ホーチミン日航ホテルの名物ビュッフェ体験記

「○○くん!ホーチミンに来たら日航ホテルのビュッフェ行くことを是非とも勧めるよ!」と旧知のO社長(元働いていた会社の取引先である)はハイバチュン通りにある居酒屋で鍋をつつきながら何度も言った。筆者がホーチミンでヒマにしているとフェースブック経由でO社長から連絡が入り、ちょうどベトナムの工場視察に来たので飯でも食おうということになったのだが、このO社長は以前行った日航ホテルのビュッフェの余りの素晴らしさに相当感激したらしく、ホテルの株主じゃ無いかと思うくらい何度も何度も勧めてくるのである。

筆者も子供の頃に叔母たちに連れられて池袋の西武や新宿伊勢丹のビュッフェ(当時はバイキングと呼ばれた)によく行った口で有り、何より大食いな筆者には色々な料理を値段を気にせず好きなだけ食べられるのが嬉しかった。そして大学時代は焼肉屋の1000円食べ放題ビュッフェには散々お世話になったし、会社員になってからは新宿や吉祥寺のビュッフェレストランでステーキを軽く1キロくらい食べていたものだ。しかし25歳の時にある出来事が起こってからビュッフェに行くのはすっかりやめてしまった。

イタリア・ミラノの取引先が突然日本に来て今日の夕方にミーティングをしたいと電話がかかってきた。ところが海外営業部のメンバーは全員香港で開催されている展示会に出払っていて誰もいない。結局英語が出来るのはお留守番役を仰せつかった筆者だけということでお鉢が回ってきたのだが、香港にいる上司からは「大事なお客だからちゃんと接待もするんだぞ!」と言われたのには困ってしまった。というのは筆者は半年前に銀座にある海外営業部に配属されたばかりであり、銀座周辺で外国人の接待に使えるような店は知らないし、安月給だったから小洒落たイタリアンなんて行ったことがなかったのだ。

商談を何とかこなすと、会社のある銀座4丁目からタクシーで有楽町の帝国ホテルへ向かう(歩ける距離だが大事な客なのでわざわざタクシーで行った)。日本で一番有名なホテルだから美味いはずだし、ここのバーには先輩によく連れて行って貰ったので食事の後に来れば良いという算段である。それでグリルへ行き「電話で予約した○○です」と名前を言うと早速席へと案内されたのだが、このレストランは予想と違ってその日はなぜかビュッフェスタイルだった。この時筆者は「これなら注文に苦労しなくて良いし、客の二人も好きなものを食べられるから良かった」と正直思ったのだが、この数分後に自分が重大な間違いを犯した事に気がつくことになる。

ガヴィ・デ・ガヴィという会社の姉御格の女性社員が好きなワインを頼むと早速料理を取りに行ったのだが、お客の二人はテーブルに座ったままである。それで変だな・・と思って二人の元に戻ると、若い方が「俺はアラカルトメニューを食べる」と不機嫌そうな顔で言う。えっ?なんで?ここにはこんなに色んな料理が有るのに?と不思議に思ったが、上司には大事なお客だと言われているので逆らわずに「どうぞそうなさって下さい」と答えた。その時に二人は顔を見合わせて「ああ・・やっぱりな・・」という感じで頷くと、年かさの方が少し笑みを浮かべて「君は最近営業に来たと言ったけど、お客と食事をした経験は余り無いんじゃないか?」と言った。

相手はあくまで紳士的に言うので、筆者も本当の事、つまりこれが筆者単独では最初の会食であり、それにどのレストランが美味いのか東京の東半分は実は全く知らないので、帝国ホテルなら・・と思って予約したことを正直に白状すると、若い方も幾分態度を和らげて「美味いかどうかは運次第だから、このホテルを選んだ君に責任は無いが、ビュッフェを選んだ事に我々は失望したのだ」と言った。しかし筆者にはどういう事なのか皆目理解出来ない。それで筆者のポカンとした表情をみて「こいつは何も分かって無いだけだ」と確信したのだろう、年かさの方が馬鹿にも分かるように説明してくれた。

リストランテやトラッテリアなどの飲食店の格式の違いは、フルコースを前提にしているとか内装が豪華であるかという事よりも、店がどれだけ客に手間をかけているかの差なんだと言った。ドア係がテーブルまで案内し、ウエイターがメニューを今日の肉の質まで詳しく説明して注文を取り、シェフはウエイターから聞いた客の情報を元に味付けを変え、ソムリエは客の懐と好みに合ったワインを探し出し、フロア係はナプキンを客の首にねじ込んだり、料理を運んで取り分けたり、しょっちゅうテーブルを掃除しに来るのは、店としてお客を大切にもてなそうというサービス精神の表れである。お客はそのサービスへの尊敬を込めて正装して店に表れ、サービスへの対価として高い料金とチップを払って帰るのだ。

