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ダ・ヴィンチとアメリカ人

2017/11/20 10:42:33 | 昔話 | コメント:0件

イタリアの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が4億5千万ドルという史上最高額で落札されたそうである。筆者はイタリアは仕事で何度も訪れたが生憎とルネッサンス期の美術には正直それほど興味は湧かないのだが、しかしダ・ヴィンチは作品数が圧倒的に少ないそうだから、確かにこういう値段がつくのは当たり前かもしれない。

さてダ・ヴィンチと聞くと「モナリザ」と並んで「最後の晩餐」が有名だが、この絵画でキリストの隣に座っているのはヨハネ(男性)ではなく実はマグダラのマリア(女性)である!という説からインスパイアされたのが小説「ダ・ヴィンチ・コード」である。キリストは生涯独身ではなく彼女と所帯を持っていて子孫を残した・・という話だ。

筆者はキリスト教徒について詳しくはないが、ナザレのイエスと呼ばれる宗教改革者は実在したものの、現在世界中で語られているイエス・キリスト像はミトラ教やユダヤ教の神寓話性が取り混ぜていて正直90%くらいフィクションだと思っている。だからイエスに子供がいようがどうでも良いのだが、ちょうどこの映画が評判になっていた折に筆者はアメリカのバイブルベルトに居合わせたのだ。

設計上のポカミスがリコール寸前の事態に発展してしまい、筆者はアメリカの地方都市十数か所を回る仕事を任されたのである。アメリカ各地の電機店のサービスセンターでちょっといじれば治る程度の不具合ではあったが、悪印象を持たれて他社に切り替えられては困るのでアメリカ各地の顧客相手に謝罪したうえで同行した技術者からアメリカ人の修理屋に直し方をレクチャーさせるのである。

こうなるとサービスセンターの親方たちもかなり恐縮してくれて、仕事が終わった後には「まあ一緒に食事をしようじゃないか!」と地元のステーキ屋なんかに招待してくれるのだが(アメリカの地方部に住む方たちは日本のオバちゃん以上に親切なのである)、小難しい話は抜きにして旅行や音楽、映画なんかの話をしているうちに1/3くらいの確率で映画「ダ・ヴィンチ・コード」の話になったのだ。





いくら信仰心が篤いアメリカ田舎民とはいえ東洋から来た人間相手に宗教の話をするのは遠慮するくらいの常識は持ち合わせているのだが、ダ・ヴィンチの絵画に秘匿されたウンヌンというのは万人受けする話題だし、それに(あくまで彼らにとって)ヨーロピアンの香りのする知的な話だから酒とステーキの場で話すのには格好の話題である・・と考えていたらしい。

「ダ・ヴィンチはイエスとマグダラのマリアの秘密の関係を知っていたようなんだ」と真面目な表情で言い出したのはカンザス州の純朴なオジちゃんである。これ相手が日本人なら「この人は天才芸術家だけが持つ真実を見抜くインスピレーションの話をしているのだな」と思うだろうが、ことアメリカ人、それも田舎に住んでる人の場合は「イエス・キリストとダ・ヴィンチは別時代の人間である」とい知識が欠落しているから厄介なのだ。

イイクニつくろう鎌倉幕府!とか世界地図を広げて国名を覚える教育を受けてきた日本人とは違い、アメリカ人はそもそも外国の事柄にそれほど興味が無く、元々ガサツな性格のため頭の中の整理棚がゴチャゴチャだから、1世紀のイエス・キリストと15世紀のダ・ヴィンチの間に1400年ほど時間の開きがある事を理解していない人が結構いるのだ(ただし名門大学でリベラルアーツ教育を受けたアメリカ人はこの限りではない)。

で、前述のようにとんだ大間違いにはまり込んでいる訳だが、しかし筆者らは品質クレームで迷惑をかけた側だし、食事も向こうが奢ってくれてるから「あなた、時代も場所も間違ってますよ」などとは言えない。それで同行の技術屋と二人で「オー!それは知りませんでしたな!」などとワザと相槌を打っていたら、向こうは「この東洋人はワタシの話に興味を持っているようだ」とさらなる勘違いを重ねていったのだ。

で、相手は古き良きアメリカの精神を発揮してかな~り熱心に語り続けるのだが、困ったのは使徒ペテロが処刑された帝政ローマ時代とルネッサンス時代を混同しているため、どう考えても時代違いのオペラの話なんかが混じってしまうのだ。この明らかに間違っている話を頷きながら聞くことがどれだけ辛い事だったか・・。






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