人食いバクテリアと腕利き医者

2014/02/28 02:54:11 | ニュース | コメント:0件

フィリピン保健省は、昨年11月にルソン島北部で発生した2件の「謎の人食いバクテリア」感染症は未知のウィルスが原因なのではなく、ハンセン病と乾癬が変質的に悪化したものであり、人々はパニックに陥る必要はないと宣言した。二人の感染者は現在パンガシナン州サンカルロス市の病院で治療中だという。一時期この地域を恐怖に陥れた謎の病気を、ふたを開けてみれば注射で治る病気だったという事だが、なぜ病原体を発見するのに4カ月もかかってしまったのかと同地の保健所の所員たちは呆れている模様だ。

    
このニュース(英文ではFlesh-Eating Diseases書く)を見たときに、おお!あの病気の事か!。だったら香港のロンパリ医者のところに行けば一発で治るのに!と女房ともども思わず声を出してしまった。。このロンパリ医者というのは食肉菌症(正式名称で言うと壊死性筋膜炎とビブリオ・バルニフィカス)治療で腕の立つ医者で、筆者の会社の人間や、生まれてからずっと原因不明の壊疽症に悩まされていた姪(当時当時小学生で香港に遊びに来ていた)を一発で直したブラックジャックのような名医なのだ。

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今から10年前のことである。筆者と同僚たちは新商品の売り込みのためインドネシアのスラバヤ市を訪れたのだが、ある夜スラバヤに住む大手顧客のチェン・ビンという華僑に誘われるまま「美味いカリマンタンクラブ(蟹)」を食べに行ったのである。小汚いレストランだが年収ウン千万円のチェン・ビンが料金をケチるわけもなく、思った通りここで供される蟹は香港のやつとは違って大振りで身もぎっちりと詰まっており、チリソースとブラックペッパーの味付けが抜群だったのだ。あまりの美味さに意地汚くも一人2~3匹ほど平らげてしまい、その後は当然のごとくスラバヤの夜の生活を大層満足したのである。

さて香港に戻ってから2日後、一緒に出張をした初老の技術者HT氏が「○○!(筆者の事)おまえ体に出来物ができてないか?」と言い出した。なんでも太ももと脇腹にオデキのようなモノが広範囲にわたってブツブツ出来始めたので不安なのだという。「そりゃアンタがあの夜に選んだブヨブヨ太った女に梅毒でも移されたんじゃ・・」と思ったが、潜伏期間がやけに短いのが気になる。それでHT氏を香港で最も有名なサナトリウム病院に連れて行ったところ、出てきた医者はHT氏の患部を診るやいなや「これは大変な病気にかかった可能性があるから今すぐ血液検査をします」といきなり叫んだのである。
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病院からの帰り道(なぜか隔離はされなかった)、あまりの不安からパニック状態になるHT氏。サナトリウム病院の検査結果が出るのは3日後であるが、その間はこれでも塗っとけという具合に軟膏にようなチューブをくれただけである。その時にHT氏が「(香港人社員の)D君から良い医者がいるんだって聞いたから、そこへ行ってみたい」と言い出した。どうやら精神的に3日も待てないということらしい。いい年してしょうがねえなあ・・と思ったが、年寄りをいじめる趣味は無いので、部下のD君からケネディ・タウン(香港島西部)にあるというその医者の電話番号を聞き出して、さっそく当日の予約を入れる事にした。

東京で言うと千住や御徒町のような猥雑な街にある古ぼけたビルに辿り着くと、ビルの入り口にその医者の名前と「内科・皮膚科専科。香港大学卒」と書かれた看板を見つけた。なんだと・・単なる下町の町医者じゃねえか・・こんな医者で大丈夫かよ・・と思ったが、まあHT氏の気休めが目的だから筆者が気を揉む必要はない。ガタガタ鳴るエレベーターに乗って医者のいる階まで上がり、いかにも皮膚病という患者たちで一杯の待合室でしばらく待つとHT氏の名前が呼ばれたので、筆者も通訳と言う事で診察室に一緒に入って行った。そしてドアを開けるとそこには白衣を着た禿げ頭の、しかも随分とロンパリ気味の老人がちょこんと座っていた。まるでドリフのコントみたいだ・・こりゃダメそうだ・・。
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ところがこの医者、HT氏の患部をちょっと見ただけで「アンタは最近カニやロブスターを沢山食べただろう?」と言った。何で・・?どうして知ってるの?。そして「アンタ(HT氏のこと)は元々皮膚が弱いだろ!カニに付着した菌が体内に入って毒素が体中に巡り始めてるんだ。ココに来るのが2~3日遅かったら大変な事になるとこだったぞ」と言って、HT氏の了解も取らずに青い色をした2種類の注射をHT氏の腕にプツンと打った。そして背を向けて診断書を書き始めた医者に「俺も同じカニを食べたんだけど大丈夫ですか!」と聞くと、「お前はまだ若いから抵抗力があるんだ。でも数日以内にブツブツが出来始めたらココに来ればよい」とぶっきらぼうに答えた後、「はい!これでお終い」と二人とも退室を即された。

あの医者は超能力者か何かかな?と冗談を言う筆者に、「いやっ、あれは大した医者だぞ。俺は何十年も皮膚科に通っているから直感で分かるんだよ」とえらく真面目な顔をして答えるHT氏。まあHT氏の気休めが目的だし、あの青い色の注射を打たれたのは計算外だったけど、HT氏が気分的に落ち着いたならそれでいいや!とその時は思ったのだ。しかし翌日HT氏のオデキは信じられないことに増殖を止め、そして3日後にはごく小さな粒を残すだけにまで縮小してしまったのを知った時に、筆者はあのロンパリ医者の能力を十分思い知らされた。。なおHT氏はサナトリウム病院へ検査結果を聞きに行ったのだが、出てきた医者はHT氏の患部の治り具合を見て驚愕し、ただただ首を振るだけだったという。
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さてこの香港のロンパリ先生、10年前に会った時は60代半ばくらいに見えたから今はヨボヨボの爺さんになっているはずだが、今でもあのボロボロのビルで患者の出来物をジッと診ているのだろうか・・。この医者は見た目が貧相だし、診療に来た姪の出来物に触れもせずにいきなり注射を打って女房と義妹の逆鱗に触れるなどサービス精神の欠片もない鈍感な男なのだが、この薄汚い下町で何十年もかけて蓄積してきた知識と技術はアメリカ帰りのエリート医師など及びもつかないひとかどのものであるゆだ。どうか長生きしてこれからも数多くの貧乏人の患者の命を救ってほしいものである。

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