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冬がやってくる前に

2017/11/26 13:16:19 | 昔話 | コメント:0件

ロシア人と聞くとある年齢以上の方は「冷たい目をした残酷な民族」という印象を持たれると思う。満州侵攻、シベリア抑留、アフガン侵攻に大韓航空撃墜と全く言語道外かつ非道行為をやらかした野獣ども!というイメージを筆者も持っていて、30代の半ばにモスクワ出張を命じられた時は「これは参ったな」とため息をついたものだ。


と言うのは当時のロシア国内はマフィアが血で血を洗う抗争を繰り広げていて、この連中は経済界に侵食して企業家たちを恫喝、乗っ取りの最中だったからだ。これはオオトカゲやワニ、アナコンダが入った檻に野鳥が入り込むようなもので、非力な筆者などたちまち食い殺されてしまうではないか・・と恐れたのである。


で、当時日本にあるロシア大使館でビザ申請すると途轍もなく手続きが面倒だったので、会社の支店があったシンガポールに出向いてそこの大使館で手続きをする事にしたのだが、窓口に出て来た職員を見て驚いてしまった。ものすごい薄着な金髪碧眼ねーちゃんだったからである。

豊満胸の谷間をチラチラ見ながら出された申請用紙を記入していると、鼻歌交じりの合間に色々と話しかけてくる。アジアが好きでうんたらかんたら話すが、どうも今のシンガポール生活が楽しくて仕方がないらしい。窓口とは言え外務省職員なのにアメリカのエロ映画に出てくる頭パッパラパーな女優みたいにとにかく陽気なのだ。





「あの女なら毎晩クラークキーのバーで男を引っ掛けてるよ」と耳打ちするM支店長。なんでもロシア女たちが毎晩やり乱れている!という噂はシンガポールの遊び人たちの間では有名で、サンパウロ駐在時に豊満ボニータ相手に弾薬を撃ち尽くしたかに見えたM支店長はここではロシア女にどハマっているらしい。

へー、もっと冷たい目をした人間ばかりだと思っていましたよ!と言ったら、いやいやあれはロシアにいる時の態度であって、寒いから仕方がないんだ。だけどシンガポールみたいな常夏の国に来りゃ心も股も開きっぱなしになるんだよ!とM支店長は笑いながら言ったが、その時は適当に頷いていた筆者も数日後に現実に目の当たりにしたのだ。

その出張は展示会と顧客の技術支援を兼ねていたため1ヶ月と長かったのだが、モスクワ到着早々筆者はロシア人から大歓迎を受け、連日飲めや歌えやの馬鹿騒ぎの後に、決まってロシア女の豊満な肉体と溢れ出る滋養たっぷりの肉汁をジュルジュル貪り食うという男の王道な日々を過ごしていたのである。

ところが出張先が終盤に差し掛かったある日に一気に状況が一気に変わったのだ。それは秋が終わり冬入りした日で、それまで陽気にアクネード(ロシアの小話)を話してはウォッカの乾杯を重ねていた連中が、表情がムスーッとして口数が少なくなり、仕事の後も以前のように寄り道せずにまっすぐ家に帰るようになってしまったのである。





「冬が来たからね。僕の心は真っ暗だよ」とニコリともせず言うロシア人。そして街の方も今までの喧騒が嘘のように灰色で燻んだように見えたのはまだ良いけれど、熱い肉汁が飛び散る白い肉体も気温の低下に伴ってか冷凍マグロみたいになってしまいなんだか面白く無くなってしまったのは実に悲しい事であった。


これ冗談でなくクマが冬眠するようにロシア人も冬が来ると感情を眠らせてしまのである。で、結局筆者は最後の数日は実に味気ない思いで過ごすことになったのだが、あの予想外のロシア人の明るさ、開けっぴろげされ、奔放さ、そして女性の滋味深さに感激した後だけに、深く深く深~く落ち込む事になったのである。

ただ最近は日本にもロシア人が来るようになったし、タイなど行けば彼らの人の良さや間の抜けた生態を目にすることもあるから、今の若い人は筆者らのような偏見は持ってないだろうが、しかしあの冬が到来した日の彼らの豹変ぶりは地政学的あるいは人類学的に興味深いものがあり、ロシア人の覇権主義を深く考えさせられることになった。

クリミア半島を制圧した事について世の評論家達はウクライナとの民族的違いとかランドパワー云々を持ち出すが、事実は黒海に面した温暖な土地だからであり、北朝鮮にちょっかい出すのもパワーバランス云々より「シベリアよりもロシアより暖かいから」と言うのが本音ではないか・・と筆者は思っている。






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