「ところがビュッフェには今言ったもてなしが一つも無いだろ?」。年かさの方の結びの言葉を聞いた時に筆者は愕然としてしまった。手間をかけた料理を大切な顧客に提供する。こんなの当たり前すぎて子供でも分かる話だが、筆者はそんな事さえ考えてこなかったのだ。そして筆者は自分の無知を正直に二人に詫び、あいにくアラカルトメニューは提供出来ないと言うのでレストランを出て、筆者が普段昼飯を食う銀座の寿司割烹に場を移して接待の仕切り直しをした。(蛇足だが、この時筆者は日本の寿司職人たちの類稀なプレゼンテーション能力と客あしらいの巧みさを知ることになる)

それ以降筆者はビュッフェは公私共に一切使わず(ホテルの朝食は除く)、会社で偉くなってからはビュッフェでの接待は禁止にしたし、昨年ボラカイ島で皆がビュッフェを食おうと言い出した時には金主として拒否権を強行した。「作り置きの料理を客に取りに行かせるとは何事だ!そんな店に行くくらいなら俺はカップヌードルを選ぶぞ!」という論理である。それでも一晩だけ従兄弟のジェンが奢ると言うので彼が行きたがっていたビュッフェを食べたが、案の定見てくれだけのスカスカな料理ばかりだった。ただしジェンの好意を無駄にしたくなかったので「意外にいけるね」と美味そうに食べてる振りはしておいたが・・。

さてO社長は「ロブスターにカニにオイスターが山のように積まれてて、もちろん他の料理も充実してて、ワインも飲み放題で40ドルなんだ」と言っていたので、ホテルに戻った後ネットで調べてみると、料金は55ドルに値上がりしていたが、「アジア随一のビュッフェ」「ベトナム在住者も月一で行く超穴場」などとべた褒めの記事が幾つもある。それにオイスターが山のように・・というのが気になった。筆者も女房もオイスターは大好物であり、筆者はパリの行きつけ(だった)のレストランでオイスターを3ダース食べて店の主人に驚かれたくらい牡蠣好きなのだ。

さてインターネットで7時に席を予約、タクシーに乗って日航ホテルに到着し2階のル・ブラッセリーと言う名のレストランに行くと、250席あるレストランで空いてるのは2テーブルだけという凄い混み具合である。これは美味いに違いないと思ってさっそくオイスターの山から1ダース小皿にとって食べてみたが「・・・・」。女房も同じく「・・・」である。それでロブスターのバターソテーとタマリンドソースの2種類頼んだが、両方とも身がパサパサで「・・・」、大振りのベトナム蟹のシンガポール風と蒸しただけの2種類とも「・・・」だった。それにステーキは焼き過ぎだし、パスタは学園祭の出店の方がよっぽど美味いくらいだし、一品料理類はわざと不味くしたんじゃないかと思う位なのだ。このレストランにはマトモなシェフが1人も居ないのである。それからウエイトレスのダメさ。このレストランはロブスターの料理法(バターソテーとかチーズ焼き)はウエイトレスにオーダーするルールなのだが、どんな料理方法にしますか?と聞いてくるだけで、レストランがどんな料理方を揃えているのか一切説明しないのだ。料理方法のメニューも無いのに客がレストランの出来る料理方法をエスパーのように当てるべきだと思いあがっているのである。さすが日航!それから飲み放題のワインは飲むと頭が痛くなる代物だし、結局二人ともこれは美味いと思ったのはサラダコーナーに置かれたカマンベールチーズだけという体たらく。これで1人110万ドン(55ドル)である。おい!料理長!お前んとこの低級シェフらに料理されるために命を落としたロブスターや蟹や牛に謝ったらどうだ!もっともお前んとこの親会社は御巣鷹山の事故の時も動物が死んだみたいな口調で遺族に文句垂れてたから、生命なんで概念ねえんだろうけどよ!

結論 : やはりビュッフェってのはロクなもんじゃない。どんな事があっても二度と食うもんか!



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たまたまブログを見つけて投稿しました。
私的には、日航サイゴンはイマイチです。
あの近隣なら、サクラと言うお店がお勧めかな。
※シェフが変わっていなければ。
あとベトナムは、巨大なシャコがいますので、ガーリック焼きなんかは安くてお勧めですよ。

Re: タイトルなし 

さっそくサクラに行ってみます。シャコですか!大好物なので探してみます。

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