日本史の陰に隠された妖怪たち

筆者は毎晩アマチュア怪談師の話を聞きながら眠りにおちる重度のオカルトマニアであるが、じゃあ怪異系なら何でもかんでも好きなのか?と聞かれると実はそうでもなく、とくに妖怪変化の類については話が始まるとボリュームをOFFにしてしまうほど偏見を持っていた。

妖怪ヌリカベにヌラリヒョンなんて話をしている人を見ると「バッカじゃないの!」としか思わないし、狐の祟りやタヌキに化かされた話は精神医学が発展していなかった時代の統合失調症患者のことだ。昔からゲゲゲの鬼太郎が嫌いだったのも妖怪たちは筆者の中にある科学的線引きの向こう側にいる幼稚な存在だと見なしていたからである。

だから当然ながら河童や天狗、鬼などというのも全く興味が湧くことは無かったのだ。まあそうはいっても天狗は難破船に乗って流れ着いた白人種だとか、天狗の場合は修験道の格好をしているから世捨て人かなんかだろう・・といった合理的な解釈はしていたけれども、河童と来たらもはや話す価値も無いほど存在であった。

しかし考古学に興味を持つうちに民俗学的見地から妖怪変化を論じる学者が世の中にいることを知り、その方の書かれた本を読んでいくうちに今までとは打って変わって俄然興味が湧いてきたのだ。水木しげるの書く妖怪には箸にも棒にも掛からぬものが多いけれども、しかし河童や鬼と言うのは実際に存在した人間たちである・・と知って思わず引き付けられたのである。





鬼については一昨日の日記で書いた通り鉱山を生業とする部民(種族)であり、ついでに一つ目の鬼とか、一本足の鬼はというとタタラ製鉄に従事する人間は長年炎の温度を見る(=炎の色で判断する)うちに片目が駄目になってしまい、それと鞴を吹かし続けることで片足が駄目になってしまうという職業病に由来した不具者をデフォルメした存在なのである。

でもそれなら「お百姓さんに感謝しながら米を食べましょう」と同様に「鉄を使う時は片目片足の可哀そうな方たちの事を思いましょう」と感謝の気持ちを込めて人間として扱えば良いじゃないか!と思うだろうが、その反対になってしまったのは彼ら鉱山製鉄業者は大和朝廷にとって攻め滅ぼさねばならぬ敵、つまり後年の鬼畜米英と同じ扱いだったからなのだ。

筆者のような凡人は権力の度合いを平面図、つまり耕作可能な陸地の支配面積の広さで判断しがちだが、電撃戦という優れた戦術でヨーロッパの半分を制圧したナチス・ドイツが馬鹿にしていたソ連に敗れてしまったように、天然資源こそが権力基盤の為には何より重要で、百済から来て大和朝廷を背乗りした藤原氏はそのことを良く判っていたのだ。

それで大和盆地を押さえた後に四方八方に軍隊を派遣して鉱山を制圧していくのだが、日本の地下資源の問題は豊富にとれる水銀に比べると鉄の採掘量が余りに少ないことで、仕方なく葦の生える湿地帯に発生するスズ鉄で代用していたりしたのだが(鈴木の苗字はこのスズ鉄生産に由来している)、丈夫な農耕器具でより多くの土地を開墾するためにはやっぱりグズグズのスズ鉄じゃ硬度が弱いからだめだ!と言うことになったのだ。





当時アジア最大の鉄鉱山は朝鮮半島の新羅にあったが、海を越えての輸送が大変なのと百済出身の藤原氏にとって新羅は現に白村江の戦いまでした天敵だ。そこで出てきたのが古典的な砂鉄の大量採取なのだ。鹿島・香取両神宮がある鹿島灘一帯や「神奈川(金川)」とか「鎌倉」なんて金属っぽい名前がついた場所は鉄分を多く含んだ砂が取れる場所を表しているのである。

しかし鉄1トンを生産するために必要な砂鉄を採集するには膨大な数の労力が必要になる。で、それをしたのが誰かと言うと河童なのだ。は?あの頭に皿が乗っかった緑色の両生類がか?と思うだろうが、北九州の遠賀川流域や神奈川の目久尻川、茨城の牛久に岩手の遠野など河童伝承がある地域は同時に砂鉄の産地でもあることや、何より河童が三本指であることが彼らの正体を見事に表しているのだ。

指が三本しか生えてないのではなく元々五本あったものを二本切り取られたのだ(最近の漫画では別の理由から五本指に描かれている)。それは弓をひたり太刀を握ったり出来なくするためで、河童の正体とは藤原氏の軍勢に下るのを良しとしなかった豪族や東北の蝦夷たちであり、彼らの多くは軍事的に制圧されて捕らえられ、そして二度と武器を持てないよう不具者にされた上に川に放りだされた正真正銘の人間なのだ。

それを汚らわしい生きモノと見なしたのが天皇家と藤原氏なのである。そして当時の多くの庶民はそんな河童、または河衆(カワズ)に対して憐れみの目で見ていたが、いつしか時代が下るうちに自分たちを同じ人間であるという意識が薄れていき、やがて想像の中で奇怪な形にデフォルメされて石や棒で追われる可哀そうな存在になってしまったのである。(続く)






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とすると、かっぱの甲羅は、砂鉄や砂金を採るための、薄いざるなのでしょうか?

 

limonite ですか?褐鉄鉱。スズ鉄。

葦の草原(沼?)で、鉄バクテリアとの共同作業で、葦の根に蓄積したとか。これ、乾燥させると、茎の中にある鉄の球が、鈴のような音を出したとか。

これを燃やして、低温製鉄すれば、硬度はあっても、全く粘り気の無い、武器には全く向かない鉄器がつくられたそうな。

古代、製鉄史って面白そうですね。

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