危ない東洋医学

2017/08/08 11:10:23 | 日記 | コメント:0件

片岡鶴太郎がヨガにはまり込みすぎて家族から見放され、現在一人で生活しているとの記事がウェブサイトに出ていた。筆者はこの方の名前を聞いたのは約30年ぶりで、俳優なり画家として成功していると今初めて知ったのだが、かつてのコメディアン鶴太郎像とはかけ離れたエピソードにちょっとビックリしてしまった。

それと同時に「やっぱり東洋医学はまずいな・・」と一人頷く筆者。今から30年前に旅したインドでサドゥーという修行僧(見た目は単なる乞食)になってしまった日本人を何人も見たが、アンタはなんでこんな風になってしまったのか?と聞いたところ、最初はヨガに興味を持って・・という答えが圧倒的に多かったのだ。

今考えればそういった連中はオウム真理教に集約されていった訳で(インドで出会った同じ大学の小林君も入信して出家した)、そして例の大事件以降この手の東洋医学はソフト化へと舵を切り替え、昨今は健康志向に乗ってブーム再燃したまでは知っていたのだけれども、鶴太郎の家庭が壊れたと聞いた筆者は改めて東洋医学の怪しさに気づいた次第である。

まあ筆者だって香港にいた最後の2年間は漢方薬や針治療に嵌った事があって、その背景である思想にも興味を持って調べたことがあるのだけれど、なぜ「やっぱり東洋医学はまずいな」と思ったのかというと、実は新入社員に毛が生えた頃に会社の先輩が鶴太郎と同じことになってしまったからなのだ。





海老原さんは筆者より15歳年上の技術屋で、鯨飲大食の当然の帰結として若いころからメタボな体形をずっと維持しており、その結果40代に入ってから成人病のデパートになってしまったのだが、出張で訪れた台湾の生産委託先から「あんたに打ってつけの医者がいるよ」と紹介されたのが幸運の巡り合わせ、いや運の尽きだった。

そこは台湾人の間ではよく知られた漢方クリニックなのだが、医師の黄先生が変わっているのは一日中寝転がっても酒を鯨飲しても構わないが、クリニックが提供する白い粉だけで三食賄いなさい!というものだったのだ。いいですか?野菜どころかお粥もラーメンも寿司も何もかも食ってはいけないのである。

食い物は人生の楽しみの半分、いや少なくとも四分の一くらいは占めている訳で、普通の人間ならこんな治療方法など拒絶するものだが、この海老原さんは相当変わった性格なだけでなくかなりの凝り性であり、また成人病の方もかなり深刻になりつつあったから一も二もなく黄医師の指示に従ったのである。

会社の食堂や居酒屋で皆がパクパク食べているのに、海老原さんは円筒形のプラスチックの蓋をカパッと空けて、中に入った白い粉を貪り食う・・。その光景には健康とかダイエットといった明るい響きよりも何か底知れぬ闇のようなものを感じ取ったが、しかしながら日を追うごとに海老原さんは目に見えて痩せていったのだ。





コケていく頬と細くなっていく胴回り。あの粉は下剤かなんかじゃないか?と皆で噂しあったものだが、たしか半年で20キロくらい体重が落ちたはずである。で、当然こんなに急激に痩せれば貧血でも起こして病院に担ぎ込まれそうなものだが、意外にも会社の野球大会で大活躍するなど体の方は頑強になっていくのである。

ただ海老原さんもここで納めておけばよかったのだが、台湾出張(=実際は黄医師のクリニックに行くのが目的の半分カラ出張)から帰ってくる度に「肉を食うと早死にする」などとまだ常人でも多少は理解出来そうな発言をし始めたのだが、半年もすると「人類は間違った食べ物のせいで滅びてしまう」とかな~り遠くへと行ってしまったのだ。

そして当然ながら彼の思想は奥さんと子供が住む我が家へと持ち込まれる訳で、今までは家族の冷たい目を一身に受けながら自分だけ白い粉を食べていたのだが、ある時奥さんが作った料理を一目見て「お前は子供を殺す気かぁぁ!」と叫んだ時から彼の家庭は崩壊し始めたのである。

味噌汁やスープに白い粉を混ぜ合わせる、奥さんが作ったオカズに白い粉をぶっかける、ついには子供の口に白い粉を無理やり押し込む所までイってしまい、見かねた奥さんの兄と姉の旦那がある日家にドカドカ上がり込むや奥さんと子供と必要な家財道具を運び出してそれっきりになってしまったのだ。





ここで普通の人間なら目が覚めるはずだが、この海老原さんはかなり頑な性格である上に、現実に自分は健康になったのだ!という成功体験が裏打ちされてるから自分が正しいと思い込んだままである。それで結局は奥さんと子供との関係は平行線のままとなってしまい、数年前に退職された時も別居状態だったはずである。

ただもしも海老原さんが自分が白い粉を食べ続けるだけで完結していたら、子供たちも「お父さんヘンなことしてるなー」だけで済んだはずだし、奥さんも「あたしの作った料理が気に食わないのかしら!」とむくれるだけで事は済んだはずである(だいたい女房という生き物は常に何かに対してむくれているものだ)。

だから彼の失敗は台湾出張の度に黄医師のクリニックを訪れてはこの人物の講釈に耳を傾けてしまい、かつ日本に帰ってからも文献を読み漁ることによって普通の人ならまず絶対に思いもつかない、今じゃ博物館でしかお目にかかれないような面妖な医学思想を頭の中で作り上げていったことであろう。

ずっと臨床を繰り返してきた薬や治療法を受けるだけにしておくべきだったのだ。まったく奥さんと二人の子供の事を思うと誠にお気の毒としか言いようがないが、海老原さんの頑固さと研究熱心さを考えるに、おそらく彼は自宅を植物園か何かに改造して奇妙な研究を続けているに違いないと筆者は確信している。






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