人肉マンジュウと手首ラーメン事件

2017/09/16 11:57:42 | 香港中国 | コメント:0件

筆者が香港で働き始めた頃「週末にマカオに遊びに行くのだ」と言ったら、同僚のカレンという香港娘が「だったら八仙飯店にいってヤンヨク・チャーシューパオ」を食べてこい!と言われたことがある。なんでも現地人ならだれもが知っているマカオの超名店で、ヤンヨク・チャーシューパオはそこの名物なのだそうだ。

その時筆者はマカオに行くのは初めてだったのだが、元々マカオ出身で食い意地が張ったカレンが言うのだから美味い飯屋なんだろう・・と思ってタクシー運転手に店名を書いた紙を渡したところ運ちゃんは筆者の方を振り返って「お前かつがれたな」と悪戯っぽく笑ったのだ。

八仙飯店とは1986年に起こった一家殺人事件の被害者が営んでいた大衆食堂で、ヤンヨク・チャーシューパオとは漢字で書くと人肉叉焼包、つまり人肉マンジュウという意味だったのである。この店の従業員だった黃志恆はイカサマ麻雀を非難されたことに腹を立てて雇い主一家を皆殺しにしたのだが、なんと遺体の一部を料理して客に食わせていたのである。

事件の10年後に作られた映画では人肉マンジュウになっているが、事件当時高校生だったカレンによれば実際に人肉が使われたのはライトンという全ての客に無料で出すスープで、これ日本でいうと味噌汁を想像していただくと良いのだが、事件後の数日間この店に来た客は全員とも人肉スープを飲んでいたようなのだ。

当然ながらこのニュースが広まるとマカオ中がパニックと自体なり、マカオ中の店からスープが消えただけでなく、市民の長年の習慣である外食も完全にストップしてしまい、多くの店が閉業に追い込まれてしまったそうなのだ。そこで事態を重く見たマカオ政庁(当時はポルトガル植民地政府)は「人肉が料理に使われていたかどうか不明である」という声明を出したらしい。

幸運なことに犯人の黃志恆は裁判前に獄中自殺してしまったため「人肉をスープの出汁にした」と言う証言も警察による相次ぐ暴行で精神喪失していた時の妄言とされたのだ。ただ発表内容が曖昧で疑いが晴れないため後年ホラー映画になってしまうのだが、それでも一応人心の方は予想より早く沈静化したらしい。

人間が人間を食うというのは何処の国でもタブーであり、特にそれが料理として供されていたとなると一大パニックになってしまうから、治安当局が「そういう事実はなかった」と曲解してしまうのも無理はない。それは宮崎勤が殺した少女たちの肉を食っていた事をマスコミは徹底して封印したように日本も同じなのだが、その典型例が1978年に起こった手首ラーメン事件だろう。





暴力団同士の抗争で殺された被害者の遺体を山中に遺棄したものの、指紋から身元がばれるのを恐れた犯人一味は手首を切り取って鍋でグツグツ煮込み、ついでに稼業の屋台ラーメンのスープの出汁にしていたという驚愕事件だが、最初はラーメンとして売っていた!という報道がしばらくして突然変わったのだ。

当時小学生だった筆者はこの事件を連日ワイドショーで追っていて、「あたし食べちゃったのよ!あのラーメン!」なんて叫ぶオバちゃんたちの発言を聞いては大笑いしていたのだけれども、ところがある日「手首ラーメンは実際は誰も食べていない」と180度報道姿勢が変わったのである。

筆者のみならずクラスメイトに学校の先生まで「絶対あの報道はおかしいよ!」と主張していたのは正しくて、後年文春だか新潮に載った記事には手首ラーメン事件が発覚するや日本中のラーメン屋で閑古鳥が鳴くようになってしまい、さらに日〇食品や明〇食品といったインスタント食品会社が大打撃を受けた‥と書かれてあった。

「お前んとこのワイドショーはうちの会社を殺す気かー!」「これ以上報道するとスポンサー降りるぞ!」と連日どやしつけられたテレビ局は結局手首ラーメンの追及を止め、さらに警察も政治家に圧力をかけられたのか、あるいは猟奇事件が国民に与える精神的ショックを和らげる必要があると判断したのか、犯人に「ラーメンは売らなかったことにしろ」と耳打ちしたらしい。

ただし裁判の方は当日の行動まで詳しく証言しないといけないため、10時間近く屋台を引きながらも一杯のラーメンも売らなかったという珍妙珍奇な結論になってしまったのだが、売らなかった方が罪が軽い!と警察に耳打ちされた犯人は最後の最後までこの証言を崩さずに千葉刑務所へと下獄したのである。

バラバラ事件を起こすのは何も犯人が猟奇趣味なわけではなく、あくまで一刻も早く遺体を廃棄したい洗剤願望があるからであり、人肉マンジュウと手首ラーメンの犯人も当事者にとっては最も簡単で合理的な行動をとっただけなのだが、不運だったのは両名が飲食関係に従事していたことで、人肉を食わされた客にとっては生涯忘れ得ぬトラウマを残す結果となってしまった。

さてさて昨今は町中に監視カメラが設置されているから、死体を入れた大きなカバンなど運べば後に発覚してしまう。だからもしも飲食店の店主が店内で誰かを殺してしまったとしたら最も確実な死体処理法は・・・。なんか今日のカルビはいつも味が違うわね?これ何の肉かしら?なんて思ったときは、店主に何も聞かないようにしましょうね。






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