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30年前の化学反応

2018/02/11 12:27:24 | タイ・インドシナ | コメント:0件

今日2月10日は筆者にとってはちょっとした記念日である(アップするのは11日だがこの日記は前日夜に書いている)。30年前のちょうどこの日の午前11時発バンコク行きイラク航空に乗って初めての海外への旅に出たのだが、このタイからインドを回る8週間の旅が自分のその後に決定的な影響を与えたからである。

旅が終われば大学4年生となり、その後ゼミの教授の推薦で現在台湾企業に買収された大阪の大手電機メーカーに技術者として就職するか、あるいは映画サークルの先輩たちの引きでCM制作会社に入るんだろうなぁ・・と漠然と考えていたのだが、この旅の途中で筆者は「海外に出る」へと路線変更したのだ。

ただ予算は1日2千円の貧乏バックパッカーだから快適な旅などではなかったし、ガンジス川の水を誤って飲んだ事でモーレツな腹痛に襲われて体重が25キロも減ってしまったり、ゴアのアンジュナビーチで毎日朝からラリパッパになるわ、いかがわしいインド人と切った張ったの繰り返すなどロクでもない日々だったが、しかし全く新しい体験に毎日体が震えたのだ。





大学のサークルや自治会、バイト先で偉そうな事を言ったって二十歳過ぎるまでの筆者は狭い世界にいた訳で、それがいきなりアジアの雑踏に放り込まれれば当然いろんな摩擦が起こって薄皮が一枚一枚剥がされていくのだが、そうした日々を過ごすうちに自分は日本には戻らずにこのまま旅を続けたい・・と思い始めたのだ。

以前の日記にも書いたが、その昔カンボジアの安宿に沈殿している日本人たちが「自分たちは何でこんな世捨て人になってしまったのか?」と自分たちお互い過去を語り合っていったら、スポーツ好きとか親が厳しかったなんてのは全然関係なくて、ただ一つ「子供の頃に世界地図ばかり見ていた」という共通点があったという話があるが、そう、筆者も世界地図をいつも見ていたから下地があったのである。

自分はボヘミアンである・・。その事実に気づいたのだ。旅の前半では純国内派から海外派への脱皮だけで済んだのだが、後半からボヘミアン派、あるいは流浪派とか無頼派とでもいうのだろうか、旅を続けるうちに表に現れた本性がアジアの外気に触れることで化学変化を起こしてしまい、世間一般のモラルなんか捨ててあっちへ踏み越えたい!と切に願うようになったのである。





ただそうは言っても親に金出して私立大学行かせてもらったのだから・・という最低限の贖罪感残っていたから予定通りインドを離れてバンコクに戻り、そこでまたタイ娘たちとの邂逅なんてのがあって沈没しかかったが後ろ髪をひかれる思いで、というか内心かなりの葛藤を抱えながら4月5日のイラク航空に乗って日本へ帰国したのである。

しかし大学に戻ったって自分の頭の中にはボヘミアンのメロディーがずっと流れている訳だから就職あっせん相談会でのゼミの教授の発言なんか全然耳に入るはずもなく、教授の唖然とした顔を顧みずに筆者は絶対に海外に出れそうな会社の面接を受けに行き、一旦は就職するが3年たっても海外に出られなければボヘミアンになる・・という所で妥協したのである。

それから10年後の1998年の2月10日は香港にいて値段にうるさい中国人やインド人、ユダヤ人相手に結構エキサイティングな日々を過ごし、その10年後には同じく香港でちょっと偉くなって部下をアゴで使う立場になったもののリーマンショックの兆しに何となく不安を感じていたのだから、ネクタイを締めた下僕としては上々な人生だったが、しかし何かが違う・・のである。





もともと3年で辞めるつもりが四半世紀も働くことになったのは、そこが海外に出れる最短距離だったからで、顧客との折衝や事業計画の立案や商品企画にマーケティングなんかは楽しかったし、同僚たちよりずっと上手にこなしていたけれど、しかしいくら評価されようが筆者の中にあるボヘミアンへの渇望感は高まっていくだけであった。

国内派から海外派へはインドの旅とその後の5年くらいの修行で脱皮できたが、しかしそこから先は居心地が良かったせいか随分と長いこととどまってしまい、しかし自分の中から聞こえる声というのはいか様にも抑えがたいため、日本帰任を命じられた5年前にケリをつけることにしたのだ。もうそこに用は無かったのである。

ずいぶん寄り道をしてしまったが、フィリピン人の女房を貰い、背負う気の無いものはすべて捨て去ってフィリピンでボヘミアンな生活を送っている自分・・。結局筆者の人生なんて書けばほんの一行にしかならないが、30年前にアジアの薄暗い安宿で思い願った通りの帰結になった。人間もとの鞘に収まるものだ・・というのは実に的を得た言葉だと思う。






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