呪われたタイの仏像

2014/02/11 01:15:43 | オカルト系 | コメント:1件

香港人の同僚からタイの仏教関連のアクセサリーが危険だと評判になっていると知らせてきた。バンコクのある特定のソースからアクセサリーを買った人たちが破産や一家離散、はては自殺に見舞われるケースが続出しているというのである。ついに香港の雑誌バンコクまで出かけて調査したところ、祟りをもたらしたアクセサリーはなんと人骨や人体の一部を使用していた事が判明したらしい。

この記事を読んだ元部下は香港女性特有のおせっかいさを発揮して「アンタしょっちゅうタイに行ってるから、変なアクセサリーを買ってるんじゃないかと思ったんだよ!」と御注進に来たのである。それはどうもありがとさん。でも俺は昔タイの仏像でえらい目に遭った事が有るから、こういった品物はもう買わないことにしてるんだよ。

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今から25年前、筆者が大学4年の秋のことである。会社の内定を貰った後、大学をさぼってタイに2か月遊びに来た筆者は、当時バンコク・シーロム通りのロビンソン・デパートにあった「成田」という日本料理屋のウエイトレスと付き合い始めたのだが、あるとき彼女(ベンジャポーン・ワンサワイタム、通称ニンという名前だった)から「私の学生時代の友人の家に遊びに行こう」と誘われたので、簡単なお土産を持って下町にある彼女の友人の嫁ぎ先であるタクシー会社に行ったのだ。

さてこの金持ちの友人夫妻としばし雑談をしていると、部屋に禿げ頭のオヤジ(友人の義父で会社の社長)が突然入ってきて、「ワシの一番下の息子は東京の国際経済大学に留学しているんだよ」と言って筆者に日本の事をあれこれ聞いてきたのだが、何故か筆者の事を大変気に入ったらしく、唐突に「これをお前にお土産でやるから日本で大事にしてくれ」と言って応接室にズラーッと並べられた仏像のうちから一体手に取って筆者に手渡したのだ。体長50センチくらいの木彫りの仏像であった。

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さてこの仏像、筆者には正直そこらへんに捨てていきたいガラクタでしかないのだが、しかし何故だかホテルの受付係や、街を歩いているドイツ人カップル、空港で同じ列に並んでいるイスラエル人の露天商、空港のチェックインカウンターのタイ人の女など10人以上の人たちがビニール袋に入った仏像に気が付くや、そのままジーッと見つめた後、「なんて美しいんだ」「どこで手に入れたんだ?」「チェンマイの工芸品じゃないかな」と実に親しげに声をかけてくる様になったのである。彼らを見ると何とも美しいものに魅せられたように実に満足げな表情をしている。

一体この仏像の何が素晴らしいのか筆者にはちっとも理解できないので、そんなに欲しいのならアンタにやるよ!と何度も言いかけたのだが、タクシー会社のオヤジの好意を無にするのも気が引けるので、結局日本に持って帰ったのである。そして東京の自宅に戻り旅荷をほどいた後で、この仏像を両親に見せると、二人は筆者と同様に「なんだ・・こんなもん・・」と実につまらなそうな表情をしていた。どうやら一家3人そろって美術品に関しては凡人らしい。

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ところが帰国してから翌々日、父親があの仏像はなんか変だぞ・・と神妙な顔で言い始めた。真夜中に我が家の黒猫がウーッ!と何度も哭くので居間に行くと、黒猫が物凄い形相で仏像に向かって威嚇していたというのである。父親があやしても黒猫は尋常でないくらい興奮していて哭き止まない。それで黒猫を寝室に連れていったそうだが、まるで番犬のようにドアの前に立ったまま朝まで動かなかったらしい。そして翌日も深夜にウーッと哭きつづけ、それが1週間続いた後、我が家に7年居ついていた黒猫は突然どこかへと消えてしまった。

飼い猫がいなくなったのは悲しかったが、仏像に何か邪悪なものが宿っているとはその時は考えもしなかった。ところがその後の数か月間に父親が居間で休んでいる時に原因不明の眩暈に襲われて倒れてしまい、母親は慢性的な腹痛に悩まされるようになる(これも原因不明)といった不可思議な事が始まり、筆者は会社の中でも圧倒的に最低最悪の事業部に配属されてしまうわ、新人研修の最中に全身にまだらの発疹が発生してしまい、そのまま隔離病棟に直行というような普通じゃない事態になってしまったのだ。

