中国人から教えられた事

2014/03/12 17:20:30 | 日記 | コメント:0件

筆者はいつも中国人の悪口ばかり書いているので、ブログを読まれた方は「こいつは腹の底から中国人を憎んでいるんだ」と思っておられるだろうが、実は筆者はけっこう中国人が好きなのである。まず第一に筆者は27歳で香港に来てから20年間ずっと中国人に囲まれて商売をしてきたのだし、中国人の考え方というのを身を持って学べば(ただし数年かかる)意外に居心地の良い世界がそこには広がっているのだ。なお筆者は今女房の国であるフィリピンに住んでいるが、もしも日本に住むか中国文化圏(台北や北京や香港)のどちらかを選べ!と命じられたら、迷うことなく中国文化圏を選ぶと思う。肩ひじ張らずに本音で生きる中国人たちの世界の方が筆者には水が合うからである。

筆者が前に勤めていた会社の後輩たちは「中国人はマナ-が無い」「アイツらはズルい」といって中国の顧客との折衝から逃げたり見下したりしていたが、筆者は「おいおい!ケシカランとだけ言ってお終いかよ!」と後輩たちを叱りつけたものである。いかなる時代であれ中国は隣の大国であり続けたのだし、それに日本列島ごと南太平洋に引っ越す訳にもいかないのだから、どういう形であれ中国とは友好と敵対と妥協時期を織りなしながら(共存とかの甘い言葉を言っているのではない)相手と伍していかなければ日本などたちまち弱体化してしまうのである。敵を知り己を知れば百戦危うからずという孫氏の言葉通り、中国人のメンタリティややり口を徹底的に研究し、相手をやり込めるだけの能力を日本人が身につけることが必要であろう。
     China Map

さて筆者が今から20年前に香港に来たばかりの頃に経験した出来事について書いてみたい。なお文章は下手だし長文なのを許してほしい。筆者の会社はある消費財のキーパーツを香港と中国の顧客(約700社あった)に4社ある代理店経由で販売していたのだが、筆者は新人ながら代理店のうちの1社を任されることになった。当時27歳の筆者は「顧客第一」とか「代理店との一体感」みたいな格好良いスローガンをそのまま信じていて、この代理店のオーナーの奥さん(彼女がセールスマネージャーだった)と一緒に毎日顧客を訪問していたのだが、数カ月するうちに先輩(彼も代理店を2つ抱えていた)から「お前の代理店が俺の代理店の顧客を安値で切り崩しているぞ!」と抗議を受けた。確かに代理店の売り先である顧客の規模や重要度によって値引き率の差をつけていたから市場価格を大幅に下回る販売実績はあるが、筆者の代理店の出荷実績は全て報告を受けてチェックしていたから他の代理店の縄張りを侵食するはずがない。それで先輩には「そんな事はありえませんね」と突っぱねたところ、先輩はニヤニヤ笑いながら「お前そのうち足下すくわれるぞ!」と言い残して去って行った。

しかしその後数週間のうちにキーパーツの市場価格が急速に下落、ついには競合他社からも「おたくの○○(筆者のこと)が値下げの指示を代理店に出しているようだ」と抗議が入る事態になった。まさかと思って代理店の奥さんを問い詰めたが「私は横流しなどしていない!」と涙ながらに自分の無実を訴えてくる。彼女の涙をすっかり信じた筆者は、筆者と同く最近香港に赴任して来たばかりの上司に「これは悪意に満ちた根も葉もないデマです」と否定したが、上司の上司である支店長の机の上にはある特殊なキーパーツがインボイスと共に置かれていた。インボイスの発行者は筆者の代理店、そしてそのキーパーツはアメリカの大手顧客向け専用に作られたもので筆者の代理店経由でしか販売しない特殊品だった。「どうしてアメリカの大手に行くキーパーツが香港で売られているのか説明できるかね?」と嫌味を言う支店長。その時の裏切られた気持ちを屈辱感と言ったら・・。それでその足で代理店に向かい代理店のオーナーを呼びつけて相手の誠意の無さをなじっったあと取引停止を通達したのである。
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その次の日のことである。取引先のオーナーが筆者の上司に電話を入れると「話があるので会社に来てくれ」と言ってきた。取引停止するのに何で今さら・・と思ったが、3カ月分の売掛金の回収に気をもむ上司は早速筆者を引き連れて代理店へと向かうことにした。そして出てきたオーナーは筆者らを女房のオフィスに連れて行ったが、そこで見たものは砕け散ったガラス、滅茶苦茶に壊された机、大きく穴の開いたデスクトップPC、そして壁にあるいくつもの凹みだった。凄惨な光景・・・。「あのバカ女!思い切りぶんなぐってやったらビビッて逃げていきやがった!」と怒鳴り散らすオーナー。ちなみにこのオーナーは黒社会のメンバー(日本で言うと企業舎弟)と噂される男なのだ。「あのバカ女がいなくなったからお前らも安心できるだろ!」と大声で喚き続ける姿に、同じフロアにいる何十人もの社員が震えあがっている。結局その場は話が出来そうにないので早々に退散することにした。

