詐欺師に転落した女教師(1)

ホーチミンに滞在していた時に、女房が「ジュディーはこの国にいるんだって」と意表を突く事を言い出した。ジュディー・・ひょっとして俺たちが土地を取り上げたお前の元友人か?と聞くと「そうだ」という。クラスメイトにベトナムに旅行に行くと言ったらジュディーの消息を聞いたのだそうだ。あの女ここに逃げてたのか・・と驚くとともに、彼女の変貌ぶりが頭の中に蘇ってきて思わず苦笑いしてしまった。

このジュディーというのは女房の小中学校時代のクラスメイトで、女房と違って品行方正かつ成績優秀な事から州の奨学金を得てマニラの教員養成大学に進み、10年前まではリサール州の公立中学校の教師を務めていたお堅い女である。しかし余りの安月給のため生活して行けず、心機一転して香港にハウスメイドとして出稼ぎに来ることとなり、香港には友人がいないので毎週休みの日は我が家に遊びに来ていたのである。筆者が最初にジュディーに会った時の印象はとにかく地味で真面目一方。しかし自分はインテリである、私は違うのよ!というプライドの高さがその表情に垣間見えていた。

しかし子供達を私立の学校に入れるためには香港の月給4万円の給料では十分で無いため、2年も経つとジュディーはカナダに移動する事を決心、周囲が止めるのも聞かず香港のモンコックにある如何わしいエージェントにカナダへの労働ビザ手続きを依頼した。「カナダなら今の倍以上稼げるのよ」と嬉しそうに笑うジュディー。しかしビザ申請費用は結構な額のはず・・一体何処から捻出したのか?と聞くと、「教師時代に溜め込んだお金が一杯あるの」と自信ありげに答えた。

ところがそれから1年経ってもいっかなビザが降りる気配が無い。心なしかジュディーの表情は会う度に暗いだけでなく目つきもおかしくなっていき、ある日を境に筆者の家に全く来なくなってしまった。それで女房にどうしたのか?と聞くと、「ジュディーは詐欺にあったのよ。それでフィリピン人の弁護士に相談してたんだけど、相手から領収書を貰って無かったからお手上げだって・・」と意外な話が・・。いやいや何て可哀想な・・と思ったが、その後さらに驚くような事を女房が言い出した。

「実はジュディーのビザ申請費用を立て替えたのはアタシとルーシー叔母さんなの・・。ジュディーは文無しだったから貸したんだだけど、それが今になって借金は返せないから諦めてくれって言い出して。それで言い争いになったらジュディーは仕事もほっぽり出して突然フィリピンに帰っちゃったのよ・・」と憮然とした表情で隠し事を話し出す女房。はあ・・なんだと・・お前が金主だったって?。

女房の話だとジュディーから絶対に筆者に言わないでくれと頼まれたので今まで黙っていたのだと言う。貸した金額は当時のレートで100万円相当、それに香港のメイド紹介所から雇い主に事前通告する事なく突然消えたという契約違反で数十万円相当を訴えられているという。あの教養豊かで真面目なジュディーが借金踏み倒し・・それにメイドの仕事も途中棄権・・と意外な事態に驚いたが、こんなものその後のジュディーの変貌ぶりに比べればまだ序の口であった。
(続く)


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