木枯らし吹く夜の虚しい話

歩いて10分の距離に住むエスター叔母から「今日は息子の命日だからパンシットを食べに来なさい」とお誘いを受けた。パンシットとはフィリピンの麵の事で、エスター叔母の故郷パンパンガ州では行事の際にパンシットを作る習慣なのだ。

それで女房と二人で30年前に事故で無くなったエスター叔母の長男の写真へと祈りをささげ、さっそく新しいジョニーウォーカーのボトルを取り出してダニー叔父(エスター叔母の夫)と飲み始めることにしたのだが、そこで突然「そうだ!日本人を呼ぼうじゃないか!」と言い出したのだ。筆者では無くて別の日本人である。

なんでもこの町内に日本人と結婚した娘がいて、ただいま里帰りで夫と一緒に滞在しているというのである。そしてこの娘と夫がお土産を持って挨拶に来た際に「俺の姪も日本人と結婚してこの近所に住んでいるんだ!」と言ったら、ほう、それは珍しいですね・・などと言っていたというのである。

ふつう里帰りと言ったらクリスマスから正月にかけてするものだが、航空運賃の料金が跳ね上がっていたのか、或いは日本人の旦那の仕事の都合がつかなかったのかは知らないが随分と変則的な時期に来たものだな・・と思った後で脳裏にチカチカッと電灯が光ったのだ。

旦那ってヤクザなんじゃないか?いや何か確証があっての事ではないのだが、マブチモーター事件の小田島死刑囚や市川一家四人殺人事件の関光彦死刑囚などフィリピンと関わりのある人間はとかく犯罪者が多いのである(その筆者だってフィリピンにいるんだけどね・・)。





ダニー叔父は筆者の意思も聞かずに「日本人を呼びに行く!」と言って出て行ってしまい、結局筆者は一人でちびちびウィスキーを舐めながら「ややこしい野郎の場合はこういう口調で追い払ったほうがいいかな」などと元営業マンらしく話のもって行き方をずっと練っていたのだ。

ところが15分後にダニー叔父はなぜか丸美屋のふりかけパック(わさび味とか海苔玉の小袋が10袋まざったやつね)を手に戻って来て「あの日本人はタガイタイに旅行に行ってもうパッシグには戻って来ないそうだ」と残念そうな口調で言ったのである。

へえそうか。まあこっちも別に会いたくもなかったからな・・と瞬間思ったのだが、そこへ背後からエスター叔母の「おかしいわね」という声が聞こえて来た。今朝なんとかマリア像のお堂に祈りに行くときにあの家の脇を通ったら日本人が家の中にちゃんといたし、それに車だってずっと家の前に停まってるじゃないか・・と言い出したのだ。

要するに居留守ってことらしい。その理由はもう間違いなく「こんなところに住んでいる日本人なんか危なくて会えるか!」と向こうさんも思ったからであろう。奇しくも両者とも同じ考えをしていたわけで、居留守を使った分だけ向こうの方がより高リスクだと判断していた様だ。

それで帰り道にわざわざ回り道してそのフィリピン嫁の実家の横の小路を横切ったら、案の定すべての窓から光がこぼれていて、愛車トヨタ・ヴィオスもガレージの中に停まったままだった。繰り返すが別に会う気なんかハナから無かったんだけど、なぜか心の中に木枯らしがヒューと吹き抜けた気分になった。






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犯罪者や逃亡者の巣窟 

ビーチリゾートのプールサイドに紋紋一杯のヤクザの親分みたいなの。
エルミタ辺りに屯しているのも、怪しい奴が多いね。日本人と思ってたら朝鮮人。

真面目にお仕事されておられる日本人には悪いけど、イメージは最悪だね。

 

外国で日本人に会うと、見知らぬ同士でも心を許し合ってしまうのかと思いましたが、警戒し合う場合もあるんですね。
先方も、管理人さんと同じように心に木枯らしが吹くような虚しさを味わったのかも知れませんね。

 

バックパック旅行などで、宿で知り合った日本人同士は、親しくなるチャンスはあるかも。利害関係も、先入観も余り無いので。

フィリピンは特別で、以前のジャパユキ全盛時代から、身の下-草の根交流が、進んでしまった結果、庶民層と結婚する日本人が多く、また居住している日本人も、上から下までバラエティにとんでますので、同じ階層でないと、親しくなれないのですよ。

日本人は、海外では団結しないのが、特色かも。

日本でも、役職者グループと、季節労働者グループじゃ交流が無いのと同じく。人ではなくて、肩書き。人ではなくて学歴。

フィリピンでも、日本の有名大学卒業者のサークルは健在です。

それでも、ブログなどで、貧困日本人とか、現地の日本人は信用するナとか、派手に書きすぎですよね。

同業者でも、足の引っ張り合いですから、どこかのグループに属するより、一人の方が楽ですよ。

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