筆者がオフィスに戻ると別の取引先から「あの代理店の奥さんを責めたんだって?」という電話が入って来た。何で知ってるんだろう・・?と不思議に思ったので聞いてみると、「もう香港中で噂になってるよ!言っとくけどあの奥さんは後妻で、前の奥さんはオーナーに責められて飛び降り自殺してんだよ!今回も自殺するかもしれないぞ!」と驚くような事を言う。前の奥さんが自殺だと・・?これは本当かどうか真偽を調べるため香港滞在10年の支店長に聞きに行ったところ、あっさり「それは本当だよ!」と言った。どうしよう・・俺が追い込んだのか・・だけど横流ししたのは・・と自分を正当化したいが心が動揺してしまってどうにもならない。それを察した支店長と香港人トップの役員は「おい!○○!おまえ本当に今回も自殺するとでも思ってんのか?!」とニヤニヤ笑いながら筆者をからかうように言った。
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さてそれから3日後のことである。オーナーから上司に「女房が見つかったんだ。お前たちに謝りたいから今夜食事を一緒にしないか」と言う電話が来た。ああ良かった・・生きてたんだ・・とひとまず一安心である。それで夜に上司と一緒に銅鑼湾にある日本料理店に出かけていったのだが、個室に通された時に一目でこの場が尋常じゃないことが判った。あの美人な奥さんが・・髪の毛はゴワゴワでグシャグシャ・・目は充血しまくっていて、顔にも何カ所か痣がある。それに目付きも遠く宇宙を見ているかのよう・・。物凄く気まずい雰囲気・・。これは参ったな・・・と上司と二人で顔を見合わせていると、この奥さんが「全て私の責任です・・お願いですから取引を切らないでください・・」とポツリポツリつぶやくやテーブルに臥せってワーッ!と泣き始めた。あまりの重苦しさにその場から逃げ出したくなったがそうもいかない・・。それでそのまま懐石料理と日本酒を飲みながら息苦しい会話をつづけ、やがてオーナーが「女房には二度と失敗させない様に俺が責任を持つから取引を再開してくれないか!」と懇願してきたので、もう雰囲気に耐えられなくなった上司が「わかりました!全て元通りにしましょう!」と回答した。

オーナーと上司と筆者の3人に少しだが笑顔が戻ると(奥さんはぼーっとしたままだった)、ぎこちないながらも経済状況とか商売の流れのような会話が少しずつだが進んで行った。あの客はブラジルの大手ブランド向けで儲かってるとか、中国市場の成長は数量が先か単価アップが先かみたいな話である。やがてこっちも酔っ払ってきてもうちょっと具体的な話、つまりジョージ・ラム氏向けの商品Xは対前年で倍増しそうだから5%値引きしてくれないか?というような話に移っていったが、こっちも罪悪感から解放されたので値引きに鷹揚になっている。そして話が最大規模の顧客への値引き要求になってきた時に、これまで石のように硬直して動かなかった奥さんがカバンから電卓をサッと出すや「もう2%!そうすれば競合他社から30万個もぎ取れるのよ!」と叫んで電卓をバチバチを叩くと筆者の目の前に突き出した。この女・・叩いても死なないしぶとさだ・・。
     crying chinese

翌日会社に戻り事後報告を済ませると、支社長と香港人トップの役員は「お前はな!完全にしてやられたんだよ!女房をぶっ叩いたり自殺するってのも全部演技さ!商売のためには中国人は何だってやるんだ!まあ今回はいい勉強になっただろう」と言って二人してワハハハハと大声で笑った。そうだな・・その通りだ・・と思って筆者も苦笑いしたのを覚えている。そしてあれから20年がたったが、オーナーが日本料理店で約束した「失敗は二度と起こさない」という約束はもちろん守られる事は無く、毎年2~3度は横流しをやって市場価格をぶち壊されたが、こっちも経験を積むうちに相手のやり口が段々分かってきて、相手のウソを見抜いたり先手を打って動きをブロックする事が出来るようになってきた。やがて筆者の交渉相手は奥さんからオーナーになり、お互いの社益(国益みたいなもん)を巡っていつも相手に掴み掛らんばかりの勢いで交渉をするようになったが、商談の後はいつも食事をして手打ち・・そしてまた翌週にガチンコの交渉・・という繰り返しが2年もすると当たり前になった。

さて一昨年末に筆者が会社を去ると言うことで、オーナーと奥さんが送別会を開いてくれた時のことである。筆者が面白がって20年前の横流しの件について理由を聞いたところ、「だってアナタは必死になって顧客のためになる事をしようとしてたから、アタシはアナタの夢をかなえてあげただけなのよ」といけしゃあしゃあと言った。そしてオーナーも「右も左も分からん日本人がノコノコやってきたからな。お前は会社のためとか顧客のためとか言ってたけど、本当は自分の達成感を求めていたんだろ?だからそこを利用して儲けさせてもらったんだよ」と言って大笑いした。ロクな経験などないのに使命感とプライドだけはご立派なバカ小僧が来たんだからさぞかし組み易かったのだろう・・。そう思うと筆者のの腹にも笑いが込み上げてきた。なお自殺云々の真意については二人は曖昧に笑うだけで最後まで何も答えなかった。
      
     

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