入賞者5名の名前を読み上げます」と言った瞬間にジャジャジャジャーンとテーマ曲が流れる。「入賞者1番目は・・チェルシィーッ!」と大声でアナウンスされた瞬間、我がテーブルの一同は茫然・・いきなり?どうして・・?本当かよ? でもその後は歓声に変わった。(後で従兄弟から聞いたがチェルシーは声量が評価されたらしい。5人組なので各人は一芸に秀でていれば良いから、おそらくチェルシーはその声量が評価されたのだろう)
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パブからの帰り道、チェルシーは5人組でCDデビューした後はフィリピン国内でメジャーデビューできれば一番うれしいけど、バンドに入ってシンガポールやドバイのクラブで歌うこともやってみたい・・だってアタシ海外出てみたいんだもん・・と嬉しそうに語っていた。「ところで今日貰った賞金の15000ペソで何買うの?」と聞いてみると、「欲しいものはあったけど我慢する。この賞金はお母さんの入院費用の足しにするのよ」と少し寂しそうに答えた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
がんばれよ!チェルシー。

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このお店で、はじめてビールタワーを飲んだ
思い出があります。その後の記事も期待しています!

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