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ロシアンルーレットなお仕事の女たち

2017/11/02 12:32:08 | 香港中国 | コメント:0件

香港にいた頃アッチ方面で良くお世話になったのは一楼一鳳(ヤッロウヤッフォン)という個人売春宿である。意外にも旧英国海外植民地の香港では個人売春は合法であり、東京だと錦糸町や西池袋なんて夜の銀座から立川や八王子みたいな郊外に至るまで古びたアパートを借りて身を売っている女性が2000人位いるのである。

連れ出し式ナイトクラブなら全部で4千香港ドル(5万6千円)、Hなサウナでも本番込みなら2千香港ドルと香港の夜遊びは結構高額なのだが、一楼一鳳は一般庶民向けだけあって平均300香港ドル(4200円)と割安であり、お馴染みさんになればサービスはグンと上がるから筆者もこっち専門になったのだ。

モンコク花園街220番地にワンチャイの富士ビル、ノースポイントの皇冠ビルなんて一楼一鳳密集地帯に週に2回は通っただろうか。こういった有名どころはワンフロアに十数人が店を構えているケースが殆どで、運悪く馴染みの女に先客がいても隣の部屋をノックすれば別の女が「ウッフ〜ン,」と出てくるから便利なのである。





しかし世の中には筆者みたいな気の良い客ばかりでは無いわけで、彼女たちの最大の悩みは殺人者を部屋に入れてしまう事である。えっ?なにを大げさな・・と思うかもしれないがこれは嘘偽りの無い事実で、だいたい毎年必ず2〜3件の一楼一鳳殺人事件が起こっていて、中には4人殺した猟奇殺人者だっているのだ。

男の店主や従業員がいる売春宿と違い一楼一鳳の女たちは最初から最後まで常に一人だから人殺しをしたい人間にとっては格好の標的になるのだ。売春婦NGO組織の協力で防犯カメラを設置していた女もいるが、それとて部屋に入られれば非力な彼女たちには最早どうしようも無い。旧カイタク空港近くのトクワワン道7号のタイ女もそうした不幸なケースの犠牲者であった。

その日「鳳姐殺手」という新聞記事を見つけた時に筆者は一瞬凍りついてしまったのだ。なぜならそこに書かれた住所は当時筆者が通っていた一楼一鳳そのもので(ただしここには7〜8人の女がそれぞれ自分の部屋を持っていた)、殺されたのは三十代のタイ人の女・・というのも筆者の馴染みのミミ嬢とピッタリ一致していたからだ。



殺されたエイミー(本物)


しかし別の新聞に被害者の写真があったのでジッと見ると・・・ミミの2つ隣の部屋の女だとわかった。彼女らは夕方ヒマになると同じ民族同士だれかの部屋に集まってメシを一緒に食う習慣があるのだが、ある時ミミの部屋を訪ねたらこの写真の女がメシを喰いながらボックデンというカードゲームに興じていたのである。

ただ一応念のためミミ嬢に電話をしたところ、ああアンタね!ニュース観たでしょ!あの場所は警察に封鎖されてるからホンハムのモーテルで会いましょう!と言われ、それでのこのこと会いに行ったところ、筆者の顔を見るなりミミ嬢は開口一番「あー!怖かったわ!」と叫んだ後で何が起こったのかを語り始めたのだ。

実は殺人者が最初にノックしたのはミミ嬢の部屋だったのである。ただし防犯カメラに映った男を見た時に奇妙な胸騒ぎがしたのでドアを開けなかったと言うのは・・なんと無く後出しジャンケン的な気もしたので適当に相槌を打っていると、実はね、違和感を持ったのは私だけじゃ無いのよ・・と神妙な顔をして語り出したのだ。





ミミが出て来ないので殺人者は他の2人の女の部屋をノックしたのだが、彼女たちも男の異様なオーラを感じ取り、そして(これは絶対ウソだと思ったが)一人の女など殺人者の背後に何人もの女がしがみついているを見たというのである。そして男が最後にノックしたのがエミーの部屋だったのだ・・と言ったのだ。

可哀そうにエミーは第六感が働かなかったため殺人者を部屋に入れてしまった訳だが、仕事を終えた後何となく胸騒ぎがするのでエミーに何度も電話をかけたが応答がない。それで無理やり部屋のドアをこじ開けて入ったところ無残な姿を見つけたと言うのである。

私たちの仕事ってロシアン・ルーレットみたいなもんなのよ・・と乾いた笑いを浮かべていたミミ嬢。それから数年後たってミミは無事に苦界から足抜けする事が出来たが、一体どれだけ多くの殺意を持った人間が薄暗い廊下に佇んでいて、彼女の部屋の前を通り過ぎたのだろうか・・と考えるとちょっと背筋に冷たいものが走る。



エイミーを殺した犯人(本物)



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