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ババを引いたのはオレたちだった

2018/02/01 11:48:36 | 日記 | コメント:2件

大学生時代の筆者は学校をさぼってバンコクに来ては下町ヤワラートで沈殿生活をしていたのだが、陣取っていた安宿ジュライホテルの前にはユーピンというオバちゃんが営む屋台があって、筆者同様にこの安宿に陣取っている貧乏旅行者と焼き魚や貝のツマミを喰いながら酒を酌み交わすのが毎日のお決まり事であった。

呑み始めの頃は今日は冷気茶室でこんな売春婦を買った!とか、どこどこならマリファナが安く手に入る!なんて他愛のない話に打ち興じているのだが、酒が入るにつれて話題の方は段々とアジアを旅する青年らしき話題、つまり資本主義がもたらす搾取とか不公平な社会構造なんて事になって行き、だいたい喧々諤々の論争になってしまうのだ。

今と違って80年代の学生はおおむね左に偏っていて、今じゃ堂々右翼の筆者も当時は左にいたのだが、しかし「日本は完全に狂ってる!」「日本企業はアジアの民の生き血をすする悪魔だ!」みたいな発言には同意できぬから反論するわけだけど、そうなるとものすごい反撃とともに同席者たちのメランコリックな詩的世界をご披露させられるのである。

タイ東北部の長閑な農村で微笑む少女たちが女衒に売られていく社会をオマエは肯定するのか!という(この少女がいかに可憐で純粋な心の持ち主で・・というなが~い説明が付いている)強引な論理である。もちろん筆者だって小作人たちが貧困に喘いでいるよりも一家全員でテレビを観て笑い転げている方が望ましいから彼らの論理には同意するしか無いのだが、しかし今考えても凄い飛躍である。

彼らの中では(中華人民共和国と北朝鮮を含む)アジアの民は何もかも正しくて、その一方自分と同調しない日本人たちと(同調しようがしまいがとにかく赤ん坊でも)全てのアメリカ人は何もかも悪い!という前提、白血病の少女を救う正義の味方vs死神博士とショッカー軍団という構図なのである。

まあそうなると「じゃあ世界革命やるのか?」なんて話になり、だけど実現性は薄いよなあ・・なんてトーンになってしまう訳だが、このあと喧々諤々の議論を重ねた後にだいたい行き着くのが・・・そう!グローバリズムである。人とモノとカネの自由化、移民をどんどん受け入れる世界。先進国は途上国に財産の一部を寄贈しろ!これまさしく現在の事ですね。





で、筆者がなんでこんなくだらない無いことをクドクド書いてるのかと言うと、実はその時に筆者と議論を戦わせたグローバリズム強硬派のかな~り左にいた左藤君(仮称)が入っていた会社が昨日3000人のリストラを発表したからなのだ。皆さんご存知の四半世紀前までは世界最大のコンピューターメーカーだったN社のことです。

N社の商品戦略の失敗は皆さんよくご存じのとおりなのでここでは触れないが、しかしもう一つ忘れてならないのはN社は海外移転や一時期流行ったファブレスなんかに翻弄された企業であり、当然ながら日本国内の事業縮小に伴い日本人社員がお荷物化していたわけだが今回ついに人員整理に踏み切ったのだ。

最も声高にグローバリズムを叫んでいた左藤くんの入った会社が、左藤君の意見通りにグローバリズム展開を進めていった結果、左藤君は失職の危機にある・・。一体コレはなんなんだろう・・というのが筆者の脳裏に最初に浮かんだのだが、しかし左藤君と議論していた頃から現在までの30年間をざっと振り返ってみて・・・不謹慎だが笑えてきたのである。

左翼グローバリズムとは単に先進国の中所得層の富を途上国に差し出しただけであった。本来なら大きな家に住んで今年の夏は家族全員でハワイに行くか!と話している左藤君らあのテーブルにいた日本人大学生たちの家計は破綻してしまい、その失われたカネはバンコクの不動産価格の高騰や東北部の農民が買ったトヨタのピックアップトラックに化けただけだった。

ただしいかに底意地が悪い筆者といえ左藤君に「気分はどうだい?」などと聞く気にはならない。しかしあの時貧しいタイ人たちへ感情移入をし、日本はもっと門戸を開くべきだ!外国人をどんどん受け入れて彼らに職を与えるべきだ!と主張していた左藤くん自身がN社の国内空洞化で失職するかもしれないというのは何とも皮肉である。

はっきり言うと、グローバル化の行き過ぎで職が無くなってしまったアメリカ中西部の中間層が一昨年の大統領選挙でトランプに投票したように、先進国の高い教育を受けて将来組織の中堅幹部になるべき若者は保護貿易と移民制御のナショナリズムこそ自身のイデオロギーにすべきだったのだ。それを間違えたばかりに立場が逆転してしまうとは・・。人間は間違える生き物ではあるけれど、自分がババ引く未来図を必死に語っていたとは・・。こういうの運命の皮肉って言うんだろうな。






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コメント

家電も売ってたよ

2018/02/01(木) 17:49:11 | URL | ponpon #-
昔、取引してましたが、景気が良かった時は色んなノベルティグッツ貰ってた。
展示会なんかも頻繁にやってて面白かったね。照明器具とかはまだあるのかな?

2018/02/02(金) 09:34:15 | URL | 名無しさん #-
グローバル化に永年のデフレ政策が拍車をかけました。いまや日本人平均のドル建て所得、保有資産は、アジアの中でもかなり見劣りする状況に...

世界共通価格となる自動車のような消費財は、もはや平均的な日本人には手が届かない。農民だってダイハツの軽トラなら買いますが、トヨタのピックアップトラックなどまず無理。

相対的に貧乏な日本人。それはそれで構わないのですが、それを目指していたわけではないので、複雑ではあります。

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