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「あの仏像には何かが宿っているに違いない」と父親は無神論者とは思えない事を確信を込めて言うが、タクシー会社の一族は家庭円満な上に随分と裕福なように見えたので筆者はイマイチ納得できない。それは祀り方が間違っているだけじゃないか・・?と反論したが、父親は「タイの祀り方なんか俺たちに分かるか!兎に角あの仏像をタイの持ち主に返すか、どっかそこらの寺に捨てて来い!」と怒りだす始末である。だけどその時にはタイ人の彼女とは別れてしまっていたからタクシー会社の住所なんて聞けないし、かといって近所のゴミ捨て場に出すのも何か良からぬ事態になりそうである。

それでその後数週間は筆者は仏像を預かってくれる寺を調べていたのだが、ある日曜日の午後に父親の元教え子で当時は家業の東京ガス暖房器具代理店の若旦那である太田君と彼の妹(この娘も父親の教え子だった)が我が家の暖房の修理にやって来た。筆者は週末を過ごしに東京の実家に戻っていて、居間で彼の作業を見守っていたのだが、この太田君は作業をしながら何度もチラッチラッと本棚に飾られた仏像を覗き見ている。やがて我慢が出来なくなったのか「先生(父の事)!。あの仏像はなんですか?」と言い出した。

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「それはコイツ(筆者の事)がタイで貰ってきた仏像だが、どうやら呪われているようなんだ」と家族3人と猫の身の上に怒った不思議な出来事を説明したが、太田君はガラスを開けて仏像を手に取り「こんな綺麗な仏像が悪事を働くなんてとても思えませんね」と何故だか知らないが自信ありげに言って、何とも満足げに仏像の頭から足下まで眺めている。あれっ?太田君の目つきはどこかで見たぞ・・。そうだ!タイで会ったイスラエル人やドイツ人たちと同じ目、つまり仏像に魅せられた目つきだ。

しかしそうとは知らない父は「そうだ太田!お前は車で来たんだから、この仏像をどこかに捨ててきてくれ」と頼んだのである。だけど太田君は「先生!こんな奇麗な仏像を捨てると罰が当たりますよ!」と反論した後も観音像をずっと眺めたままである。で・・けっきょく太田君は父親と筆者の脅かしにも全く動じず、仏像を愛車スカイラインに積み込んで帰って行ったのである。筆者も会社の寮に戻るため一番近くの駅まで太田君の車に乗せてもらったのだが、太田君は「あんな美しい仏像を貰えるなんて・・」と実に嬉しそうにしていた。おいおい!あげたんじゃなくて、親父は君に仏像を捨ててこい!と頼んだんだよ!と思ったが、太田君の本当に嬉しそうな気分を壊したくなかったので筆者は黙っていた。

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半年後、山向こうの社員寮から休暇で自宅に戻った時に、玄関口で父親が開口一番「太田が死んだ」と言った。「先週太田の妹が夜中に電話をかけてきたんだ。中央分離帯からはみ出して対向車と正面衝突して即死だったようだ」とボソリと言った後、「太田の妹はお兄ちゃんが悪いんです!お兄ちゃんが悪いんです!と何度も泣き叫ぶので、俺はそれ以上詳しく質問できなかったが、太田の同級生たちに聞いたところ普通ではありえない様な状況での事故らしい。」と言ったきり、そのまま顔を背けて黙り込んでしまった。

その時の衝撃というのは今でも覚えている。あの仏像が原因なのではないか・・という疑念。そしてその後、筆者の胸に真っ黒くて苦い染みがゆっくりと広がっていった。

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太田君ははたして仏像を捨てたのだろうか?父は葬儀に参列したが、悲嘆にくれる彼の家族からそんな事は聞き出せなかった。しかし太田君のあの魅せられた目付きを見る限り、彼は仏像を自室に飾っていたのではないかと思う。なぜあの時太田君に仏像の処分を頼んでしまったのか・・、彼の魅入られた目が引き起こす事態を何でもっと早く気が付かなかったのか・・。

なぜ彼の車に乗った後、筆者が乗る列車を遅らせてでも無理矢理どこかの寺に行って仏像を処分しなかったのか・・。筆者も親父もその後ずっと自分たちの行いを悔やみ続けることになった。なので筆者はもう二度と魂が宿るような像は買わないことにしている。筆者自身が魅入られて死ぬのは自分の責任だから構わないが、妻や家人を失うような事になれば一生悔やんでも悔やみきれないからだ。

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コメント

2014/02/13(木) 04:52:54 | URL | hanep #-
この記事もまた、自分を重ね合わせてしまいました。
私もバンコク、チェンマイに沈没しておりました。

マニラで昔、バンコクのブッダをお守りにしておりましたら、ネズミが大量発生したことがあります。今それをやめたら、まったくいなくなりました。
どうも、タイの神様と、私たち大乗仏教は、ソリが合わないようですね。ヘンに同じブッダなだけあって、キリストよりも”目を付けられる”のでしょうか。

なんにしても、私にできる事といったら、頭を掻いて、ごまかす程度のものですが。

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